物音と話し声を聞いたとき、ぼくは布団の中いた。
ぼくは、しばらくじっとして、できるだけ注意深く外に耳を済ませることにした。
空耳ではないはずだった。
たしかに、微かな話し声と、横たえられ ....
どうか
この手が
だれかを
たたいたり
せずに
ありますように
どうか
この脚が
届けものを
とどけ
続け
られますように
どうか
この瞳が
まっすぐで
逸らされ ....
法則
{引用=山で
イノシシとリスが
談笑している
団栗と
木の実は
こっそりと交換される}
航海
{引用=海は平面を
船乗りに諭しつづける
地球の丸み ....
ぶっこわれたたなごころ
ぶっこわれたたなごころ
荒くれ者の堕天使と
ふにくをくらうバクの群れ
ぶっこわれたいちじくの
ぶっこわれたがための
処女懐胎
赤く爛れたぐじゅぐじゅの ....
何もかも全然なっていないなと思う
みんな自分よりずっと立派にやっているよ
ぼくが彼らの何を知っているというのか
彼らの生活と考えと家庭事情の何を知っているというのか
ぼくは本当にこのま ....
心奪われる詩、とりわけ自由詩のそれにかんしてはだいたい数行読んだだけでピンと来て、後頭部から頭のてっぺんにかけてスッコーンと何かが抜けるものだ。
しかし、なかには例外もあり、これが不思議なところ ....
夜はいい
家人がめくる新聞紙の音
県道を走るオートバイ
二件むこうの玄関ベル
ナツメ電球のだいだい色
夜はいい
電気の下のアイロン台
扇風機の弱
並んだい草のスリッパ
蚊 ....
けっきょく
弱い人 なんだ
つっく づく
弱い人 なんだ
最後はやっぱり
弱い人 が
すごイんだ
そうなんだ
愛 なんだ
{引用=V6『愛なんだ』か ....
{引用=くたびれはてたやつらが
ざくざくとわきだしてきて
としとったたいようとあくしゅをする
わたくしは
くるい
すべてをだめにしたあとで
えりをただして
あしたにあいさつへいこう}
....
20代後半の頃、ボランティアをしていた事があった。
それは人生で唯一、サンタクロースの恰好をしてジングルベルを歌うのを自分に許せた季節であり、一銭にもならない仕事の代わりに、食べきれない量のお菓 ....
{引用=「言葉にならないなら、無理しなくてもいいよ。だって海にならないからって、水は流れるのをやめる?」}
サクラソウという名前の花を買った。帰り道に食材を買いに寄ったホームセンターの見切り ....
「自殺した人、地獄にいくのかな?」
深夜2時13分。サイレントモードにしてあるスマートフォンの画面が前触れなく光を発する。
{引用=ザメハ}
その5秒後に、ぼくは反射的にこう返信して ....
{引用=地球に於ける生命の反転現象について}
そろそろ認めよう、途轍も
なく分からないのを。まず世界の根底が
分からない。そして根底に根底が
あるかも、根底
の構 ....
{引用=ショベルカーをください
埋めたいものがあります
内蔵は透明です
赦しを乞いすぎました
エラ呼吸ができません
陸育ちです
キャベツを切って下さい
忘れて下さい
大人は ....
怒ってくれているうちが華だったのか
萎れたようにすぐ涙ぐんでしまうなら
ぼくらはもう終わりかもしれないのか
君の涙は所詮流れる水
心を殺してそう決めていたのか僕は
事実を ....
{引用=松本へ行く道すがら、ルート19号のダム湖を取り巻く緩やかなカーブに沿って、ぼくは軽自動車を走らせていた。流しっぱなしのYouTubeからは尾崎豊の『15の夜』が流れ出す。なんてこった。またなん ....
口達者で
何をおいても理路整然
しかも
思いやりまである妹に
君は
常々嫉妬してるね
そんなとき
僕は
微笑む
ここぞと
ばかりに
君は口が下手だ
お人好しよく騙される ....
誰が見てなくても
少しだけしっかりやろう
今夜は違うんだ
僕は姿勢をいつもより正して椅子に座ってる
君からの電話はいつくるんだろう
今夜は気持ちが少しだけ落ち着いてる
目もつむ ....
ここに記すことは
僅かばかりの蓄財の子への法的な譲渡に関するいくつかのことがら
そしてその他言い尽くせぬ様々の経緯、背景、心境を集約し遺そうとする意思
その意思はギリギリまでに削ぎ落とされ、真実 ....
{引用=「わたしたち、どうしてこんな話してるんだろうね」}
そう言って君は口を噤んだ
僕も何も言わなかった
言えなかった
沈黙がしばらく続いた
久しぶりに一緒に吸った沈黙
それ ....
ぼくは頭がわるい
悪いなりきにむかし本を少し読んだ
宮沢賢治の永訣の朝という詩が
好きで何度も読んだ
それから
長い小説を読む根気がないから
短編をいくつか読んだ
....
こころみだれることなく
いたい
ふたりで
こころみだれることなく
いられたら
こんなに
こころみだれることもなかった
こころは
もう
じゅうぶんつかれた
ののはなを ....
昼休み
休憩室
メモ帳の隅っこ
「ツライ」
と
ポツリ書かれてた
反射的に
ぼくの
頭に浮かんだのはなぜか
「トモダチになろう」
....
この詩が
誰かを幸せにしたら
ぼくは
やっと
明日へゆける気がしてる
けど
知ってる
ぼくに
その力がないってことは
でも
それにもきっと意味がある
かみさまは
たぶん ....
「がんばってるがんばってるって、それは知ってるよ」
君はぼくに何度そう言っただろう
ぼくも
君も
お互いいっぱいいっぱいだった
けれど生きていくには
相手に甘え ....
夕飯の後の食器洗いは
いつもぼくの役目だったね
陽気なリズムの音楽に合わせてササッと、そうだな…例えばアメリカのホームビデオでお調子者のパパがウケ狙いでやるような感じが理想だったけど
け ....
雨の音はかなしい
くらい雲からおちてきて
無数のものが
無数暗がりへ
途切れることがない
雨の音は
かなしい
雨になりたい
つらいとき
八木重吉という人の詩をみたくて青空文庫をひらく
ずっと昔の英語教師の声が
なぐさめるでもなく耀くでもなく
昼下がりに
しゃむしゃむと結ばれる
だいぶ昔の事だけど給料日
いろんな支払いをして残った6974円を握りしめて帰ったね
いつの間にか7000円の大台へと脳内補正がかかっていたっけ
君には言わないこの7000円で、ぼくは ....
みずからを救う詩しか求めていない。けれどもそんなもの無いのは知っている。それでも求め続けないと息ができない。だから詩を書くことをしている。詩を書くことは、今の自分にとっては喘ぎ喘ぎする息継ぎみたいな ....
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