雪は
ひとひらと数えます

ひら、ひらと
落ちてくる様は
心がなにかを探しているようで

雪を
ひとひらと数えます

ふたひら
みひら
あとはもう数えるのは止めました

あ ....
ほころびを縫う
小さな欠落をたぐりよせながら
そのひとつひとつを
確かめるように埋めていく

ほころびのない人生など
ない

冬の夜にほころびを縫って
いる

母さんにもらった針 ....
大人になったら
幸せが飛んでくると思っていた

けれど
幸せの羽は飛び去るためにも存在する

大人って
幸せにちゃんとさよなら、できる人
ひかりをみつけたよ

人が踏みゆく
黒いアスファルトのなかに
埋まっている
埋まっていた
だけど
誰も
拾わない
拾えやしない

だいあもんどなんかより



どこ ....
死がそこにあることを知る幼子も羽だけ残し逝った虫の

きょうもまた葬儀場に黒々と人は集まり人は集まり

病葉を冬のひざしに見透かして空のこんなに小さきことを

この世への未練を断ち切る日数 ....
たとえば
悪意であったなら
オブラートに包んで飲み込む

たとえば
優しさであったなら
丁寧に蒸留したあと
春色のカプセルにして
冬に打ちひしがれた小鳥のために
蒔いておく

た ....
空っ風の吹く夜は
別宅の湯屋のうすい硝子戸が
ぶるぶる震えて怖かった

ぼんやり灯る電球の下
木の蓋をとれば
お湯はもうもうと息を吐く
祖母は
もう、いいよ、というまで
ごつい亀の子 ....
言葉、とは
不思議なものだ

スリッパだと覚えれば
スリッパ以外の
なにものでもなくなる
寒い冬
人の足をあたためて
踏みつけられているくせに
そのいでたちは
ほんのり可笑しみを含 ....
冬をついばむ
くちばし

幼い蕾が
羽ばたく季節の夢をみている
今はまだ色を持たずに

たくさんのおみくじが
今年の枝に結ばれて
羽ばたく明日を待っている

少し前まで
小さな ....
ほら
めかくしをすれば
大丈夫
この世の全てのかなしみを
わたしの手で
隠してあげる

あなたが
もういいよ、といったなら
指のすきまを開けましょう


目覚めて
しずしず ....
初々しいと言えば
きこえはよいが
あのころの私はとても無知だった

結婚して初めて過ごす夫の実家でのお正月
おせちに「くわい」を炊くという
新種の宝石のような
淡い水色でつやつやの丸い物 ....
書き散らかした
言葉のきれはしを集めて
布団にしていたけれど
とうとう
足の踏み場もないほどになってしまったので
優しく重ねて
クリップで留めておく

クリップが
あなたの詩集だよ、 ....
夜の天幕はマグネット
キミが蹴ったつまらない石ころを
引き寄せて
星にすりかえる
朝が来るまで
せめて忘れたふりしてる

自分が永遠に満たされることのない
闇であることを

さみし ....
サンタクロースの
魔法がとけるころ
子供は無邪気な子供でなくなり
世界のファンタジーは
魔法使いになれなかった
大人が作っているものだと知る

ネズミーランド
幼いキミは
ディズニー ....
風が
やすやすと
国境を越えて
やってくる

クリスマス寒波に
背中を丸めて帰りを急ぐ人の
ひとりにひとつ用意された家路をたどれば
夜に沈んだ土地に
ぽつり、ぽつりと
灯りがともさ ....
よくばりになると
しあわせは逃げていく
くらべると
しあわせは逃げていく
おいかけると
しあわせは逃げていく

手の届かない
遠いところへ
逃げていってしまったと
思っていたら
 ....
枝毛さがしは
手軽な気分転換だった

枝毛をみつけては
はさみで英語のプリントに
切り落とす

一本の毛が
まるで
仲違いでもするように
なぜ別々の道をいくのか
理由なんて知らな ....
誰かが
だましているんだなと思う
ぽかぽかとして
冬なのにこんなにあたたかい日は

だから
あたしは
まーだだよと言う
あわてて
かえるが起きてこないように

誰かに
だまされ ....
 森の中に『くまカフェ』がある。とんがり屋根の丸太小屋。夏にはハーブが咲き乱れた庭も、今ではすっかり刈り取られて、来年の春を待っている。

 店主のシャルロットが開店準備を終えて、窓のカーテンを開 ....
ひらがな、が落ちてくるように
迷いながら雪が降ってくる
日本にちりぢりになった
あ、い
どれだけのあいの組み合わせが
あるのだろう

やがて
あ、と、い、は
溶け合って境界線をなくす ....
かなしみを知る人の瞳に
映る光は
美しい矢を描く

夜を知る人の瞳に
映る光を
星と呼ぶ
いつか必ずなくなるさだめの
命もまた
美しい矢を描くだろう

天涯のあちらこちらに
美 ....
子狐のきょうだいが じゃれあっている
とんで
はねて
おって
にげて
まちぶせして
かみついて
雪を蹴散らし
狩る者の本能を
喰われる者の宿命を
疑似体験をしている

思い切り ....
靴底を裏返してみる
均等に減っている
癖のない人が
うらやましい
愛用すればするほど
そこに紛れもない自分の足跡が刻まれる

靴底なんてどうでもいいぢぁありませぬか
それでもうらやんで ....
シュウシュウとやさしげな音がして
白い息
スチームアイロンにしわをのばされて
白いシャツ
出来立てみたいに ほんのりあたたかい

いくども
生まれ変われる
そんなことが幻想だと
わか ....
明日を待っています
ターンテーブルの上で踊りながら

明日を待っています
レコードの傷は今日を繰り返すけれど

明日を待っています
ダイヤモンドの針を質屋に入れて

明日を待っていま ....
糸が切れた首飾り

はずむ毬のように真珠たちが転がっていく

この道のむこうに海があることをおまえは何故知っている

宝くじ売り場の横が男の仮住まい

ジングルベルを枕に凍えて眠る
 ....
葱のねっこを捨てずに水に挿しておく

数日のちにその断面からあおい芽が現われて
明日にむかって伸びていく

これは生きている{ルビ証=あかし}
多くのものは要らないという
水と
空気と ....
明けきらぬ朝
まだ薄暗い空に
ブーメランのような白い月が落ちている
あれは誰が投げたのであろうか

キミに投げた言葉は
めぐりめぐって
自分に帰ってくる
受け止めて ボクは自分という存 ....
空から落ちてくるものたちで
世界が成り立つとしたならば

わたしたちはみな一部なのだ

遠い昔
かたわれを探し歩いた
海に続くこの道に
冷たい魂が落ちてくる
やっと逢えたと思ったら
 ....
ほら、風だよ
君のやわらかなほっぺをなでていったのは
みえないものは優しい友達

ほら、風だよ
みえないものは みえなくていい
みえないものは みえないからいい

ほら、風だよ
いつ ....
そらの珊瑚(946)
タイトル カテゴリ Point 日付
ひとひらの雪自由詩1513/1/15 10:32
ほころびを縫う自由詩1713/1/15 8:03
成人式おめでとう。自由詩10*13/1/14 11:12
雑踏自由詩1213/1/13 7:47
死に触れて[group]短歌813/1/12 0:41
調剤室で自由詩27*13/1/11 8:07
湯屋のおもひで自由詩14*13/1/9 8:55
名前を呼ぶ自由詩23*13/1/8 8:52
素描自由詩18*13/1/7 8:00
めかくし自由詩1413/1/4 9:00
くわい自由詩30*13/1/1 10:09
クリップ自由詩18*12/12/29 8:06
マグネット自由詩20*12/12/28 11:10
ネズミーランド自由詩10*12/12/25 9:55
No Country自由詩1512/12/24 9:04
しあわせ自由詩2612/12/23 8:51
十三歳のコラージュ自由詩1112/12/22 8:16
かくれんぼ自由詩19*12/12/21 9:13
The Tale of Bear散文(批評 ...612/12/20 10:48
ひらがな自由詩28*12/12/20 8:35
美しい矢自由詩22*12/12/18 9:22
遊ぶ季節自由詩10*12/12/17 8:20
靴底自由詩24*12/12/14 8:54
スチームアイロン自由詩19*12/12/14 8:06
明日を待ちながら自由詩10*12/12/13 8:21
仮住まい/師走の街角で信号待ちをしている自由詩9*12/12/12 10:22
自由詩14*12/12/12 9:06
帰去来器自由詩7*12/12/11 8:36
はつゆき自由詩1512/12/8 14:31
遠い丘から自由詩1012/12/7 21:22

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