そのポストマンに
ぼくが初めて会ったとき
彼はひたすら
ラブレターを書きつづけていた
その時はすでに
ポストマンではなかったけれど
いちにちに
白い氷の丘をみっつ越えるんだ
と ....
お金を数えていたはずなのに
気がつくと
銀行の人は星を数えていました
こんなにたくさん
どうやって集めたんですか
と尋ねるので
生まれた頃からあったと言いました
使いきれない ....
夢とも違う妄想とも違う意識下の世界で私はロープを巻き付けたミイラを引きずりながら見渡す限り砂だらけの砂漠を旅していた。太陽の照り付けが砂を焼き、遠くの風が砂丘の隆起を絶えず変えている。
....
雨のあとに増す
後ろ姿
径を曲がり
野の前をゆく
同じ顔をした娘が四人
家のまわりに立ち
海辺の灯
風を まわす
何も見ないものに囲まれて
子はひとり空を ....
昨日の〆サバがあたったのか
朝起きると吐き戻しお腹も刺すような痛み
背中がかゆくてたまらず
爪を立てるとなんだかツルツル滑る
鏡に背中を向けて首をひねると
なんとも綺麗な ....
ごちそうさまのあとに
ひとりさびしくパセリくん
ビタミンミネラル優等生のはずなのに
ワンレンボディコンお立ち台
ユーロビートトランスハウスパーティー
レイバーヒップホップアン ....
夏の海辺で一人歩いていると
一人の少女の死骸が発見される
そんな事からミステリーは始まり
ミステリーは悲劇の結末に終わる
結末の後にはまた日常がやってきて
俺はまた何見ると ....
僕のおじいちゃんはまだ子どもの頃
僕のおばあちゃんと結婚するんだと
何度も言い張って聞きませんでした。
そんな身勝手なおじいちゃんだけど
おばあちゃんは決して嫌がらなくて
ぜひ結婚し ....
なにもかも
粉砕
ナイフでは永久に
無理な救いと
手を
つないでいた
椎間板を守りながら飛ぶ
ポリゴンの鳥が
ひきずりだした
わたしたちの赤い国旗
万歳 ....
雨脚が近づいてくるように予感があなたを誘う
ときめきじゃなくやって来て、互いに踝を確かめ合うの
小さな小銭は持たない
それ以上詮索はしない
寄り道をするように、濡れた肌の一滴を舐めあうだけ ....
はかせごうが
あたって
がくいが
なんあのかというと
がくじゅつはかせ
ププリープキュンマーはかせ
てきすとまいにんぐで
はかせ
ププリープキュンマーはかせ
ねこが
あるいてい ....
すこやかな眠りのなかにいる
夜に沈みゆく胸の中
あたたかいよどみが根を張っている
迫りくる楽園の音
その手はつめたく喉にのびて
まだ、いつまでも、と言う
そうやって歩きつづけて
....
71
右手に吹いた風が
左手に届く
200CCの献血
等級の低い列車で
ここまで来た
会議が始まる
72
プラスチックの空
消し忘れた電線の跡
眠るだけ眠ると ....
それが単純な答えなら、
「愛などない」
それが単純な答えなら、ぼくはラズベリーになろう
それも間違いないさ。
わすれてみよう
涙ぐんだ水晶にそっと白い布を掛ける。
死ん ....
友達のいない街で、駄目になってしまいそうな心の中をしていた。車窓の向こうには、一体何が見えたのだろうと思った。光のような物なのかもしれない。手にするには、それは、あまりにも立っている場所からは遠すぎた ....
雨の日の憂鬱の原因が
洗濯物が乾かないせいだと
今、気付いた
湿っけた洗濯物が
部屋中に吊るされて
うっとうしい
ベランダに干された洗濯物も
いつ乾くか分からず
さらに絶望的気分になる ....
すこし太った と
しわだらけのあなたが言う
たしかに
しわの数はへっていないけれど
わずかに 浅くはなっている
一年ぶりに 団地にUターンしたのが良かったのか
また
独居 ....
初潮ということばが
海のことばみたいなのはなぜかしら
などと考えていた頃に
おまえの家は紙の家だとからかわれ
わたしは学校へ行けなくなった
わたしは紙のにおいが好きだった
ノートのにお ....
たちまちに走る いわば きみに
余白はない
断片ばかりか
木っ端みじんに インクを塗りながら
やってくる
枝は
そらつかい
か
ほらつかい
木が森をかくす前に
ふるい ....
ちきゅうに
しんりゃくしてきて
さいごに
やれそうになったのが
ばいかるだから
がっさーは
ちがう
あと
なんか
ねこが
いて
けが
はえていて
おろかだと
おろかで
....
これは、ある男性から聞いた話なんですけど、
彼の実家っていうのはけっこうなお金持ちでね、
親がビルとかマンションとか、そういうのを何個か持ってるんですよ。
だから、別に働かなくてもお金が勝手 ....
ディエゴでアルマグロという
なまえが
あって
それが
まるで
まぐろの
いっしゅの
ように
アルマグロ
寅彦
寺田
なまえが
でてこないと
ぎゃくてんする
ひょうき ....
わが一歩 一応は一歩進む
道に穴だ 二歩さがる
すこしずらして 一歩進む
空気がない すごすご引き返す
しゃがんで一歩 こっそり出す
いきなり水の中だ 鰓がなくて溺死
科学は日進月歩 ....
ディスカウントショップでジャングルを六鉢買ってきた。定年後のお父さんが長年にわたり趣味でやっているような本格的なものではなく、今では素人でも手軽に簡単に育成できるてのひらサイズのものがいくつも売ら ....
軽い手荷物で降り立った
六月の駅
梅雨の晴れ間
見あげると若い鮎が
翼を休めていた
炎上、
前の雰囲気のなかで
穏やかに営んでいる街路
山羊のこどもに
みちをたずねると
右 ....
{引用=
ひとつの魂でゆける距離には、限りがあり、人が泣きたくなるときには、
そこにたどりつけないことを既に知らされている、夏の舌を通過する中
央線、転がる発泡酒の空き缶、そのなかには、いくつも ....
水たまりに浮かべた
葉っぱの
軽さ
しゃぼん玉を泳がせる
そよ風の
軽さ
羽毛の軽さ
まつ毛の軽さ
この世でいちばん軽いものはなに?
飛んでいく風船
手放し ....
***1
どこかで落ちている石ころを拾っている。わたしにはもう無限しかなくなっている。数が数えられないのだ。数えても意味がなくなってしまった。
***2
幻の中で私は会話する。で ....
冷蔵庫を買いに出かけた
途中、空港に寄って
パイロットの友人と会った
友人はペットのモンキーと遊んでいた
モンキーは滑らかに動いていた
餌も食べていた
週末には海に行く ....
星の葉に 水が降る
誰も招ばぬ
誰も呼ばぬ
夜を醒ます雨
背に生やし
遠去かる冬
無と無のはざま
小さく問うもの
窓の外は絵
いつか 消える
....
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