私が通った田舎の女子高は、昔はそれなりに名門の高等女学校だったらしい。しかし私が通ったころは、もうそんな過去の栄光など地に墜ちていた。そのころはまだ援助交際という言葉がなかったけれど、そんなことして ....  本ばかり読んでいて勉強というものをまるでしなかったので、学校の成績は芳しくなかった。テストの成績は悪くなく、進学校にも行けないことはない、と言われたのだけれど、いかにせん、遅刻と欠席の回数が多すぎ、 ....  お年玉の全額を本に変えるのが習慣だった。地元ではまともな本が買えないから、母の実家がある街で買った。母の実家は一応県庁所在地にあって、その周辺にはそれなりに書店や古書店があったのだ。一年に一度か二度 ....  夏が終わって、私はまた学校に行ったり行かなかったりの日々を過ごした。学校に行けばまあ成績は中の上、ほとんど図書室で本を借りるためだけに学校に通っている生徒だった。その当時、私には目も合わせないくらい ....  「SFの黄金時代は12歳だ」という言葉がある。つまり、SFが最も面白かった時代は20年代でも60年代でもなくて、読者本人が12歳だったころ、とゆーことなのである。そんなものだろうな、と私は思う。しか ....  当時私が住んでいた町には、本も売ってる店が2軒あった。言っておくが書店ではない。「本も売ってる」店である。どちらの店に行くにも、自転車できっちり20分かかった。ひとつは、スーパーに隣接した、雑誌と文 .... 明るい朝の日差しのなかで。
痙攣する手が手渡そうとする綿毛のたんぽぽ。
飛び立ってゆく綿毛、綿毛、
白いこどもたち。


白いのは綿毛ではなく世界ではなく私の視界でありより正しく言うならば ....
 13歳の私は、キャプテン・フューチャーと火星シリーズと栗本薫の小説を愛した。それらの本はすべて母が母自身のために買ったものだった。母が買ってくる本はだいたいが私の趣味にあっていたし、面白くもあったの ....  11歳の年に、私の人生は暗転した。何がどう問題だったのか、私は詳しく書きたくない。私はそのできごとについて様々なかたちで詩にしている。勝手に想像だか妄想だかをふくらませてもらって、かまわない。ともあ ....  まず、母について語らねばならない。

 私の母は、かなりとんでもないヒトである。イナカ住まいの高卒のキャディーだというのに、創刊号からSFマガジンを購読し、本棚には中国文学と江戸文学とハヤカワ ....
最初に言っときますが、私にモラルとか良識とか常識とかコモンセンスとか(みんな似たよーな意味やん)を求めてはいけません。あと念のために言うときますが、私は、趣味のガクモンで俳句と民俗学をやり、一年に一度 .... 赤いマルボロを吸ってる
黒いコルベットに乗ってる
カントリーウエスタンとブルースが好き
なんていうとかっこよさそうなんだけど
要するに単なるかっこつけたがりで
実はバツ2で
っていうひとの ....
私の仕事はガテン系なので、仕事中は、いわゆるカーゴパンツ、動きやすく、大きなポケットがいっぱいあるズボン、それも男物を穿いている。男物の服のポケットは、女物のそれに比べると段違いに大きく使いやすい。財 .... じきに三月尽であるからして
桜満開
梅は散った

夜のあいだ働いて
朝がきたら酒を飲む
なまぬるい部屋で
カーテンを閉ざして

なにもかも逆さまで

だってほら
無言に近い状態 ....
寝ても覚めても
と言ったら嘘になるので
覚めているときに話は限定されるが
覚めているときは
いつも
同じことばかり考えている

眠る私はきわめて自由で
木製の魚にまたがって
月まで飛 ....
片足だけ靴履いて
レプラコーンに会いに行こうよ
どこにも続かない道を
どこまでも行こうよ
白いTシャツの下には
ブラジャーしてない
そんなもん一年くらいしてない
めんどくさいから
ってのが理由じゃないけど
ほんとは

I'm here
I'm here

これ昨日読んだ ....
星砂は生物の死骸で
きらきら光ったりはしない
でも星砂はそれなりに夢の結晶
そういうものならあげられる

ビオトープには囚われのメダカ
アクアリウムには透明なナガスクジラ
プラネタリウム ....
地球上に私の居場所はない
でも居場所くらい自分でつくれると思った
でかい大陸は無理だったが
ちいさな島をつくるのはそんなに難しくなかった

島をつくったとたん流人たちがやってきた
できたて ....
何が残っていただろうかとポケットをひっくり返す
というのは私の好きな詩人がすでにやったことの二番煎じなので
これはまずいと思い
何が残っていただろうかと自分を裏返す

粘膜
血液
脳漿
 ....
どうも私にはあるべきものがないらしい、と
気づいたのは昨夜、
生まれてはじめて銭湯に入ったときであった。

客の一部はタオルで下を隠していたが、
そこにあるものはあってしかるべきものであって ....
浴衣を着たこどもなのでした
まだ菜種梅雨も過ぎぬというのに
二本の鉛筆のように突き出た裸足は
春泥にまみれているのでした

これあげる
こどもはあかるい声で言いました
小さな手に握られて ....
いつだって空は俺の庭だったよ
無法なソ連の女パイロットが飛び交うときも
嫌味な米軍野郎が進んでくるときも
空はきっと俺たちに逃げ場を提供してくれた

あるとき攻撃をすりぬけて雲の上に出て
 ....
切り刻め
春を
芽吹きを
生え初めたばかりのあわい下草を

切り裂け
よく研いだ鉈で
大地を
老いぼれた大樹を
枯れながらまだ生にしがみつく老骨を

一刀両断されたきみの住まいに ....
俺はこの島にあって
風のまにまに漂う
俺の声を聞いたら
おまえはもう自由ではない
そこにはない雨のしずくが
おまえの頬を洗う

足が重いと感じたら
そこに俺がいるのだ
 ....
俺の恋人は
俺を置いて行っちまった
どこに行ったかはわかっているけど
追いかけてゆくのは大変だ

道はわかりやすい
迷うほどの道はありゃしない
あいつが行くのは
いつも決 ....
水時計は五色、
薄紅、薄青、亜麻色、鈍色、萌黄、
途方もなく贅沢な時計、

薄紅ならば奥方さま、
薄青ならば二の奥さま、
亜麻色ならば三の奥さま、
鈍色ならばあたし、
萌黄ならばあなた ....
あかねさす紫野ゆき標野ゆき
そんな旅を胸に描いた{ルビ妾=わたし}は
愚かだったのでございましょうか
野守などはおりませんでしたのに
せめて手をお振りになってくださったら
それだけでも嬉しう ....
バスタブいっぱい満たされたお湯に
ここちよくぬくもって
からだをのばして
ねむってもいいんだ

鮮烈さがほしいなら
シャワーを浴びたらいい
冷たい水が
ゆるんだ頬をきっとひきしめる
 ....
あてどない という言葉と
鍵 という言葉
ばかり頭に浮かんで
要するにわけがわかんない

風を名づける人たちに
風の色を訊ねてみた
だあれも知らなかった

なまぬるいきさらぎの曇天
 ....
佐々宝砂(921)
タイトル カテゴリ Point 日付
異形の詩歴書 高校編その2[group]散文(批評 ...306/4/18 8:20
異形の詩歴書 高校編その1[group]散文(批評 ...406/4/18 8:19
異形の詩歴書 14歳冬[group]散文(批評 ...406/4/18 8:17
異形の詩歴書 14歳秋[group]散文(批評 ...706/4/16 0:59
異形の詩歴書 14歳夏[group]散文(批評 ...406/4/16 0:58
異形の詩歴書 14歳春[group]散文(批評 ...606/4/16 0:56
震顫[group]自由詩1406/4/15 0:46
異形の詩歴書 13歳[group]散文(批評 ...606/4/14 21:03
異形の詩歴書 〜12歳[group]散文(批評 ...506/4/14 2:02
異形の詩歴書 〜10歳[group]散文(批評 ...506/4/14 2:00
意志でなく運命でなく(愛国心について)散文(批評 ...4*06/4/13 14:56
黒いコルベット自由詩3*06/4/5 18:31
いつもポケットに詩人散文(批評 ...12*06/3/31 20:31
さよならからはじまる自由詩706/3/28 1:06
安全剃刀[group]自由詩3*06/3/28 0:45
明日には消える携帯写真+ ...1206/3/16 0:21
I'm here自由詩4*06/3/15 17:58
I gotta love you自由詩706/3/15 3:12
流人自由詩306/3/15 2:39
さよなら自由詩406/3/15 2:20
自由詩4+06/3/10 16:32
蝋梅自由詩706/3/10 16:00
ようこそ 新米くん[group]自由詩506/3/10 15:57
冷蔵庫の扉に貼ってあったメモ自由詩1206/3/6 15:07
夜のメッセージ自由詩306/2/17 22:21
俺の恋人自由詩2*06/2/17 22:20
冬のカナリア[group]自由詩6+06/2/17 22:18
ものや思うと問わば問え自由詩606/2/16 18:12
バスタブの肺魚自由詩406/2/16 18:08
それでも私は元気だよ自由詩7*06/2/16 18:02

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