お部屋の外の漆黒に
銀のスプーン揃ってる
少女は絵本を抱きながら
ちっとも読まずに泣いている

今夜はきのうと違う宵
だけども少女の時計では
背丈の伸びに判をして
こころの伸びには封を ....
一月も終わりの午後五時
ひとは空にさよならの意味をみる
悟っていますとしるしを頬にのこし
そんなものを持っているさいわいなひとならば
家路へ、と

かなしさは漆黒へは入り込めない
だから ....
梅の便りを公園は
おとなこどもに知らせてる
いやいやまだだという冬は
春遠からじと知らないで

そのうち自分のこころとは
うらはら泣いて泣きやめず
どうしてなにがかなしいか
問うても問 ....
あしたのわたしへ宛て名を書いて
あした行き切符に切手を貼って
翼持つきみにそらの航路を頼んだら
届くだろうか夢にみる涯まで

続きは全部あしたにまかせて
きょうをおおよそ終える頃
眠る枕 ....
眠れないならきみを思おう
どんな理由でもきみを思おう
目覚めたくなければ夢できみと会い
白日の木漏れ日はきみへのうたを描くために

なんでも良いんだきみを思いたい
窓辺にあるのがお人形でも ....
聴きたいのに凪いでいる夜
風よ
うたってよ

聞きたいのにきみの声
どこへ行ってしまったの
いつかの空の白煙に乗って

しん、としたまま白んでゆくのか

灰紺色の星のまばらな
 ....
 「きみの詩」

冬の庭にきみは
一所懸命に
種を蒔いている
ときには雪、吹雪のなかでも

脳裏をよぎらないかい
咲くわけがないってこと

、わたしは
たずねない
ただ
じっ ....
こんな街の外れの路地裏で
こんな冷たい雨の日に
あの娘(こ)今日も
たった独りで
佇んでいるよ こんな時刻に
学校 どうしたのかな
制服姿で 大丈夫かな
明日までに乾くといいけど
突然 ....
黄唯色まであと少しの
三月の入り口で
ため息まじりに

  切符ください

と言っている老婆がいる
本当にゆきたいのか
わからない

  切符ください

まだ、佇んでいる駅舎の ....
空耳だったのかもしれないけれど
わたしはドアの鍵を開けたまま
外出した

帰宅すると少女が
ちゃぶ台のきちんと下の座に
膝っ小僧をそろえて少し眠たそうに
座っていた

よく知っている ....
青い花をみつけた
夏、君を撮った
盗った、だろうか
そんな感じ

帰ってモニターで
可愛がってから
サマーブルーと名づけた
プリントアウトして手許に

は、せずに
季節のめぐりのなか
ときおり君を可愛 ....
三丁目が壊れてゆく
西から南西にかけて壊れてゆく
止めるすべはない
時代は崩壊に味方している

ツリーはごく近い市井にはみえずに
遠くから客を招くに余念がない
そういえば花火だ
なんと ....
明るまない窓の外をみながら
早すぎた目覚めに舌打ちをする

一月の午前四時

常識を忘れた空腹が訪れるが
理性はそれを満たさないことを選ぶ

代わりに水を一杯手許に置いて

グラス ....
あの日掬ったひかりは
いつかカタチとなり
カタチとなったからには
失われるのだろうか

案じながら
モニターで監視している
こんな灰紺の夜に
まばゆさを







 ....
LEDひとつに
頼るだけの夜の一人は
優しい時間を知っている
あのひとがくれて
のこして経った
時間もまた
優しくて

十二月だ
死をふたつ知っている
十二月だ
あした雪は降らな ....
爺ちゃん

本当の爺ちゃんじゃないけど
本当の爺ちゃんみたいな
爺ちゃん

筋の通った生き方を

辛抱強く
教えてくれた

わかるまでに何年かかったのか

、だけどさわかったけどもその前に
まずはお ....
きみの産声は
午前6時のものだったらしい
かつて手帖があったころ
盗み視た
かすかな記憶
その時きみを照らしていたのは
夜明けという天然のシャンデリア
きらきらとさやかに
祝福はあった ....
いま
言われたいことが
転がっていない夜
灯りは決まって
白色の町
自転車で抜けて
風も無い
向かいっ風も
追い風も
泣いていい理由ばっかが
ダイヤモンドの原石かのように
きっとこれが最後
いつもそう思っていた
なにかさやかなことがあると
神さまから戴いているこの世での運を
いまこそ使い果たしているんだ


見あげるとどうやら降りそう
雪? だといいけ ....
浜の足跡
とうに消え
浜のお城も
とうに無い

あの子も
あの子も
帰っていった
帰るべき胸へ帰っていった

母さんのシチューが
湯気立てる
初冬の台所

覗き込む
その ....
はざかいの風が
わたしの季節を
灯し忘れて経ってしまった
とりのこされて

きょうも
おとなりの芝は
あおく
まばゆく

中途半端な雨降りばかり
こんな夜にも
手ばかり冷える
 ....
空をあおいでも
それでも足りない日には
年輪を刻んだ自販機に
たずねればいい
コインの用意はいいかい?
きっと応えてくれるから
躊躇わずに
それ、
買いなよ
いのちが潤うよ
どんな ....
きみが写真のなかで笑う
だけの日日になって
きょうも散歩道には
影法師が一つ
靴音も一人分

でも炊飯器は相変わらず一回に
四合を炊いているよ
楽をしたくって

バックグラウンドノ ....
首都高に陽は沈み
滞りのなく済んだきょう
帰り道にも屈託のなく
靴を脱ぎ捨てようなんて思わずに
橋を渡ることができた

今は部屋にくつろいでいる
五畳のわたしの聖域は
しっかりと夜の帳 ....
風が色を脱いで
凪と転生したのでようやく
息をつける嵐のあとの
藍色の雨のなか

隣に誰の無く
歩く傘を持つ手がそ
っとふるえるのは
これは

弱さじゃないよ
、と聞くものも無く ....
知ってた
みたことある
ここは春
夕日の庭に
すみれが俯いている
きょうの
最後の陽光は
わかっているよ
とうなずいて
わたしの誕生花を
すべらかな
風のてのひらで
撫ぜて
 ....
吐く息が部屋のなかでも白を語る
かじかんだ爪先に靴下を与えるでもなく

窓の外
早すぎた目覚めがかなしく
ひとりを悟る

{ルビ時間=とき}に負けて
遠のいてゆくあなたの微笑みは
ま ....
寄り添いたい
あなたと
冬はもうそこ
木枯らしは近い

並木は化粧を剥がしだし
惜しげもなく
紅いを降らす
さよならの

似合うばかりの
薫り立つ
かなしい晩秋

思いだけ ....
いま時分には珍しい朝凪に
吸い寄せられるように
車を止めて
浜へ降りて行った

もう、母国に
呼ばれることのないカモメたちが
白を惜しまずに羽ばたいている
水面はきらきらとさやかに
 ....
陽は沈み
わたしも 想いに沈んでゆく
白かった あの少女のワンピースに
色を重ねるみたいに

  おとなの
  ぬりえ
  おひとつ
  いかが

決して 一概に、一途だったとは云 ....
もっぷ(1239)
タイトル カテゴリ Point 日付
私の名前自由詩513/1/29 15:53
あかね自由詩413/1/29 7:55
春遠からじ自由詩513/1/29 1:10
カモメのこころ自由詩413/1/28 15:20
ラヴソング自由詩413/1/28 1:13
うたってよ自由詩413/1/28 1:07
ふたつのソネット自由詩513/1/23 10:09
路地裏の娘携帯写真+ ...713/1/14 6:16
切符自由詩413/1/13 2:12
自由詩213/1/13 1:14
サマーブルー携帯写真+ ...413/1/11 9:01
歴史という名のはるか自由詩613/1/11 5:33
午前四時自由詩613/1/11 5:14
靴を履いて携帯写真+ ...413/1/8 6:41
LEDよ自由詩712/12/30 21:21
だから長生きしてよ爺ちゃん携帯写真+ ...612/12/30 3:01
きょうも問う自由詩812/12/25 18:34
風の無い町自由詩812/12/24 2:30
マッチ棒自由詩512/12/23 18:22
初冬の台所自由詩712/12/22 15:22
暖冬未満自由詩612/12/16 2:58
効くよ!自由詩712/12/15 21:49
慟哭自由詩512/12/12 1:51
サンクチュアリでの夜の、自由詩1012/12/11 13:31
夜ひとつ自由詩512/12/10 23:19
くれるまえに自由詩312/12/10 15:11
自由詩1712/12/5 12:31
晩秋ひとり自由詩312/12/2 23:06
大丈夫自由詩512/12/2 1:54
おとなのぬりえとシュレッダーとの相性自由詩712/11/23 17:09

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