寒い日に「寒いね」って当たり前のこと
温かくて柔らかい吐息の色でわかっているよ

降り積もった朝の霜を踏んで
砂利道の上のキャッチボール

口遊んだいつもの歌も
溜め込みすぎて漏れ出した ....
 ひにひに老いて、
 それから歌って、
 ね、
 な、
 にゃんわり、ね、
 な。

 あららな日和ね。
クフフッ
ボクは男の子

ママは云ったんだ
大人になったら男の子はパパに似るはずだから良かったねって

 惚れんなよ ママ

クフフッ
ボクは男の子

でもボクはママのDNAを好 ....
散々道に迷った挙句
歩き疲れて入った 小汚い木造の食堂
おばちゃんのシワだらけの手が空いた皿を下げていく
おばちゃんは俺の目をチラッと覗くと言った

あんた
社会とはなんて アリストテ ....
火が
ほしかったから、

そっと
恥じらいをまぜて

お月さまに
耳打ちしました
そっと


まるで
玩具のような運命の
わたしです

あわい
夜の吐息にさえ
消 ....
シャツもスカートも
タイツも傘も

帽子も鞄も
靴もカーディガンも

髪の毛も眼の色も
ホクロも

ぜんぶぜんぶ黒

でも

下着も靴下も
ハンカチも心も

無地で真っ ....
耳を痛めたくないから
仕事以外で
ヘッドフォンは使っていなかったのに

偶然押したボタン
あまく、やさしい声が
右へ、左へ
流れては消えていく
切なさにとろけるような
魔法の声
 ....
ももいろは すでに

室内に 溶け

腐れた二、三枚のひだが

私の手にはりついて ちぎれる

けれど、その がくは

最後まで花のかたちを 保とうとしている

おそらくは ....
焼き芋の包まれている新聞紙かすかなインクの匂いも食す

くくられた新聞紙の椅子の上あごひげという名の猫がくつろぐ

ちぎられて水にひたさればらまかまれほこりにまみれて新聞紙逝く

世の中の ....
雨の中カラスが世間話をしていた
黒い仲間は
雨にむかって顔をあげてとんでいる
そうだ
カラスは雨をこわがらない

どうしてわたしたちは
雨にうたれるとうつむくのだろう
どうして

 ....
年賀状をもらったら
ほめことばにくるんだ
苦言が書かれていた

つまり
頑張りすぎる貴女
見ててしんどい
そういうことね

それで
新年の抱負ができた

別に頑張ってないから
 ....
東京駅構内

3歳ぐらいの男の子が
しまじろうのぬいぐるみを落とす

ハイヒールを履いた女性が
しまじろうをつま先でカスるように蹴飛ばす

20cm程前方に滑るしまじろう

し ....
昨日まで屋根が崩れ落ちそうな
廃屋があった場所が
今日は空き地になっていた

祖母が住んでいた石川のあの家も
父が建てた仙台のあの家も
今は私たちではない誰 ....
うちの猫、しりませんかという看板、わたしの好きも探してほしい

その、こころ、いただきましたという予告、付箋ひとつで君からとどく

お迎えにハムスターがくる夜は、既存依存の弱さが強いものだ ....
夕方過ぎの薄闇の中

自転車に跨った

塾帰りの少年少女

信号機は止まれのままだ

いずれ青に変わる時が来るのだから

ゆっくり大人になればいい


僕はと言えば車の中
 ....
私の記憶が確かならば
去年の今頃は猫がいました
私の膝の上に私とは正反対の
とても品のある猫がいたのです
気づいた時にはもう既に
あたり前のようにいたのです

私の記憶が確かならば
去 ....
17歳のころ 遠い夏の日

世界はきらきらと輝いていて
呼吸をするたびに甘く苦しかった

私の辞書は日々更新され
新しい出会いを貪るように消費した
咀嚼も消化も追いつかなかった

時 ....
あの人のこと悪く言わないでおいてよかった この世に亡き方は
すべてを
香りで感じると聞きました

なので
大切なことを手紙にしたため
手紙とともに香を焚き
言葉を香りにのせて
先に送ります



  この世で会えぬ ....
変態がたくさんいて心強い 福引にアタリひとつもありません 伯父さんのお葬式の日に
父に会いに行った
病床で 夢と現のあわいを
ゆっくり行き来している父は
「今○○さんが来て行った」と
仲良くしていた兄の名を言う
その人が亡くなったという事を
お ....
手放した幸せが明るい 入学したての小学校の教室の机に
ひらがなで名札がついていた
その席に座ったら
ひとりぼっち
と風がささやいた

家に帰ると
オコちゃん
おやつがあるよ
と母に呼ばれる
近所の子ども ....
母からの電話
実家の私の部屋を母が掃除していて

「小さな何かの種が机の引き出しに
いっぱい散らばっているけど
捨てていい?」

小さい種?
クレオメだ

  「だめだよ。大事な種 ....
みなさんどうかよいお年を
今年一年数々のご無礼を働いたことも
どうか水に流してください

わたしとしては
それなりに
誠意を尽くしたつもりです

努力が足りない事も
わかっています ....
薄紅の花びらの真中で
一匹の蚊が死んでいました
その造花の霊廟には
微かに白く埃が積もり
異なる時が流れているのです

知っていましたか
昆虫は外見が骨格なのです
死んだニンゲンが放置 ....
どんなに騒いでいても
静かに眠っていても
来るものはくるのだ

 小川一本の県境
 だからといって
 
 天候が
 変わるわけでもないのに
 天気予報は変わる

 水の性質が ....
風邪薬もう飲んだっけまだだっけ いつも会いたい人がいる

冬に会いたい人がいる
日暮れに会いたい人がいる
紅茶を飲むなら この人と
映画を見るなら あの人と

でも
思い出せば いつも
会いたい人がいる

想え ....
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点滅信号- 中村 く ...自由詩1014-1-6
鎖骨を狙え- 左屋百色自由詩13+*14-1-5
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夢支度- ichirou自由詩6*14-1-5
変態がたくさんいて心強い- 北大路京 ...自由詩714-1-4
福引にアタリひとつもありません- 北大路京 ...俳句414-1-3
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