悲しみの蓋は
いつのまにか
ぱたり、と
しまる

しめようと 
やっきになっている時には
その蝶番を
がたがた いわして
頑として 拒否するくせに
ふと気づいたら
ことり、と
 ....
 見えなくてもそこのあるものは、実際のところ世の中にあふれている。見えなくても聴こえる。見えなくても、そこに存在する。決してオカルトではなく、純然たる事実なのだ。
 実家の家の前には、かつて小さな川 ....
南天の実は 何想う
小さな赤い実 何憂う

昨晚 闇夜が長すぎて
ふかづめ しずぎてしまったよ
剥き出しになった指先が
世間に晒され 泣いている

夏に実を結う南天はない ....
手のひらの水路は
かつては
とうとうと水を運び
小舟の上では
とれたての魚が 飛び跳ねていた

みどりの髪の豊かにして
甘やかな香りに
包まれて
たわわに果実の実る季節
口を寄せれ ....
梅雨の晴れ間に射す陽光は、いかにも目に眩しい。この図書館の処々にはステンドグラスのはめ込み式の窓がある。陽が射さない日には、くすみ、精細を欠くその窓も、今日は冴々と色を発色させて美しい。ステンドグラ .... その海は
私の海とつながっている
嵐がくれば
たちまちぷつりと切れてしまいかねない
一本の麻のロープの
あやうさで
私の心とつながっている

その海は
もはや この地のどこにもない
 ....
愛玩物ではない
友だちでもない
生贄なのだ その金糸雀は

愛くるしい黒い瞳に
健気にも
青い空を映し
そのさえずりは
未来の鈴の音のような かろやかさ
あばら屋に
不似合いな
 ....
重たい荷物の あれこれは
そこへ
置いて行きましょう
何も持たなくていいのです
宿屋の手配もご無用です

頁<過去>をめくる
しなやかな指を もちましょう

とうに肉体を無くした
 ....
バレリーナの背には
透明な羽がある

それは
一見すると
柔らかそうに見えるが
実は
アンドゥトロワと繰り返される
日々の鍛錬によって
美しい鋼になったその肉体と
同じくして
透 ....
 ここは武蔵の国、横浜村。
 黒船が来航してから、港が開かれ、もとは、ただの貧しい漁村が、外国の船が行き交う活気ある港になった。
 昼間、騒々しい音が絶えることなはなく、外国の香辛料の香りが橋桁に ....
家族が皆
湯を済ませ
私が入る時には
既に それらは力なく
先ほどまで
あんなに
意気揚々と
張り切っていたのに
すっかり
ぬる湯めいていた

湯の中の粒子は
もはや
血気盛 ....
上等な絹の布団が
重く
息苦しく感じられて
寝付けぬ
夜がある

棘だらけの
イラクサで編んだ
それこそが
妙にしっくりくることがある
物の怪の心というものは
不思議なものだ
 ....
 光と影が突然交錯する、いくつかのトンネルをくぐる。電車に揺れながら、いつも不思議な感覚に囚われていた。
 どちらかが現実で、どちらかが夢だとしたら、一体僕は今どちら側にいるのだろうか、と。

 ....
私がいるのは、
自ら吐いた
柔らかな絹糸で 
紡いだ世界の中

境界線はカーヴを描き
命のように 
絶えず呼吸している

薄闇は平安を呼び
孤独は瞑想をくれる

ひきこもりにな ....
空よ あなたは何者ですか? 満ち足りた時は美しく 哀しい時には より美しい

なぜだろう 雨も涙も透明なのに青く塗ってみたくなるのは

何もかも捨てたくなって空に投げ 落ちてくるまで こ ....
昭和二十年八月六日午前八時十五分

ヒロシマは地獄と化した

おなかのなかで泳いでいた名もない 胎児
三輪車に乗って遊んでいた あやちゃん
竹の物干し竿に洗濯ものを広げていた 母さん
ア ....
寒いのは苦手です
そう言っておきながら
実は
冬になると 妙に心が安らぐのです

夏の太陽は
いつでも元気いっぱいで
近くに居すぎると
私の中の水分が蒸発していくのが
わかります
 ....
ファスナーがいつも従順だと思ったら
それは思い込み もしくは 先入観みたいなもので
生地を喰うことがある
貞淑だった人妻が 
何を思ったか豹変し 
畏れをしらぬ 厄介なうえ 世にも面倒な 小 ....
ニャンコです しっぽで返事しちゃうんです 
          昼寝邪魔する 人間たちに

ワンコです いつも心は全開で
        遊んでくれるの待ってます!

亀太っス ほんまはご ....
少女が恋した相手は{ルビ舟人=ふなびと}だった
{ルビ陸=おか}で生きてはいけない
それが舟人

祖先をたどれば
互いに 海で生まれた小さな泡同志だが
海を捨てたものたちは{ルビ陸人=おか ....
ゆれる ゆれる
こもれび

かぜで このはが
ゆれるたび
ゆれる こもれび

まるい まるい
こもれび

それは おひさまのかたち そのもの

ひかり たゆとう
なもしらぬ  ....
人という字は支え合っている
同時に
人という字は依存しあっている
人ゆえに

どちらが
依存する度合いが多いのだろう
右側? 左側?
一見すると だんぜん左側のようであるが
実は
 ....
Fの
セーターの裾から
一本の毛糸が出ていたので
引っ張ってみた

スルスルと
それは
面白いように引き出せる
どんどん出てくる
止まらない

糸の編み目が崩壊する時の
微かな ....
三角くじを引いた
三角形の赤い紙が
二枚合せに貼ってあり
それをはがすと
一等
二等
三等とか
なにがしかが書いてあるようだ

スピードくじとも
いうそうな

アナログなスピー ....
「柿の実を全部採ったら だめなんよ」
そう言って
祖母は
せっかく実った柿の実を
いくつか
まばらに残しておくのが常でした

ひとつは
お腹をすかせた小鳥のために
ひとつは
木登り ....
線路の上を
ただひたすらに走る毎日は
それが
仕事とはいえ
時につまらないものに
見えてきます

そんな時でした
あなたに出会ったのは

午前八時三十五分
あなたは向こうから
 ....
前世はおむつでした
その前は
朝顔を咲かせた藍染の浴衣でした

かすかに覚えているのです
あなたと
一緒に
縁側で線香花火をしましたね
華々しく燃えたあと
ぽたりと火種は落ちて
こ ....
{画像=120115084740.jpg}
なにかを磨こうとして
氷柱になった

なにかを磨こうとして
尖った剣になった

強く生きていくには
どれだけ磨けばいいのだろう

強く ....
  古骨をそっとかしげる わっちの手
  包むは惚れたお方の手
  初雪でありんす、あたたかい

  北風を待つ渡り鳥
  いつか別れの袖ふるを知り
  もちぃっと一緒にいておくんなまし
 ....
今日の昼ごはんに
ピザを焼いた

冷蔵庫の片隅で
あやうく忘れられそうになっていた
正月から持ち越しのハムを
細かく切って載せてみる

魚焼きグリルを予熱する
五分ののちに
三日前 ....
そらの珊瑚(946)
タイトル カテゴリ Point 日付
あまのじゃく自由詩9*12/1/28 12:06
アオミドロ(散文詩)[group]自由詩7+*12/1/28 7:19
三重奏自由詩10*12/1/27 9:19
ロストワールド自由詩4*12/1/26 12:51
金魚(散文詩)[group]自由詩7*12/1/26 10:48
海と海自由詩9*12/1/25 11:57
金糸雀自由詩5*12/1/25 9:34
旅をしましょう自由詩11*12/1/24 15:50
バレリーナ自由詩7*12/1/24 9:50
白象のいた港(掌編小説)散文(批評 ...4*12/1/23 12:03
ぬる湯自由詩5*12/1/23 9:57
今夜 イラクサの布団で眠る自由詩2*12/1/23 9:21
サナトリウム(掌編小説)散文(批評 ...4*12/1/22 8:45
自由詩5*12/1/21 15:35
洗濯日和[group]短歌11*12/1/21 15:20
折り鶴自由詩9*12/1/21 9:37
冬眠自由詩7*12/1/20 22:32
我が愛しき小娘(ガーリッシュ)自由詩8*12/1/20 8:33
伝言短歌4*12/1/19 8:17
ひなぎく自由詩11*12/1/18 22:35
こもれび迷宮自由詩6*12/1/18 12:32
共依存自由詩6*12/1/18 8:53
いたづら自由詩5*12/1/17 11:06
謎くじ自由詩13*12/1/17 8:58
命のための命自由詩4*12/1/16 11:54
午前八時三十五分恋に落ちて自由詩7*12/1/16 11:05
布讃歌自由詩14+*12/1/15 14:13
round shape自由詩5*12/1/15 8:46
古骨情歌自由詩7*12/1/14 14:39
秋刀魚の魂自由詩8*12/1/14 13:42

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