内 翼
塔野夏子

翼が生えてきた 日に日に大きく育って
ゆく けれどそれは 誰にも見えない 私自らにも
見えない なぜならそれは 私の内側へと
生えていたから 見えはしないけれど ただ
たしかにそれは 翼であると 私は まざまざと
感じている その翼が 何色であるか その翼が
生えているのは いかなる空間に向かってかは
知らず ただまざまざと 日々 その翼が
大きく育ってゆくのを 感じている ある日
突然 私はくるりと裏返り 内側の空間が
外側となって そこで翼は 大きく羽搏くのかも
しれない



自由詩 内 翼 Copyright 塔野夏子 2023-03-19 10:38:18
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