窓には
ひとつの三日月
ひとりの子と話す
風の音
油の虹


武器はなく
ひとつの羽を得て
ひかりかがやくもの
ひかり失うそのとき
居ること 居ないことを
震わ ....
糸の光が
階段をのぼりきり
壁にもたれて息をしている
痛まない傷が増えてゆく
気づかないまま
熱が流れ落ちてゆく


水に立つ片足
からだをすぎる火の粉の
ひとつひ ....
そこにあなたは
いるいない
いるいない
どちらにもまばゆい

花があり
なぞる
花になれない
指のしずく

そしてあなたは
いないままにいる
いないあなたい ....
波線の午後を
すりぬける腕
指の大きさ
夜のまぶしさ
花に埋もれ 花となり
花を生み 花を摘み


深く鏡を被る人
無数の火の穂の歩みの先へ
冬の浪の浪の浪へ
着 ....
灰は盲いて仄になり
灰より熱い火のなかにいる
背から腕へ溶ける羽
夜の漕ぎ手の手首に宿る


星の奥から風が来る
目のかたちの痛みに降る
十月十日後のめまいのために
 ....
一歩ごとに浮き沈み
左目は左足を追ってはもどり
原の左半分を見る


下だけが明るい道
上だけを聴き歩む
鳥が落ちては消えつづける道


これがのぞみ これだけがの ....
脚を焼く火が
胸にとどく前に消え
ふたたび冠のかたちに現われ
両肩を抱き燃えつづけている


まばらな陽のなか
あなたは身を反らし
地と空のきわ
水と空のきわを
飛 ....
にせものの葡萄のにおいがする
光のすきまを
さらに小さな光がとおる
貨物列車 埃の花
すぎる震え すぎる震え


高く遠く
直ぐに昇る鳥
真昼の星
青を青に打ちつけ ....
水銀の光の一粒が
横へ横へと動いている
ゆうるりと回転し
他の光をかき分けている


てのひらを巡る
遠いみちのり
つもるうつろ
熱の轍


まるめられた透明が ....
料理 塗料 におい
あとずさり あとずさり
ただ目に入るだけの曇
はじまりそうで終わる夕暮れ
水たまりも風もないまわり路


低いざわめきのあつまりが
ざわめき以外を持ち上げる ....
影なびくほうへ
路を曲がる
前も後ろも
午後になる


花の色と
名前を忘れる
すぐそばにただ
ひとつ揺れる


雨と雪が経ち
かたちは鳴る
すぎてゆく手に ....
すぎてはすぎる
曇のかたちを聴いている
水の名前に
拳をひらく


静かに紅く
夜へ降る曇
さらに暗く さらに静かに
さらに遠く さらに遠く


膝の光 銀の道 ....
芽を花を実を
踏む道をゆき
芽を花を実を
肌に宿す
瞳のなかの高い窓から
さらに高い瞳を見るひと


影の脚が
影の胴を透り
羽の浮かぶ水
何かが去った跡へと至る
 ....
黒と緑
ひともとの曇
月のきざはし
忘れられても うたいつづけて



笑顔に割れた夜の下で
いたたまれずに背を向けて
ふせ目がちに風を見る花
光のなかのまばらな道 ....
布の下にだけある光
曲げようともせず曲がる音
夜が夜であるうちに
光が 光であるうちに


花の前の
羽と獣
煙は晴れる
組みかえる脚


雨はただ道に沿い
街は ....
硬い水と硬い石が
大きな球を廻している
緑の陽の下
川へ降る雪
実り落ちる火
空へ空へつぶやく火


流れのなかに立ちどまり
流れの壁を見つめている
岩と声 波紋に ....
無数のまぼろしたち
紙を折り 飛ばし
しずく集め 飲み干す
無数のまぼろしたち
すれちがい かがやき
過ぎ去りつづける


追うものなく 請うものなく
海風は強く午後 ....
空たどる枝に
三つの時間が実る
土になれない枯葉が
芽を見つめる


まばたきのたびに 曇は増える
午後を横切るかけら におい
どこまでが空か 応えは返らず
ただ風が ....
冬の蜘蛛のかたちだけが
土の下にかがやいている
風や色とともに染み込み
夜を夜から浮かばせている


まぎれもないまちがいだけを
数少なに燃している
たなびくものが向か ....
幾つかのまことを受け入れて
小さく分かれてゆく夜の
蒼を生む声
語らない声


水の階段
つくりかけの舟
川のはざまの
つくりかけの街


砂の上の螺旋
描き ....
夜を脱ぎ 夜を着
近づいてくる光を聴く
触れるようで触れずにいる
熱のかたちの指先を見る


道に雨があり
曲がり角で消えてゆく
緑のひとつ向こうの緑を
雨はふたたび歩い ....
君のまますべてに到く君であれそう言わずにはいられない揺れ



望むとも望まないとも知らぬまに変わりつづける歩むものの背



午後になり来そうで来ない雨があり斜め ....
水の鏡の
光ではないところに
呑みこまれながら
呑みこまれずにいる


ふるえがひとつ
羽につながる
旧い言葉が
水をわたる


樹と樹のはざまを
はざまと同 ....
多くが壊れ
ひとつ残り
うつろいを生み
栄えさまよう


曇の数だけ夜があり
ひとつひとつの雨のたもと
光は布にひらかれて
足跡のない歩みを照らす


背の花ふ ....
過ぎては消え 遅れては鳴り
ふたたび現われ 昇りゆく
水たまりの径
ふいの翳り


まだ水は冷たく
指をまわす
見聞きした風
伝えられずに


陽のはざまに揚まり  ....
森の上の夜の光に
曇は高く灼けている
目を閉じても
しんと熱い


ざくりとした光のはしばし
手を振るように変わりはじめ
やがて花になり鉄になり
光と光以外をくりかえす

 ....
光の裏に氷があり
曇の奥へ
曇の奥へ
小さく水を点してゆく


陽の下の雨
雨の下の夜
夜の下の背
水みちる背


応えないものに囲まれ
ゆうるりと夜に気づいてゆ ....
布の上の鉛の絵
波に途切れ 文字になる
唱いかけ
波間の火を見
唱いだす


歯車の音がしている
陽の芯からの風にまぎれ
さらに さらに遠去かる


刺さることのな ....
切り取っては
別の空に貼り
せわしく曇り
鴉は鳴る


こわがりな子らのための菓子
運び馳せるものの頭上に
爪と牙と花の午後
交わることなく生き急いでいる


水の ....
壊れた光を抱き
小さな別れが灯り
足もとに背にまとわりつき
押しのけても押しのけても
指が沈むほどやわらかな
淡くやさしいうたを唱う


ひとつはひとつだと言う
それでも ....
木立 悟(2339)
タイトル カテゴリ Point 日付
夜としずく自由詩408/5/23 10:03
ひとつ つながり自由詩208/5/20 2:57
ノート(ひとつ しずく)[group]自由詩508/5/17 0:06
夜の声自由詩508/5/13 15:32
すぎるうた自由詩208/5/9 15:06
はざま(ひとつの笛)自由詩208/5/6 17:24
むらさきの むらさきの自由詩608/5/2 20:43
光過自由詩708/4/29 7:27
ひとつ ひらく自由詩608/4/25 10:07
ノート(夜とかわき)[group]自由詩208/4/22 7:25
ノート(離歩)[group]自由詩408/4/19 16:02
夜をわたる自由詩308/4/19 16:01
かたほうの かたほうの自由詩608/4/15 10:20
はじまりの はじまりの自由詩408/4/12 10:01
ノート(朝と秘名)[group]自由詩108/4/9 1:14
まわるかたち自由詩108/4/8 17:44
焦土金緑自由詩408/4/4 10:41
ひとつ ざわめき自由詩408/4/2 1:19
とむらいにあらず自由詩208/3/30 3:18
終わりにあらず自由詩208/3/27 14:29
へだたりにあらず自由詩708/3/25 18:04
そこにあらず短歌208/3/22 21:52
ひびきにあらず自由詩108/3/21 21:06
夜と布自由詩408/3/17 17:50
ノート(ひとつ 撓む)[group]自由詩608/3/13 20:06
降り来る言葉 XXXVI[group]自由詩508/3/12 12:37
ひとつ ひらめき自由詩108/3/10 17:48
ひとつ はじまる自由詩508/3/6 19:26
午羽自由詩108/3/2 22:13
ひとり ともしび自由詩308/3/1 15:34

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