これまでも
世界の秩序が狂ったことはあった

その結果
それまで うまく棲み分けられていた人々がまじわることで
多くの不都合が生まれたのだった

紙の民の一人であるミス ドリアンは気象の ....
一枚の紙の軽さを想う
一冊の本の紙の重さを想う
数冊の本の紙の重さをさらに想う
いつしか私自身の重さを軽々と超えていく


一枚の紙の厚みの薄さを想う
一冊の本の束ねられた紙の背表紙の厚 ....
いつもそれは突然だった
その日のために まるで気配を消し去る魔法を操っているかのように

トルソーには腕も足も頭もない
それはきっと造形の芯

トルソーは不完全であることを堂々と嘆いている ....
出かけるのなら
帽子を被ってお行きなさい
いざという時には
バケツになるから

出かけるのなら
傘を持ってお行きなさい
空から降ってくるのは
優しい雨だけと限らないにしても

出か ....
冷えすぎません
電気要りません
上の空間に氷入れます

その氷が溶けるまでです
わたしがアイスボックスでいられる時間は

あなたからもらった
昨日の茉莉花が
せめて今日だけでも
芳 ....
空がせつなく見える日は
誰かのためいきが聴こえる

ためいきは
透明の煙になって
立ち上り
つどいあって
やがて白い雲になる

空がせつなく見える日は
あなたもためいきをついている ....
私の耳元で
乾いた音がする

してはならない
タブーを誰かが冒す
音がする

見てはならぬ!
呪いを架けた
白いヒトガタ

ロザリーよ
おまえもまた結界を超えてゆくならば
自 ....
朝起きたら
おもいのほか寒かったのです
肩がひんやりします
すっかり秋ですね
早起きしても
ひぐらしの声はどこにもありません

朝起きたら
寝違えていたのです
眠りながら何かを間違う ....
秋が始まる頃
ようやく
旅人が帰ってきた

ちょいと
長い散歩だったかな

悪びれもなく

おかえりというのも
待ち焦がれていたようで
まったくもって
しゃくなので
おみや ....
ぞろぞろと
つながって
生まれくる
かまきりの赤ちゃん

泡を固めたような
麩菓子に似た卵から
孵化してしまったら
もう戻れない

生まれた瞬間から
君たちは みなしご

風 ....
おそらく
それが見ず知らずの善良な動物の皮であった
という
ひどく生々しい事実にもたれながら
わたしが
しらずしらずのうちに
この足で踏みつけてきた
ものを想います

どうして
こ ....
気づくと
無意識に祈っている

例えば
エンドレステープのように流れる
交通事故のニュースを見れば
家族の交通安全を祈り
遠い国で
爆撃によって命を落とす人がいるニュースを見れば
平 ....
変わらないねえ と
しみじみ言い合うけれど
私たちが女子高校生に見えたら
化け物でしょう
だけど
やっぱり
変わらないねえ

三人で写真を撮ると
真ん中は早死するからイヤだと言って
 ....
古いフィルムネガ
光にかざせば
見知らぬような

ああ 確かに私だろう

こびと専用の夜行列車の小窓の中で
かすかに笑っているようだが
それは条件反射の類だろう
本当に可笑しい時は ....
蝶に似た花に
花に似た蝶がとまっていますね

うろこに似た雲が
ここではないどこかから流れてきて
ここではないどこかへ泳いでいきます
そこは空ですか
ええ
海によく似た空です

せ ....
この映画を観るのは二度目でした。

「父と暮らせば」井上ひさし氏が書いた、もとは舞台作品。

原爆投下の3年後、廣島はヒロシマになり、そこで生きる生真面目な美津江(宮沢りえ)と、原爆で亡くなっ ....
浴室にこおろぎがいた

おまえ、どこから入ってきた?
こんなところにいたら
いずれ泡にまみれて死んでしまうよ
ここは地獄のお湯屋だよ
どこの世界にも
ちゃんと生きているつもりでも
なぜ ....
夕べに
生まれた
小さな泡が
今日に
命の鼓動を始め
明日に
いつつの指を得て泳ぐ

空に
生まれた
小さな塵が
今日に
光の鼓動を始め
明日に
いつつの指を得て泳ぐ

 ....
つじつまを誰かが合わせてくれるのだろう、この人生の終わりに

とりあえずしつけ糸で縫い付けるそこが予定であるかのように

始業式の朝ともなれば小学生が憂鬱のつじつまを合わせて行く

一時間 ....
無邪気であり
かつ残酷でもある少年は
少女にはわからない遊びに夢中になったりする
原始の森から続く通過儀礼のように
せみとり くわがた かぶと虫
昆虫標本

はばたくために作られた軽い羽 ....
冬の朝
ランドセルを背負う前に
背中にしんぶんしをおふくろが入れてくれた
と夫が言う
ホカロンなどなかった時代

結構あったかかったんだな、これが

しんぶんしはあったかいのか

 ....
足踏みをして
空気を送り込んで下さい
それが
おとになるのです
白い鍵盤の上でこどもが遊び
黒い鍵盤の上でスキップをする
電気もいらない単純でのどかな楽器
足と手さえあればあとはなんにも ....
夏雲がつくる横顔誰かしら似ているようでもありますね

客はみなミステリーだと気づかずに四十五円の特売卵売られ

病院の長椅子にて縁もゆかりもない人のあくびをもらう

咲かぬまま枯れてしまっ ....
列に帰属する蟻
ときたま
はぐれて戻らぬ蟻もいる

白いカナヘビが忍者のように
するりと岩陰に隠れた

彼女は言った
東京は子供が住む場所じゃない もはや
20キロも200キロもおん ....
焼けた砂浜を
飛び跳ねるようにして
海へとかけてゆくこども
裸足の裏がじりじりと焦げる

ポップコーンが無鉄砲にはじけて白い入道雲になる
どこまでいってもたどりつけない水平線
追えばどこ ....
目的地を知らされていない旅路の途中はみなトランジット

不安定のエネルギー浮上して高気圧

空に立ち上る灰色の龍、雷

絵葉書に古い遺跡の写真ありどこか懐かしい気がする夏

蝉蝉蝉、は ....
仏壇がはなやぐことよ
ようきんさったなぁ
帰省した一族らぁが
各地の土産を並べていくけんど
こがーに食べられんでのう、おかあさん
おとうさんはビールがありゃあ良かけん
ほいでも黄色い菊と白 ....
いつまでも咳が出る
のどにつまった小骨のせいだ

はやく、はやくとせかされる
あほう、あほうとわらわれる
うかうかすると
小骨から
芽が出て
つるが伸び
ぼくのいのちをのっとりにくる ....
おばあちゃんが言った
ふりかえっちゃいけないよ

茄子の牛に乗って空へ帰る人たちを
見てはいけないと言った

だってさみしくなるだろう
送る方も
送られる方も、さ

藁を燃やして送 ....
とつきとうか
出口の見えないトンネルの中を
さまよい歩く気分でした

年中睡いくせに
その眠りは浅く
私は大海に漂う一枚の木の葉のようでした


{引用=沈みかかっては(眠りに落ちて ....
そらの珊瑚(946)
タイトル カテゴリ Point 日付
砂の民[group]自由詩11+*12/10/1 8:28
紙の民[group]自由詩17*12/9/28 8:16
トルソー自由詩1112/9/27 8:59
おせっかい自由詩16+12/9/26 7:54
アイス ボックス自由詩11*12/9/25 10:04
ためいき自由詩812/9/25 8:22
禁忌の森で自由詩312/9/24 9:55
なで肩の運勢自由詩17*12/9/23 8:43
露草自由詩15*12/9/22 11:02
みなしご自由詩1512/9/21 21:10
わたしもまた一枚の皮張り自由詩912/9/21 8:20
みたまに自由詩17*12/9/20 9:15
女友達自由詩6*12/9/19 13:13
銀塩写真自由詩14*12/9/19 12:07
うつろい自由詩24*12/9/15 15:58
シネマレビュー「父と暮らせば」(ネタバレあります)散文(批評 ...6*12/9/13 11:18
こおろぎ自由詩2612/9/12 8:36
星という海星自由詩1512/9/6 10:22
つじつま短歌712/9/4 10:49
少年と少女自由詩21*12/8/30 15:11
しんぶんし自由詩16*12/8/28 10:05
おるがん自由詩12*12/8/28 9:32
今日が発泡している[group]短歌7*12/8/24 11:22
ダイイングメッセージ自由詩10*12/8/24 10:31
あの夏自由詩10*12/8/21 13:42
晩夏(自由律俳句)俳句7*12/8/19 8:57
盆にぎわい自由詩7*12/8/16 13:16
たくらむ小骨自由詩1012/8/12 21:31
盆送り自由詩2312/8/10 10:59
とつきとうか自由詩1412/8/8 10:33

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