さまざまなかたちの痛みが
頭の左すみにころがり
右目のまわりの暗がりには
花に似た背のかげろうがいる


すいと平行に引かれた線の
変わりつづける永ささえ
なにげないものに ....
あたたかい寝まきです
でも
あたたかいふとんです
おかあさん
頭のほうが寒くて
しんとします


眠ったとたん 朝でした
お昼を食べたら
もう夕ごはん
ふしぎです ....
朝の橋に降りつもる水
最初にわたるものを待っている
粒の大きさの万華鏡
手のひらの内からこぼれつづける


指を伝う細い声
細く細くやわらかな青
微笑んではすりぬける
数 ....
裂けた木々の{ルビ音=ね}
あふれ 重なる川
虹彩の無い灰紫の眼に
生はかすかにゆらいで見える
原を駆けるものの涙も
草をかきわけるものの血も


円く平たい空気の底に
 ....
なびくもののない
丘の斜面に
影はなびき
空へ向かう
影はいつも
空へ向かう


色は草から
外れかける
外れかけたまま
そよぎつづける


陸橋の陰
枯れ川の路 ....
湿り気のなかに{ルビ詩=うた}があり
半身の{ルビ失=な}い私を{ルビ召=よ}んでいる


{ルビ咬合=こうごう}の色
強制情動
朝は汚い
震えは止まない
声は止まない

 ....
あの煙突は窓ではないのか
内に鏡が巣喰っているのではないか
めまぐるしく変わる空の色を
まるで気にもとめずに
昼の昼たる所以を
その内部から投影せしめている
あの灰色
あの煉 ....
よこしまないそしぎ
誰のための音も流れない
私の手をかすめ
とびはねては消えていく
苦しい苦しい泣き顔たち


曇りの朝は水を欲しがり
ひとり 作りものの他人にすがって泣く ....
父親が午後に死んでも腹は減る


眠くても胃が痛くても腹は減る


かゆくてもぶつぶつ出ても腹は減る


もどき詩が詩のふりしても腹は減る


鳴り止まぬ洞のむなし ....
まるいかたち
まるくないかたちのものが
手ではない手にこぼれ落ち
光や
光ではないものとともに
器のなかで鳴りつづけている


低い草  永い風
畏れをわずかに避ける影
 ....
夜とカケラと
くず拾いの顔
コップをコップで閉じ込めた輝き
薄め 薄めて
水より薄く
足を伝った油の罪
月は彼等に殺された
私は月を想って泣く
封じた想いは耕され
見たこ ....
呪いを受けよう

こころみを よしとしよう

ひらいた腕の

どうしようもなさを呑もう
風が来て
傘を川に遊ばせ
緑の拍手をする



突然の雨に
水鳥さえ流され
夏は終わる



けがれあるものも
なきものも
小さな痛みを呼ぶ



 ....
あたたかく冷たい砂につつまれる湧き水の音めぐるむらさき



饒舌を打つが私の常ならずハチドリの羽ハチドリの水



指さきに降る水銀の一粒に触れに来る火の姿はまわる

 ....
まぶたのかたち なぞるたび
まなこのかたち なぞるたび
くちびるはすこし かるくなる
くちびるはすこし おもくなる
くちびるはすこし ひらきゆく






 ....
閉じられた
まぶたのうえに
のせるくちびる


まぶたのかたち
まなこのかたち
たしかめながら


ひとりだけの あなたの
ひとつだけを
たしかめながら

 ....
そっぽを向いた鏡をなだめて
今日も自分は
この世に映る
目のなかにちいさな音の遊ぶ夜



通りすぎまた通りすぎ唱は降る



手をかすめ消える笑みたち金のいろ



生と死を斜めに飾る毒の花



天と地の ....
夜のほつれ ほとつのあいだ
横に走るいなびかり
音もかたちもないいなびかり


森に隠れた生きものの息
道にあふれ 坂を流れ
滝のように崖から落ちる


すぎるもの す ....
鏡の前のふたつの影
光をよこぎる
見えない種の重なりの影


何かを被せられた石は
何かを被せられた人のように倒れ
雨のなか打たれ はためいている


灰にひろがる白の ....
{ルビ鉱=いし}は水に落ち
布になり
底へ底へ
飛び去ってゆく


名前は流れ
誰もいない日
空を映して
さらに流れる


影をなぞる影がいて
壁のそばから道を見 ....
左まわり
やいばの先
痛みは光る
膝上の花


陽の差さない夕暮れに
何かがこぼれ 生まれる水紋
うすく うすく
つらなる水紋


誰も何故かを問わない日
醒めた ....
旅が
かすかにかしいでいる
分かれゆくかがやきの幾つかが
道に沈み 泳ぎ去る


家の陰に落ちてくるのは
わずかに早い 未来のまばたき
午後を閉じては
またたかせている
 ....
淡く背に触れ
手は消える
ふとふりかえり見るそのときに


手のひらの街
晴れ伝う水
まだらのひと


かけちがえた
ひとつのボタンだけが支えのように
光ともうひと ....
瞳のかたちの夜の食卓
ひとつの炎が揺れていて
他には何も置かれていない
椅子には誰も座っていない


波に斜めに刺さる輪があり
光の泡をこぼしている
あちこちにぽつりと灯る ....
雨水と目
異なる振れ
そよぎ そよぎ
添えられる手


建てかけの家が揺れている
手にすくわれた水の底
見つめる息と
同じ色をして沈む音


そこに ここに
残る ....
曇が曇に臥せ
金いろは
やわらかなひとりでいる


沼には醜い魚がいて
釣られては放され
土になる


石は
緑の向こうの水に気づかず
石ばかりを見つめてきた

 ....
蛾に生まれたかったものが紙に生まれて
灯りのそばにじっとしている
葉の波が
聞こえては消える



嵐は水の鳥のあつまり
道の先にいる空は
蒼にむらさき
森と同じ背 ....
陰に傾く風の段
昇る背のうた 色の段
去る朝に向け振られる腕に
空に光にたなびく水旗


棄てられた明るさの街を駆け
風に剥がれたかけらを歩み
曲がり角の影の息を踏み
置 ....
苦しみと悲しみふたつ慣れすぎて触れるときまであなたを知らず




骨と骨あたらぬようにかたち変え心と肉の汗ばむ出会い




苦しみとよろこび混じるあなた ....
木立 悟(2335)
タイトル カテゴリ Point 日付
鳴夜行自由詩406/10/3 13:40
わたせない手鏡自由詩906/9/29 15:29
ひかり あそび自由詩406/9/26 12:20
遠景 Ⅱ自由詩2*06/9/25 17:57
緑の目自由詩506/9/22 13:19
融形・疑裂[group]自由詩4*06/9/22 9:30
移行・不安(未完)[group]自由詩5*06/9/21 15:51
灰に埋もれた塔[group]自由詩4*06/9/20 13:40
腹は減る川柳606/9/19 20:56
空とふるえ自由詩306/9/19 17:57
銀と世界と[group]自由詩6*06/9/19 13:10
ノート(37Y.5・5)[group]未詩・独白206/9/18 9:17
ノート(36Y.9・20)[group]自由詩406/9/18 0:47
ある夜の色短歌606/9/17 14:47
ノート(まなすい Ⅱ)[group]未詩・独白106/9/16 22:03
ノート(まなすい)[group]未詩・独白406/9/16 22:03
ノート(43Y.9・16)[group]自由詩406/9/16 7:22
宝石夜俳句706/9/15 21:50
夜のほつれ自由詩306/9/14 18:15
ゆくえ ふるえ自由詩206/9/13 17:59
ノート(昼と羽)[group]自由詩306/9/9 20:04
花と青自由詩606/9/8 13:06
けだもの行(いとふるみち)自由詩606/9/5 13:05
青と青の日自由詩406/9/1 17:11
降り来る言葉 XXIV[group]自由詩406/8/29 13:30
水と手(青の日)自由詩506/8/27 16:04
みどり いし みどり自由詩406/8/23 13:06
晴れた灰の日自由詩406/8/21 19:50
まひる  ひびき自由詩206/8/18 12:53
あなたであるもの あなた 息の源短歌806/8/16 20:43

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