ノートの片すみに描いた {ルビ♡=ハートマーク}
それは恋だった
でも、愛は未だ描けないでいる
夫の茶碗で朝餉を食す
手に余る大ぶりな器に
炊きたてご飯が湯気をたて
バターが溶けて醤油がかおる
虚ろに思えた ....
冥王星が冷たい冬だ
いちご
私は舌を疑う
包まれたいちご 瑞々しく 飲み物いらずの 片手にいちご
甘さの加減のきいた されど棘のない 巧み搗かれた
小さな雪だるまたち
いちご
私は舌を ....
月は 水底から仰ぐ小舟
雲の向こうをかろやかに滑り
だが本当は流されているのは雲の方
月は自分の道を行くだけだ
きみは 月のように生きるのか
風に流されることもなく
....
マイナス30度樅の木裂けます
わたしいぬになります
でんし透明になって天使
お ぶってわたしを
おなかすいているので蜜いりりんごたべさせてください
「太陽はまさか断行する ....
喜望峰なら何度も通った
あの岬までともかく行けば
回った先には
ひとつの道があると聞いた
懸命に漕いださ
まだ何も見えないが
すでに良い海路を進んでいるんだ
きっと空も晴れるさ
波 ....
あなたは
とても綺麗に微笑みながら
水のような滑らかさで話をつなぐ
わたしは
そんなあなたに見惚れながら
あなたの綻びを探してしまう
あなたは
笑っていないほうの目でわたしの ....
鈴木さんと、大王さまはスロープに向かって、ゆっくりあるいて行った。そうして、青白い灯りのなかに立って、わたしに手をふってくれた。
さようなら……。
わたしもちいさく、手をふった。
あ ....
潮だまりに
奇っ怪な紫色の物体をみつけた
グロテスクな
おせじにも美しいとは思えない
そいつから
私は目を離せずにいた
素通りできない塊に
捉えられてしまった
学名 アプリシア ....
愛を語ってもいいじゃない
知ったふりしてもいいじゃない
修羅場をくぐって
書物に浸って
山の禅寺で胡坐をかいて
ひとかどの人になりました
そんな振りしてもいいじゃない
たまに ....
道を歩いていて嫌になるのは
いつも いつも 枝分かれしていくこと
その中から ひとつを選ばなきゃならない
一番素敵な景色を見せてくれるのが
どの一本かも わからないのに
僕はそれに疲 ....
マイケルジャクソンの青空
アスファルトの上で街は目覚め始める
排気ガスとパンとコーヒーの匂い
新聞配達夫の帰り道には
怪物のような建築現場がある
鉄骨の群れが ....
{画像=130121043544.jpg}
加齢臭がするオヤジがカリーを作る
可成り美しく無い情景ですよね
「市販のルーは好かぬ」などと
....
鳩子よ
おまえが生まれたのは寒さの残る
春と呼ぶにはまだ早い季節だった
忙しさにかまけ、放置していたベランダで
気づいたときに ....
余った春巻を
翌日甘辛い出汁で
サッと煮て
溶き玉子でとじて
熱々ご飯にのせて
最後に
三つ葉かなんかを
散らせば
これが
世界が終わるんじゃないかと
思うぐらい
美味でさ
冬の落ち葉は屋根ですね
虫は春の夢をみる
柱も窓もないけれど
いのちが育つ
そのために
必要なものはそろってる
無用なものは何もない
あなたに家があるように
わたしに家があるように ....
娘と一緒にドラッグストアーに行って
「好きなものをひとつだけ買ってあげるよ」
と言ったら
「ホチキスが欲しい」と言う
「ホチキスならうちに二つもあるでしょ。
塗り絵の本とか色マジックのセ ....
121103
もし、この世に時間がなかったら光もないよねと
繰り返される明る過ぎる大画面の殺風景な現実
そろそろ方形のディスプレイにも飽きたね
もう造 ....
ガラスいっぱいに広がる黒に、
顔を寄せすぎるほどよせて、おさなごがさけんだ。
ねぇとおちゃん!
なんだい、坊?
問いかけられた髭面の男は
グラスの琥珀を半 ....
夕闇迫る三差路で
迎えが来ぬかと立ち尽くす
逢えぬあなたに逢いたくて
黒髪闇に溶かします
紅い時が往き過ぎて
....
トルコキキョウ スカートを裾をひらゆらひらゆら させている
貴女と呼ぶべきかしら 幼い妖精の衛星が見える
貴女と呼ぶには 重力をあまり感じていない様
トルコキキョウ 月曜日に透き通る喉を 瓶 ....
スーパーの立体駐車場に車を入れて
そのまま買い物に降りて行く
おにぎりとお茶は持参だが
ちょっと甘い物が欲しくなる
ねらい目は見切り品コーナー
大きなシュークリームが一個68円
....
雲が僕を抱きしめてきた
その胸元には雨の匂いがして
雷を飼ったその腹が ゴロゴロと唸りを上げていた
{ルビ霙=みぞれ}が僕に口づけをしてきた
全身に冷たい唇を這わせて
シャツの下までびし ....
写真は送りあい顔は分かる
逢ったことはもちろんないし
写真以外の表情は知らないけれど
でも毎日二時間前後の電話で聴く声
その距離はほぼ800kmくらいあるだろう
お互いに同じ病いを持って ....
考えると死にたくなる
足りない淡白な脳の色 心も曇りに道ずれ
考えに呑み込まれると死にたくなる
心技体の面積に氷河期の凍てが張る ひびは入らない
せめて心だけは切り裂いて 留まらせてや ....
かなしくてないているのか
さびしくてないているのか
雲の切れ間に青空
風に小さな羽根をふるわせて
うれしくてないているのか
いとしくてないているのか
透きとおった雪が流れて
目の ....
寒いので今日は職場も窓を閉め切っていた。
すごく大きなハエが建物の中に入っていて、窓に向かってぶんぶんじたばた暴れ中なのをみつけた。
その真四角の窓は、太い木の枠に囲まれていて、上の部分の ....
嫁入りのキツネの影絵冬障子
DNA検査の結果アヒルの子ではありませんでした
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