わたし
春の畑をあるく
やわらかな雨に匂いたつ
赤土
影の淡い腕が
いくほんも突きだして
足首をつかむ
でも
死んだ者のちからはよわい
幽明のあわいに建つあの門が
ぎらりん ....
昨夜連詩に参加して、私は不意に気がついた。私は七五で暮らせると。七五でしゃべっていられると。気がついたらばおしまいだ。浮かぶ文章みな七五。それでこの文、ごらんのとおり、ずっと七五で書いている。続けるこ ....
少年や六十年後の春の如し (永田耕衣)
加藤郁乎と同じくらいに、このひと永田耕衣もすごいおひとなのであった。加藤郁乎に比べるとかたちが非常に整っているので一見まともな印象を受けるが、上記引用の俳 ....
にんげんのやることじゃないです
と にんげんがいう
にんげんのこういにたいして
人間だけが原水爆をつくる
人間だけがアウシュヴィッツをつくる
人間だけがサリンをまく
人間だけが手を汚さ ....
ここから出なくてはならんのである
いつもよりは前向きな気分なのである
なんとかせなならんのはわかっているのである
何をどうしたらいいのかもわかっているのである
こんなことしてる場合でないのも
....
遺書にして艶文、王位継承その他無し (加藤郁乎)
どこが俳句なんだと悩まないように。作者が俳句と言やそれは間違いなく俳句なのだ。加藤郁乎は、この手のすごい俳句をものす私の大好きな俳人の一人。彼の ....
このシリーズは「俳句の非ジョーシキ」であって「俳句のジョーシキ」ではない。勘違いしてる向きがあるとびみょーになんだから、念のため。
さて、ジョーシキを蹴飛ばす前にジョーシキを認識しておけというこ ....
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=8106
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=8192
http://po-m. ....
ええと、俳句結社に入っていたり、俳句について勉強していたりする人は読まなくていいです。あくまで初心者向き、老婆心のお節介的文章。あのねそこのひと、ベテランは読まなくていいんですってば!
(ここよ ....
年寄ると
雌牛の乳房はずるりとながい
地面につきそうなくらい
搾乳器にもかけにくい
隣の牛に踏まれると
乳房が裂ける
裂けると
いつものおじさんがきた
麻酔したのかしないのか
....
牛が生まれる
大騒ぎしているのは人間ばかりで
牛は慣れたもの
これで五度目のお産だ
まだちいさいわたしは
目をみひらいている
子牛は逆子で
おじさんは苦労している
どうやったも ....
わたしがまだとてもちいさかったころ
牛舎でチャボを放し飼いにしていた
あのころもたぶん
鳥インフルエンザはあった
卵を隠すチャボがいた
牧草の陰にふたつみっつとあった
探し当てると ....
または未来人ラツキの警告。恐るべき未来言語「ら付き」言葉を知らない人は、「続々レレレのレッ!」を読んで復習しておくように(だんだん態度がでかくなってきたぞ)。
レレレのレッ!
http://p ....
または帰ってきたサイレ星人。じゃなくて、「さ入れ言葉」の弁明。「さ入れ言葉」がわかんない人は、以下の文章を読んでおくように。
レレレのレッ!
http://po-m.com/forum/showd ....
またはレタス魔人の逆襲。じゃなかった「れ足す言葉」の逆襲。「れ足す言葉」が何か知らない人は、先にhttp://po-m.com/forum/showdoc.php?did=8106&from= ....
私はら抜き言葉がとても嫌いだった。「ら抜きの殺意」を抱きかねないほど嫌いだった。しかし最近はだいぶ慣れて、ら抜き言葉にでくわしてもなんとか耐えられるようになってきた。耐えなきゃいけないなあと思ったから ....
ここはほんとにからっぽで
なんにもないのです
ポケットだらけの服より
空気のはいったスーツケースより
からっぽです
きれいな声音で
愛について
鳥がさえずります
もうすぐ春 ....
単調な電子音。
おまえは誰かと哲学的な質問。
管制塔から?
数字とアルファベットからなる16桁の識別番号が私を示す記号。
であったはず。
である。
HALでないのは確かだ。
春だ ....
いまはまだ
冬の秘密を伏せておこう
ねっとり黄金の蜂蜜を練りこんで
ぴかぴかの春がやってくる
舌先で感じる原初の味覚は
甘味なのだから
わたしは拒まない
とろりながれる黄金の ....
海があんまり静かで
手を突っ込んでみても濡れない
顔を突っ込んでみても息苦しくない
ということはどうやら夢をみているらしいから
潮の匂いすらしない潮風に吹かれて
飛んでみようとおもう
....
ミミズには裏表があって、裏側は表に比べてちょっと色白で、ミミズは裏を下にしてないと這うことができない。こういうのこそ無駄な知識というべきで、ミミズを実際に手にとってみたひとは知ってるだろうし、ミミズな ....
真夏の草いきれ。
立っているだけでじっとりと汗。
しかしこいつだけは
やけに涼しげだ。
やさしいみどりの草のうえ
冷たい泡で身体を覆って
まるで
クーラーの効いたワンルームの住人。
....
見捨てられたガラスの温室は
屋根も壁も割れて
折れた支柱には
へくそかずらが絡まって
でもその支柱のそば
深紅の小さな薔薇が咲いていた
頼りなげに細い茎には
淡い色の棘がたくさんあっ ....
ちくりと腕が痛んだ。
蚊が刺したと思ったが違った。
淡い緑に黒い飾りの。
これはツマグロヨコバイだ。
きみが吸うのは
ヒトの血じゃなくて
草の汁でしょうが。
間違えないでほしいなあ。 ....
からっぽになったら書くことがなくてすっきり。
かも。と十九のとき思った。
おおまちがい。
胸に睡蓮が咲くなら小説にもなるけど
胸にスランプの大穴じゃ
退屈なエッセイにすらなんないもんね。 ....
忘れてませんかね
繁栄を謳歌してるのは
地球の主役は
わたしらでっせ
哺乳動物がなんですかね
冷血どもがなんですかね
もちろん鳥なんて
あんなものは滅ぶべきですな
もっとも多く ....
人間はいつもゴキブリの飛翔におののく。
りっぱな羽根があるんだから、
ゴキブリにしてみりゃ、
飛ぶのは当たり前なんだが。
ゴキブリ自体は、
単に飛びたいときに飛ぶ。
問題をややこしくす ....
博士。あなたがあちらに行って何年になるのでしょう、
数えてもしかたないけれど。
あれから、人間は全く進歩しておりませんが、
技術は立派に進歩しております。
治るようになった病がたくさんあり ....
初夏の日に映える
あの黒い羽根は
あなたにいつか送るつもりの
今はないしょの手紙
内容はまだ明かせませんが
なにしろ黒いのです
ところどころに紅さしてはいるけど
腹まで真っ黒けなので ....
そういえば最近見てないと気づくと
逢いたくてたまらなくなる
相手が人間なら電話できるが
これが実は虫の話で
面妖な臭いを発散する
コナダニつきの標本ならば
僕の抽出にあるけれど
これ ....
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