ハイヒールひとつぶんだけ空高くわたしは結句さがしています

かたぐるまされてみたいなかたぐるまかるいっていいなよすぎるな

昨晩の雨はもうすでに誰かの雨でございます

ピアニカを初めて開け ....
さあ、どうぞと皿が私に差し出される
その上にきれいに盛られている
とてもいい匂いのする料理は
食べやすいように切り分けられている
中には苦いものもあるけれど
健康でいたいでしょう?
それを ....
どこかに
わたしの詩を読んでくれる人がいて
わたしはその人のために書いたのでもないのに
ありがとうと伝えてくれました

それではだれのために書いたのだろう

もうひとりのわたしが
小さ ....
昨晩の月は絵に描いたような朧月だった。
まるで大きなオブラートに包まれたように
柔らかで幻想をまとった月だった。

粉薬にオブラート。
昔、ありましたよね? 紙の箱に入ったうすい半透明の、 ....
誕生日に
どこへも行かなかった
髪をくしけずらなかった
うねるにまかせた
口紅をぬらなかった
洗いざらしにしておいた
たいていの人がしみだと呼ぶ
頬にちらした点々を数えた
  (およし ....
父の朝はとても早かった
家族が起き出すころ
山から帰ってきた
そのかごには
濃い緑のクレソンやら
根の赤いほうれんそう
原木栽培のしいたけ
みょうがの先には
くたりと
ほの黄色い花が ....
かあさんは白
とうさんは黒
ばあちゃんは茶色で
じいちゃんは巻き尾
そのまたばあちゃんが
どんなだったか知らないけど
たぶんボクの中にいるんだろう

抜け落ちた
冬毛のなかに
いろ ....
朝はこんなにも鳥の声であふれている
それが
そらみみでないことを知ったあと
染み出てくる
当惑を
奥歯でそっとかみしめて
(愛おしいシーツの皺を伸ばすように)
こんなふうに
人は日常に ....
広い平和な公園の片隅に
行ってはいけない
小山があった
5月になると
咲いたツツジに誘われて
子が行こうとすると
親はきまって
こう言う

行ってはいけません とだけ

ダンボー ....
ちいさな命が逝きました

なにもできないことが
くやしくて
何度も名前をよびながら
一度も
空をとぶこともなかった
幼い翼を撫でておりました
スポイトからこぼれた水を
君は果たして飲 ....
とても狭くて
天井が低いから
うっかりすると頭をぶつけてしまう
夏は暑いし
冬は寒いし
もう使わないのに
捨てられないベビーベッドとか
読まれたがっている本たちに
囲まれて思う
一生 ....
覚えたての縦笛から
頼りない汽笛のような音が
飛び出したから
思わず笑って
私は手をふる

どこかへいくの?
またかえってくるよ

音を作るこどもたちが
今でもほら
とても楽しげ ....
座ったときの
長さが
一体なにを証明するのか
わからないまま
――座って見る景色はほんの少し懐かしいけれど
――座ってみる景色は背伸びする必要がないから
私は
計られ続けてきたけれど
 ....
洗いすぎて
ごわりとした
ネルの小さなパジャマ
ふたつめのボタンだけ
なぜか赤い糸で
不器用にくくられている
夜泣きのたびに
私にしがみついた
熱を帯びた袖
黄色いライオンの模様
 ....
もくれんの
白いたまごが
割れると
たちどころに
小鳥が生まれ
空にむかって
さえずりをはじめる
風が吹けば
はばたく真似事もする
翼は
永遠に無垢なまま
飛び立つことをしないま ....
春という素性の上に
細いすじがねを
うっかり高く伸ばしてしまった
ふたりは
よりかかりあう
その寸前で
定冠詞のような
小さな花を咲かせている

あなたはわたし
わたしはあなた
 ....
人はなんでもないような場面を
なぜか覚えているものだ

中学校からの帰り道
乾いたグラウンド
走者のあげる土埃
プールに浮かんだ白いはなびら
すでに樹の指先は新しい葉を生やして
吠える ....
わたしに
ゆ という文字を
教えてくれた人は
あたかもそれを
ひとふでがきのように
描いてみせるので
その曲線の美しさに
魅せられたわたしは
日暮れて
昏くなるまで
いくどもそれを ....
そのわらべうたは
作者不明だという

畑に添って
作られた石垣
その隙間から
シダやペンペン草が顔を出し
しっぽがふたつに別れた小さな虫が
忙しそうに出たり入ったり
雨が降れば
水 ....
左手首の動脈を
右手の指先でさぐり当てる
脈に触れれば
自然とそれを数えてしまう
まるで
生きていることを
確認するように
えいえんに似たそのリズムを

日が暮れて
血の匂いがする ....
指の絆創膏をはがしてみれば
血は止まったものの
いまだ なまめかしく
傷はそこにあった

たった一日
空気を遮断されただけで そこは
色が蒸発したように
あっけらかんと白く
まるで湯 ....
現代詩フォーラムという場所に限定していえば、ここに投稿されるいわゆるネット詩と呼ばれているものは膨大な数が毎日投稿されている。
タイムラインはよどみなく更新される。一日開かないだけで、ひとつの詩は一 ....
たまねぎの
ちゃいろの
うすかわを剥く
のり、で
はったわけでもないのに
なかみのかたちに
ぴたりとはりついて
かわいてしまった
うすかわは
もう
うすかわ以外の
何者でもない
 ....
川伝いに伸びる
でこぼこ道の向こうから
菜の花がきれいね、と
懐かしい人が
光をまとってやってくる
どこかで硝子製の呼び鈴に似た
澄んだ鳥の声が響く

あなた、
ずいぶんともう
大 ....
何事もなかったように光る海
廃線路の先には菜の花が咲く
網棚に取り残された箱を開ける勇気もなく
揺れる電車
ねむりを誘う振動
座ったままのうたたね
かしげてゆく首
透明な重力に引かれる右 ....
知りたかった
僕を
取り巻く
空気の中に

どれだけの
水の粒子が
溶けているのか

手と手
心と心
乾燥地帯で
ぶつかるたびに
静電気が起き
そこに生まれるのは
青白 ....
もう誰も飼ってないのに猫は自分の首輪をはずせない

猫がいる 怒りもせずに泣きもせず人のいない村で猫が生きている
今日の肉体は
昨日の肉体より
確実に
死へ近づいているのに
今日の傷は
昨日の傷よりも
命をうたっている
ふしぎな
からくり

はがれていった
皮の下から
赤く湿った
細胞が ....
ゆっくりと
頁をめくる
それは
何かを
惜しむような
誰かを
見送るような
こころもちで
結末を
知ってしまえば
この手の中の
物語が終わってしまうから

桜は咲いて散る
 ....
春色のセーターをほどく
うねに添って並ぶ
小さな毛糸の環が
現れては消え
現れては消え
優しく解体されながら
終点に向かう

逆回転を奏でる音楽のように
くぐっては消え
くぐっては ....
そらの珊瑚(944)
タイトル カテゴリ Point 日付
雨の消息短歌8*14/5/21 11:18
差し出された皿自由詩23*14/5/20 8:20
青い手紙自由詩17*14/5/19 9:08
夜更けの紙相撲 五月の羽[group]散文(批評 ...13*14/5/16 11:38
そばかす自由詩20*14/5/15 8:57
ありしひ自由詩13*14/5/14 8:52
MIX(もらったもので出来ている)自由詩17*14/5/12 9:46
カミツレの花自由詩13*14/5/11 8:20
公園自由詩13*14/5/10 9:55
おとむらい自由詩12*14/5/9 9:14
屋根裏自由詩10*14/5/7 16:15
楽隊自由詩1914/5/6 8:59
さよなら、座高自由詩12*14/5/5 10:00
衣替え自由詩2214/5/2 9:25
もくれん自由詩1614/5/1 10:02
相似形自由詩1514/4/25 9:34
かあさんも受験生だった頃がある自由詩1114/4/24 14:14
自由詩2614/4/20 7:56
アルカディア自由詩20*14/4/18 9:43
夜の洞窟で自由詩12*14/4/17 10:28
溺れる人魚自由詩22*14/4/16 11:50
【HHM2参加作品】「旅立つということについて」小林青ヰ散文(批評 ...8*14/3/25 13:14
うすかわ自由詩20*14/3/24 11:02
きつねのよめいり自由詩20*14/3/21 12:05
自由詩17+*14/3/15 9:08
湿度計のある部屋自由詩16*14/3/12 14:25
猫が生きている短歌11*14/3/11 14:12
自由詩11*14/3/11 13:47
桜百景自由詩1314/3/10 9:11
再び生きる自由詩17*14/3/7 10:15

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