わずかに赤を含んだ
初秋のねこじゃらしが
風にそよぐ
そよがれて
よみがえってくる
植物ではなくて
あいつらのしっぽだった記憶が

猫が
ねこじゃらしの横を
素通りできないわけは
 ....
ねじられた
つぼみは
夜のさざなみに
ゆるゆると洗われて
空が
ほんのりあけるころ
星の形に開きます

命、うすむらさきに笑ってる

私の心も
ほどけてゆきました
餅つきに飽きて兎はナイターで月の氷を滑っています

煮詰まった砂糖が夜に冷えていきゆっくり月はべっこう飴に

おつきさま あなたの裏は永遠に知ることのない孤独でしょうか

月明かり 独り寝 ....
天気予報が
いい具合にはずれて
空に陽が差してくる

中学校の校庭
トラックに引かれた真新しい白線
「出陣」の文字が描かれた入場門
砂埃の匂いがくしゃみを誘う
テントの下に置かれたキャ ....
{画像=130917162815.jpg}

この幸せが
たとえば うつろいだと言えば
消え去ったあと
笑ってしまえる

この幸せが
たとえば とこしえだと言えば
消え去ったあと
 ....
ある満月の晩、女友達が私の家にやってきた。シャンパンを片手に。何かのお祝い? と尋ねたら「まあ、そんなようなもの」とほほ笑んだ。酔っぱらうと虚言癖のある彼女は「やっとわかったの。わたしは王女さまだった .... 九月十三日の朝
風のこどもたちは
キッチンの西窓の向こうで
すでに足踏みを繰り返していたとみえ
私が縦長の窓を押し開くと同時に
遠慮なんかこれっぽっちもしないで
じゃれあうように
とびこ ....
この夏を共になんとか生き延びて ずしりと重い冬瓜を買う

唐辛子 束ねて売れば店先が花屋になった花屋であった

セルリーがしなびて見切り三十円 手にとればもう戻せなくなる

無花果の星型に ....
引越しが落ちついて
さあどこかに食べに行こうという算段になり
歩いていける距離といえば
とんかつかフランス料理風か喫茶店かお好み焼きだった

「お好み焼きアキちゃん」は
とびきりの笑顔のふ ....
哀切という音を見送る 九月の蝉声 あれはハーメルンの笛だろうか 雨の匂いが
潜んでいる

濡れた靴下の爪先に
よれたハンカチの糸に
ほつれさせたじーぱんの穴に
更紗の青い染料に
ぱあまねんとがとれかかったおくれ毛に
やすりをかけたかかとに
ポケッ ....
トマトは好きだけど
トマトジュースは飲めない
っていうのと
豆腐は好きだけど
豆乳は飲めない
っていうのは
同じこと?
と彼女に聞かれたので
どうかなあ、
でも
僕は
牛肉も牛乳 ....
蚊取り線香に
火をつけようとしたら
この家のどこにも
火がない事実に愕然とした

チャッカマンがきれている
マッチもない
かまどの代わりにIHクッキングヒーター
風呂場には電気温水器
 ....
雨つぶと雨つぶは
出会っても うたわない
分身だったから
うたう必要がないから
うたわないけど
静かに溶けて
ひとつになれる
みずたまりは
世界で一番平和で小さな海になった

雨つ ....
メスザリガニが
身籠った
腹に何百もの卵を抱え
絶えずゆらゆらと揺らして
新鮮な酸素を送っている
まるで
大切なものをあやしているように

ハハザリガニが
出産した
小さな赤ちゃん ....
死を拾う 空に斧振り上げたまま腹見せて転がっている

詩を拾う 弔いもなく涙なく乾いて虫の命逝く夏
そら
くう
から



変換キィで
世界は変わる

くうですか
くうですね
ひとしくみんなくうになってゆきました

昨晩はよくふりましたなあ ざんざばらん
おかげでからっ ....
沖に出てあおむけに視るこんなにも空の広さがおしよせてくる

優しげな名前とは裏腹に盆過ぎて泳ぐ子 戒める海月

光る波ひとつふたつと三角の硝子の意志が増殖してく

足裏の次第に砂がさらわれ ....
ほぼ体温と同じくらいに
熱せられた夏が
発火点を探しあぐねて
彷徨いの果て
私の絵の具を溶かしていた

指で透(なぞ)写る
あらかじめ決められていたように
螺旋状に滑り出すその先で捉え ....
日々の習慣こそ愛おしい

扉を開けてただいま、と言う
杖は手摺に立て掛ける
靴を脱いで右端に寄せる
一人前の惣菜を冷蔵庫に入れる

白い手拭いを
四つ折りにして
赤い糸で等間隔で縫う ....
いくぶん体温の高い
あなたを胸に抱けば
心の真ん中にある
バターが溶け出し
私は
ホットケーキになった

ふくらんで
ふくらんで
痛いほどふくらんで
あなたに与える
ちょっとのほ ....
時々
じょうごがあったらなぁとおもう
たとえば
砂の粒を透明なびんにあつめる時
たとえば
湖水を小分けして胸にしのばせる時

{引用=いちみりも
こぼさずに
うつくしく
やりとげな ....
とうめいの
とじひもが
ゆるむ
午睡から目覚めきれない
漠とした意識のなかで
たとえば
カムチャツカ半島からの
かえりみち

{引用=わたしはだれであったのでしょう}
とうめいの
 ....
ばーばに手を引かれ
ゆるい坂道をてくてくいけば

「コカ・コーラ!」
わたしは畑に捨てられていた瓶を指さして叫ぶ

ママ、という言葉は知っていたけれど
ママ、と呼ぶ対象がいなかった
日 ....
腕がある
脚がある
カラダがあって
心臓はこの辺だろうか
洗濯物を干しながら
幸福感に包まれる

よれてしまった襟だとか
落ちきれてない染みだとか
ゴムの伸びたパンツだとか
新品で ....
病院の待合いの長椅子で
おじいさんがあくび
おばあさんがあくび
その隣のおにいさんもあくび
くたびれた私もあくび
うっかりもらっちゃったけど
あくびの正体は知りません
からくりがあっても ....
撹拌されて
まじりあう
フラスコの中の
時間が
わらわらと踊っている

次第に
重さを帯びた幸せは
底で沈殿する

浮かびあがる
透明な
うわずみ
プロペラから
風が生まれる
その中心を
つかんで
風を止められるかどうか
幼いきょうだいが
度胸だめしをしている

扇風機の首振りボタンで
風を分けあって
涼と熱を共有していた
 ....
夕暮れても
大地の熱は
冷めやらず

もうすでに
花も穂も枯れ
ただの茎となったすすきは
すとろうとなり
土に埋まる子らは
それを吸って
生き返る

一本であったら
孤独に揺 ....
枝豆を茹でる
さやには産毛がひしめいて
そのあおい膨らみに
おまえが未成熟のまま
刈り取られてしまったことを
想う
夕立は夏の序曲

塩をふって
硝子の器に盛り
冷蔵庫に冷やしてお ....
そらの珊瑚(946)
タイトル カテゴリ Point 日付
ねこをじゃらす自由詩19*13/9/23 17:12
ほしのはな自由詩17*13/9/21 14:29
月の氷[group]短歌1313/9/20 11:51
遠景自由詩13*13/9/19 11:52
夕空の虹自由詩13*13/9/17 16:33
王国自由詩11*13/9/15 11:03
風の通り道自由詩12*13/9/14 12:33
冬瓜を買う短歌1113/9/13 10:25
アキちゃん自由詩20*13/9/9 11:33
九月の蝉[group]短歌813/9/9 10:32
誘惑自由詩13*13/9/4 15:33
満月の夕(ゆうべ)自由詩10*13/9/3 13:01
自由詩10*13/9/2 10:44
子守唄自由詩19*13/8/31 9:09
水槽という宇宙の中で自由詩24*13/8/28 9:43
蟷螂短歌17*13/8/24 7:16
あおいそら自由詩24*13/8/21 14:17
夏の終わりに[group]短歌11*13/8/19 12:39
デカルコマニー自由詩13*13/8/18 10:45
運針/千人針自由詩16*13/8/15 8:43
食べさせる自由詩18*13/8/13 22:18
遠い日 おもちゃのラッパでした自由詩22*13/8/12 9:16
【とじひも】詩サークル「群青」八月のお題「漠」から[group]自由詩11*13/8/10 13:10
もらい乳自由詩24*13/8/6 7:01
【ベランダに吹く風】詩人サークル「群青」七月のお題「風」から[group]自由詩18*13/8/4 14:05
うつるんです。自由詩16*13/8/2 19:48
うわずみ自由詩16*13/7/29 7:17
【凪】詩人サークル「群青」七月のお題「風」から[group]自由詩2013/7/21 13:15
すとろう自由詩20*13/7/16 8:53
枝豆自由詩15*13/7/14 16:54

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