俺はあいつが嫌いだ
はらはら散る桜と同じくらい嫌いだ
もっとも俺は
ぼとんとみっともなく落ちる椿も嫌いだが
だって考えてくれ
生首に潔いもクソもあるか
ぼとんと落ちようが未練たらしく落ちよ ....
昨日と同じ言葉でわたしはおはようをいう
昨日と同じ声で
昨日と同じ表情で
昨日と同じ空に
昨日と同じ色合いの雲が浮かぶ
というのは嘘で
昨日と同じものはなにひとつなく
昨日と同じではあり ....
見てはいけないのだとわかってはいた
誰か忘れてしまったが誰かに教わったのだ
父でも母でも兄でもない誰かに
たいして長くもなく広くもないその川のその場所には
かつて利用されていた潜り橋の名残があ ....
1.

高く掲げた手のさきには指がなかった
ただ丸い肉塊である手は
指を持たぬのに天を指さした
天下人と呼ばれた男は
その指のない肉人を
食えばよかったのに食わなかった
食われなかった ....
わたしたちはいつかきっと死ねるのだから
ジム・モリソンもシド・バレットも
ヴォネガットだって死ねたのだから
今は死ねなくても
こころさわやかに朝の唄をさえずろう
ゆっくりと自分を殺してゆくた ....
眉村卓の古い短編小説に「わがパキーネ」というのがある。私が最初にそれを読んだのは1982年。十四歳の夏だった。ヒマでたまらない十四歳の夏休み。自分自身の汗の臭いと、隣で飼ってる牛の悪臭と、それらをぐる .... いいトシこいて
朝の5時にヘロインなんか聴いてるわけだ
効いてるわけじゃないよ聴いてんのだ
おらおらおらおら口があんなら怒鳴れ
耳があんなら尖らせろよ
カエルどもが土から出てくるまえに
長 ....
遠いロンドンに宣戦布告してみたり
そばに立っててくれと頼んでみたり
それでも飽き足らないので
火星の蜘蛛と宇宙に飛び出してみたり
それでもどうしようもないから
私に火をつけてくれと懇願してみ ....
雨が降るので家の中にいる
猫は寝てばかりいる
雨が降らなくても寝ているが
雨が降るとよけいに寝てばかりいる
猫は役に立たないと思う

思うが
冷静に考えれば役に立っているのだろう
と思 ....
うっとりと眠っていた二人の鑑賞者は
ココア色の映画館で目醒めた
過去の亡霊の囁きももはや息絶え
湿っぽい空気と静寂があたりを支配している

静寂を保ったまま映画館が崩壊する
暗闇 ....
猫が激しく鳴いて春で
いや正しく言うなら地球のこのあたりは春なのだ
こちら地球そちらは

あずかり知らぬあっち側の諍いに
液体ヘリウムをぶっかける
それから逃げだす
ものすごくものすごく ....
桜狩せむとて山路歩みゆき花と思へば若葉の山よ山の若葉よ

社には仏ゐますと聞きたれどただ漂へる香りは花よ花の香りよ

里離る山の井の辺に桜花たれ知らずとも見給ふ仏ほとけ御覧ず
うたのように
春のそらに雲がうかんでいます
うたのように
あのひとの左手がきるきるとうごきます
うたのように
あのひとの右手がたくたくとはじきます
うたいかたを忘れてしまいました
うたえ ....
音を立ててブナの木は水を吸い上げる。
地下の滝は光を求めて上昇する。
森は暗く木々はみどり。
凡庸な言葉が指をすりぬける。

緻密な理論はブナの木に関わりがない。
ブナはただ立っ ....
蝋梅の溶けゆくさまは蝋に似ず

春眠や豪華三本立ての夢

啓蟄や朝日を浴びて我眠る

流し雛流さず焼きぬ空に舞へ

この土はまだ生きてをり下萌ゆる

龍天に上る日を違へはせぬか
 ....
燃えるために燃える
反応が終わるまで
命じられても消えない
炎はただ現象だから
命尽きることを知らず
酸素があり
酸素と反応するものがある限り
燃えるために燃える
知らぬまに歩き始めた恋心
   おんもに出してとみいちゃんが言う



開花予想なんか気にせず咲きなさい染井吉野も河津桜も

駿府城見上げる街に銀座の柳、本家の柳も青く色づけ

おっ ....
今私は、記憶障害の副作用のある薬を服用した上でこれを書いている。文体の癖が現れやすい状態だ。自覚している癖はいくつかあるが、特に嫌になるのは馬から落ちて落馬しちゃう癖だ。だらだら書くとよくそうなる。レ .... 粗雑に書いてみようと思う。何も調べずに、なるべく何も考えずに。こんなことをするのは、もしかしたら私はものを粗雑に書けないのではないかと不安になったからだ。現実の私はかなりデタラメでいい加減だが、文章上 .... ほんのわずか 2キロメートル
そう わずかに三十分も歩けば
この身体はそこにたどりつくのだ
あなたのいる場所に
小綺麗なだけの安っぽいアパートの一室に
まるでラブホテルみたいに
 ....
私は基本的にバカバカしいことをするのが好きだ。この場合、バカバカしいことというのは、やってる本人にだけ意味があって他の人には全く無意味なバカバカしいことを指す。他の人に迷惑なバカバカしいことは避けたい .... 携帯電話の電池が切れかけている。私の電池も切れかけている。38時間近く眠っていない。忙しかったのではなく単に眠れなかった。眠剤がきかなかったのだ。時々こういうことがある。交替制の工場で働いていて生活リ .... 蛭に血を吸はせてをりぬ歌舞伎町(角川春樹)

角川春樹と村上春樹をごっちゃにしているひとをみかけたので、角川春樹について一度書いておこうと思う。角川春樹はかつて角川書店の社長だったが、麻薬でとっつ ....
我々の生命活動に大きな影響を與へる、
幻の素子、
マイナスの質量を持つもの、
反證可能性を持たぬ似而非科學の、
古式ゆかしく愛らしい結晶、
ふろぎすとんよ!
いま私の前にある樫 ....
朝まだき春の焚火のやはらかく

四十雀日雀春田の修飾符

曾祖父は清水一家や忘れ汐

春の海見やり枯木に火を点ける

野火猛る猛れども焼き尽くさずに

焚火して未だ青春の語を背負ふ ....
夜だけひらくその店の
すこしよごれた扉をあける。
煙草のにおい。
ソーダ水。
チョコレートと紅茶。

「スピカちゃんは来てないの?」
「さっきちょこっと来て帰っちゃった」
「そっかー。 ....
{画像=070219164910.gif} かたうたの対のかたうた何処にありや
  かたうたよかたうたであれ対を求めよ


春萌し君に見せむと文書きやりつ
  文書きて君に送らむ手立てなけれど


うたかたのかたうた逢はで宵を過 ....
春浅き野に花あればいざいでゆかむ

珈琲の苦さを我に甘さを君に

よる波に通ひ路あらず夢にもあらず

きさらぎの朝なほ暗く星すでに夏
彼は眠りこけているが彼女は目覚めている。

息で曇る車窓の向こうは夜更けた雪国、
どうせなら洒落たペンションにでも泊まりたかった、
と彼女は思うけれど、
財布の中身を考えれば車中泊もしかたな ....
佐々宝砂(897)
タイトル カテゴリ Point 日付
葉桜の下、一度きりの。自由詩6*07/4/22 23:17
そらいろ自由詩9*07/4/22 22:20
橋の下にある藻屑について自由詩5*07/4/22 17:49
創書日和。縁 【世界の縁に立つ三つの肖像】[group]自由詩1207/4/17 20:45
モンキーハウスの朝の唄自由詩1707/4/15 2:40
彼の、パキーネ、異形の詩歴書番外散文(批評 ...8+*07/3/28 20:53
自分自身への命令自由詩5*07/3/25 6:30
創書日和。歌 【うたえないよる】[group]自由詩6+*07/3/25 0:01
Don't give up自由詩9*07/3/24 16:29
若水自由詩207/3/24 4:46
こちら地球そちらは自由詩6*07/3/23 21:28
仏足石歌習作 やまざくら[group]伝統定型各 ...5*07/3/23 13:37
創書日和。歌 【うたのように】[group]自由詩3*07/3/21 10:53
森は暗く木々はみどり。自由詩807/3/19 22:53
奇眼(Odd eye)[group]俳句7*07/3/19 1:12
炎はただ携帯写真+ ...2*07/3/15 5:54
春の命令短歌607/3/15 0:28
癖とスタイル(親指1000字エッセイ)[group]散文(批評 ...107/3/8 8:22
粗雑に書く(親指1000字エッセイ)[group]散文(批評 ...1+*07/3/7 8:22
(わたしは千の風にならない)自由詩607/3/5 23:44
バカバカしく人生を浪費せよ、私よ散文(批評 ...5*07/3/5 2:25
夢みたい(親指1000字エッセイ)[group]散文(批評 ...507/3/4 7:58
俳句の非ジョーシキ具体例8[group]散文(批評 ...7*07/3/4 0:32
創書日和。炎 【ふろぎすとん】[group]自由詩4*07/2/28 23:03
創書日和。炎 【春の焚火】[group]俳句507/2/28 14:50
二十六夜自由詩507/2/23 23:22
上下左右自由詩20*07/2/19 16:51
旋頭歌習作 うたのきざし伝統定型各 ...5*07/2/15 3:00
片歌習作伝統定型各 ...6*07/2/10 23:35
創書日和。雪 【軍靴の響き】[group]自由詩1107/1/30 12:31

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