冬の落ち葉は屋根ですね
虫は春の夢をみる
柱も窓もないけれど
いのちが育つ
そのために
必要なものはそろってる
無用なものは何もない
あなたに家があるように
わたしに家があるように ....
冬の朝
道路に てぶくろが落ちている
手の形に作られた
左右対称のかたわれ
いつからここに取り残されていたのか
拾ってみれば
柔らかく凍えていた
{引用=ナイタアカオニ
アレハ
....
みいちゃんは
働きながら
ずっと両親と同居して
後半二十年は介護して
ようやく見送りました
パラサイトシングルとか
親離れできないとか
みいちゃんのことを
呼ぶ人もいたようです
....
【合唱コンクール】
中一の娘が学校の合唱コンクールで、伴奏を引き受けてきた、と驚愕なことをいう。
娘がピアノを習っていたのは小学校三年までで、どこをどうやったら、そういうことになるのか。
....
【つぶつぶとうがらし】
このタイトルが、イコール「粒々辛苦」の振り仮名だと思う人がいたら、その人は私の同級生の○○くんかもしれない。
そう、小学生(たぶん6年生くらい)の時、国語の書き ....
廃屋になる少しまえ
きみょうに やねがかたむきはじめた
それは ただのきっかけだったが
終わりまで止むことの
許されない
狂ったアリアだった
ちょうつがいが蝶に戻って飛び立つころ
えんき ....
しゅんしゅんと沸く湯気の上はがされていく、ボクののりづけ
きぶくれた冬の雀がひだまりでおとぎ話の続きをうたう
かあさんの手冷たいねりっちゃんの手はあったかいね
火傷した誰かの指のため ....
赤いウミウシの模様であった
デパートの包装紙
それで母はちゃっちゃかと洋服の型紙を作る
かつて何かを包んだものの匂いがしていた
ヒトガタに切った人形が
夢のなかでトモダチになるように
....
いい格好しなくていい
むしろ
ちゃんとしているとつまらない
ちゃんとしない人生を生きる勇気はないけれど
せめて
目も口も鼻も
とんでもなく
へんてこにしたれ
おかしくしたれ
ぶっちぎ ....
雪は
ひとひらと数えます
ひら、ひらと
落ちてくる様は
心がなにかを探しているようで
雪を
ひとひらと数えます
ふたひら
みひら
あとはもう数えるのは止めました
あ ....
ほころびを縫う
小さな欠落をたぐりよせながら
そのひとつひとつを
確かめるように埋めていく
ほころびのない人生など
ない
冬の夜にほころびを縫って
いる
母さんにもらった針 ....
大人になったら
幸せが飛んでくると思っていた
けれど
幸せの羽は飛び去るためにも存在する
大人って
幸せにちゃんとさよなら、できる人
ひかりをみつけたよ
人が踏みゆく
黒いアスファルトのなかに
埋まっている
埋まっていた
だけど
誰も
拾わない
拾えやしない
だいあもんどなんかより
き
れ
い
どこ ....
死がそこにあることを知る幼子も羽だけ残し逝った虫の
きょうもまた葬儀場に黒々と人は集まり人は集まり
病葉を冬のひざしに見透かして空のこんなに小さきことを
この世への未練を断ち切る日数 ....
たとえば
悪意であったなら
オブラートに包んで飲み込む
たとえば
優しさであったなら
丁寧に蒸留したあと
春色のカプセルにして
冬に打ちひしがれた小鳥のために
蒔いておく
た ....
空っ風の吹く夜は
別宅の湯屋のうすい硝子戸が
ぶるぶる震えて怖かった
ぼんやり灯る電球の下
木の蓋をとれば
お湯はもうもうと息を吐く
祖母は
もう、いいよ、というまで
ごつい亀の子 ....
言葉、とは
不思議なものだ
スリッパだと覚えれば
スリッパ以外の
なにものでもなくなる
寒い冬
人の足をあたためて
踏みつけられているくせに
そのいでたちは
ほんのり可笑しみを含 ....
冬をついばむ
くちばし
幼い蕾が
羽ばたく季節の夢をみている
今はまだ色を持たずに
たくさんのおみくじが
今年の枝に結ばれて
羽ばたく明日を待っている
少し前まで
小さな ....
ほら
めかくしをすれば
大丈夫
この世の全てのかなしみを
わたしの手で
隠してあげる
あなたが
もういいよ、といったなら
指のすきまを開けましょう
朝
目覚めて
しずしず ....
初々しいと言えば
きこえはよいが
あのころの私はとても無知だった
結婚して初めて過ごす夫の実家でのお正月
おせちに「くわい」を炊くという
新種の宝石のような
淡い水色でつやつやの丸い物 ....
書き散らかした
言葉のきれはしを集めて
布団にしていたけれど
とうとう
足の踏み場もないほどになってしまったので
優しく重ねて
クリップで留めておく
クリップが
あなたの詩集だよ、 ....
夜の天幕はマグネット
キミが蹴ったつまらない石ころを
引き寄せて
星にすりかえる
朝が来るまで
せめて忘れたふりしてる
自分が永遠に満たされることのない
闇であることを
さみし ....
サンタクロースの
魔法がとけるころ
子供は無邪気な子供でなくなり
世界のファンタジーは
魔法使いになれなかった
大人が作っているものだと知る
ネズミーランド
幼いキミは
ディズニー ....
風が
やすやすと
国境を越えて
やってくる
クリスマス寒波に
背中を丸めて帰りを急ぐ人の
ひとりにひとつ用意された家路をたどれば
夜に沈んだ土地に
ぽつり、ぽつりと
灯りがともさ ....
よくばりになると
しあわせは逃げていく
くらべると
しあわせは逃げていく
おいかけると
しあわせは逃げていく
手の届かない
遠いところへ
逃げていってしまったと
思っていたら
....
枝毛さがしは
手軽な気分転換だった
枝毛をみつけては
はさみで英語のプリントに
切り落とす
一本の毛が
まるで
仲違いでもするように
なぜ別々の道をいくのか
理由なんて知らな ....
誰かが
だましているんだなと思う
ぽかぽかとして
冬なのにこんなにあたたかい日は
だから
あたしは
まーだだよと言う
あわてて
かえるが起きてこないように
誰かに
だまされ ....
森の中に『くまカフェ』がある。とんがり屋根の丸太小屋。夏にはハーブが咲き乱れた庭も、今ではすっかり刈り取られて、来年の春を待っている。
店主のシャルロットが開店準備を終えて、窓のカーテンを開 ....
ひらがな、が落ちてくるように
迷いながら雪が降ってくる
日本にちりぢりになった
あ、い
どれだけのあいの組み合わせが
あるのだろう
やがて
あ、と、い、は
溶け合って境界線をなくす ....
かなしみを知る人の瞳に
映る光は
美しい矢を描く
夜を知る人の瞳に
映る光を
星と呼ぶ
いつか必ずなくなるさだめの
命もまた
美しい矢を描くだろう
天涯のあちらこちらに
美 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33
0.35sec.