どんな優しい言葉を連ねても
ぼくらは生命を奪い続けるしかないと思うと
赤黒い口がとても悲しくなる
ぼくはとても綺麗だったはずなのに
とても青かったはずなのに
どうしようもなく
汚れてし ....
遺影の視線は遠い
叔母は この荒れた庭の様相を
予想していただろうか。
二十年近く、庭の入口に置かれたままの
雨曝しの軽トラックの窓から
自生した花が突き出ていた。
自宅菜園の畑は ....
窓ガラスに
幼い指紋がついていた
指紋をめくると
それは昔の日記帳だった
歩道橋で終わっていた
日記の続きを書くために
歩道橋を最後まで渡り
階段を下りた
まだ小学生で
....
とりあえず
鈴虫が言ったんだ
「蝉なんて叫んでいるだけ。
美学なんてありゃしない」
蝉は言う
「僕のは魂の叫びだ。
全生命を賭けた
魂の叫び。
そこに綺麗さなんて無い
ただ泥臭い
....
飛べサクラマス
寝る前の入浴
妻は顔と手と
背中を
すっかり
洗ってこすってくれた
それから
ぐっすり寝て
朝の鏡には
若くなった
自分が
ありがとう妻よ
君のために
こうして詩を ....
自分だけが悲しいとおもう
自分が一番かわいそうとおもう
サクサクとかじるクッキー
いそいで補給しなければならないとおもう
だれかのこぶしを受ける覚悟を
ギリギリのところでする
同情 ....
我ながら
夢見てんなよ
そう思う
....
ぼくは遠い火になりたかった
ビルのかげや
山のむこうで
ちらちらと
ときおり
消えたみたいに見える
ながくながく燃える遠い火に
....
沖縄では
きじむなーも
みみちりぼーじーも
あんだくぇーぼーじゃーも
みんなさーたーあんだぎーが大好きです
いちゃりばちょーでーだから
かめーかめーおばぁもひとつちょうだい
ぬちどぅ ....
(暗転)
して突然明るくなった部屋には
一体の死体
もちろん部屋には内側から鍵が掛かっており
完全密室殺人事件
窓枠の中の夜空には
取って付けた様な満月
(なぜ夜なのだ)
....
悲しみの人々は
月に祈りを捧げている
月はその優しい光で
悲しみの人々の心を癒す
だけど月の悲しみは
誰にも話すことができない
悲しみで満ちた月は
今夜も蒼く輝く
優し ....
ゲストで15分枠のところを4分朗読をし
交渉したとおりの交通費をトイレの脇で受け取り
詩は、短ければ短いほどいいと思うのだ
家族の待つ家に帰る気になれず
かといって笑笑で
あの何行目はどうだ ....
白球を追う
その中に小さな骨が入っている
太陽は肌を溶かしていく
皮膚を腐らせて
骨がむき出しになった女は
化粧の下地で隠そうとする
服を着たままでも興奮していたものが
下着 ....
空のチョークで落書きしよう
サラサラと書けば
あら不思議
文字が雲になってプカプカと
空のチョークで書いた
『I Love You』
空を流れて
君のもとに届くかな
青 ....
セーブポイントがないから
ダンジョンの最深部で極上の宝物抱えて
持ち帰れずに死んでゆく
....
奉る灯りの夏の星
あまりの暑さに消えかけた
高層雲の秋かすみ
季節を越えて幾たびの
三等星たちが
高圧線をでたらめに弾き
管弦楽も知らないくせに
なにやら口ずさむ
ホオズキ色の教室 ....
あなたが私の誕生日にくれた
花の写真を撮る
何度も、何度も、角度を変えて
いつか枯れてしまう花だから
そのいのちを引き延ばすために
花の写真を撮る
あなたが好きだと言っていた花の写 ....
私はもう
人間に生まれない
どんなに短い命であっても
どんなに簡単に滅びても
空を飛ぶ命に生まれたい
私は人間をやめたい
人間の今日を終えたら
一瞬のひかりになってもいい
ならなく ....
ガンプピストルで
照明弾をあげ続けた
それはそれで面白かった
夜の海で太陽をうちあげていたと笑って自慢する
さまよう廃船の望みきいて
廃船をお城にしてやったのも笑えた
まる ....
木に見ている 帰り道の暗い羊と
群れに 遭遇する
車で走っている時 私は
小山の向こうに いつも
手に 銃など持ち合わせてはいないのだが 一本が
遭難者の旗が 立っている 一本の旗が
誰 ....
風がないので動けないのか
止まったままの風車が
申し訳なさそうに立っている
手のひらをめいいっぱい広げて
わずかな空気をとらえたら
小さな風が生まれた
見えない風が水田の上を走り
....
おわらない憂鬱を笑うように朝がきて
継ぎ目のない昨日をなくしていく
夜の隅っこに取り残されて
君がついたため息を飾ろう
裏切るようにうつくしい陽がさして
安心な夜を洗い流していく
....
100816
円高不況の炎天下をマルク掃除する者はいないかとニヒルなプラカードを掲げてゆっくりと右旋回するトンビの群れが急降下するたびに頸をす ....
大根の上に
小さな虹がかかっている
きみは虹を切らないように
器用な手つきで
大根を切っていく
飛行機がいつもより
低く飛んでいる音が
屋根の上にある空から
聞こえてく ....
冷蔵庫でひやしておいた
いちごのあまくつめたいおいしさ
でも、あのひとにはもう
食べさせてあげられない
。。。。。。。。。わたしは今日も
生きのびているというのに
未来をかすめる
ひとく ....
街でいつまでも 電車の中で
何も思わない 自分の体のどこもなくして
私は派手な言葉を使って 今日も働きに行くのだろうと 私が
思った 中に流れていく
青い空の飛行機を 飛行機の横切 ....
優しい嘘 平和を願う 雨だれの音は寂しく
旗がなびいている
誰かが、立てた旗だ
陽炎の向こうで、たなびいている
風は、あたたかい
熱が、宇宙へと広がっていく
※
私たちは行進だ
宇宙を往く行進だ
時々は小惑 ....
ちょっとづつ
砕いていこう
硬くて透明な結晶
優しい夜が落ちてくるように
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