ネットでできた詩友さんは いつも消えていくので
あまり深追いはしない いつも
忙しくなったんだな 飽きたんだな
ひとときのやりとりが 良い思い出になるように
なんて 気を使っているわけでもない ....
ある日私は死にまして
ふと気付いたら
地面で寝てまして
そうかここは天国かと
回りを見渡すと
そこにはただの日常があって
平日お昼の町並みがあって
寝ていた私を誰も見ていない ....
夜、すべての列車が
運行を終えたころ
駅にしんしんと
ネジが降り始める
駅舎の出入口や
線路に積もったネジを
当直の駅員がネジかきをする
やがてネジは止み
夜明けにはすべて溶けて
....
動機のないことが肝心でした
ことばを失わなければ意味がない
そんなふうに思っていました、つよく
それで、いまも
いまも手をのばしている
両手で頬を、挟み、包み、掬いとりたいと、考えていま ....
天井にケータイを投げ付けたら
ぶつかるすんでのところで
天井に小さな穴があいちゃって
ケータイすいこまれちゃって
起こった事の理解が出来ず
とりあえず検索しようにも
ケータイすいこ ....
ためらいがちに手を振るヨシ子さんは
しわくちゃのおばあさんで
もう生きているのか死んでいるのかわからない
毎年秋になると銀杏並木の下で
「ぎんなんヨシ子」という看板を掲げ
小さな屋台を引 ....
夜が少しあけるまえ
わりばしを一本もって君と山へ出かけよう
山の頂上について東の空から太陽が昇りはじめたら
わりばしを二つに割って一緒に
風に漂う生まれたひかりを
くるくるまわしてわたがしを ....
扇風機がうつむいて
右や左を見回している
探し物はなんですか?
あの日、海岸で拾った
貝殻なら引き出しの中
扇風機がそっぽ向いて
止まってる、そばで
あなたが寝ている
今は探す ....
言葉の意味を知らないこどもは
オウム返しに使うという
切ない気持ちになったとき
切ない切ないと言い続ければ
あなたは手を添えてくれるだろうか
急ぎ足の大通り
向かう先はどこなのだろ ....
終電車は目的地まで届かず
私の気分はバンジージャンプあとの伸び縮みするゴム
はてどうしようか、
タクシーに乗ろうか乗るまいか
歩いて帰ろうか
夜の気分はおいでよと誘う
自動販売機は ....
雨が降ると私は
主を失くした犬のように大人しい
夫を亡くした妻のように淋しい
世界は私と一体何の関連性があるのか
此処に生きている意味などあるのか
いや、予めの墓標に過ぎないのだと
そんな ....
赤い傘を彼女の隣りで差す男。
かわいい彼女に良く似合う。
散った彼岸花の傍を走る僕。
秋の細い雨が良く似合う。
ことばに
よじのぼって
泣いたり
笑ったり
しているが
水分を
ひとつも
よこさなかった
好きだ
と言うと
自分の
腕が
抵抗する
ふさわしくない
と
ケーキを
取り落 ....
握りしめた手の中で
ならない鈴を想ってる
思い出せない音色なら
失くした方がいいと思う
行間の旅に飽きた頃
君のさよならがきこえたよ
秋風の音
カーテンで知る
さよなら ....
腰から
あなたの右足が
つきだしているから
歩くときには
きまってふらふらとする
電車では
みなが嫌な顔をする
あなたの右足以外の部分は
どこにいってしまったか
知らない
キスをす ....
このきもこうよう
するんだね
そういわれるひまで
どれだけの
つきひをついやしたのか
たくさんの
ごかいがあった
このきは
きではないのかと
いわれた
ひも ....
遊園地に「回転しない木馬」があった
妻と娘が乗り
僕が写真を撮ることになった
バーにおつかまりください
というアナウンスの後にブザーが鳴り
回転しない木馬が
回転し始めなかっ ....
君が押し花してくれた
葉もつけてくれた
すぐに覚えられた
これを見ると
君を思い出す。
結婚を諦めた
そう言った君を
思い出す。
君は入院してしまった。
家族はバラバラになり ....
電気でできた僕らは
吐き気と目眩の海の中で
青白い体を横たえて
血を吐き
その血を夢に透かしてみては
奇麗だとうなずく
そして
波しぶきを散りばめた街の
....
ゆうちゃんは無口な転校生だった
四年生の春に
ぼくのクラスにやってきた
ゆうちゃんと、ぼくは
なぜか気があって放課後はいつも一緒にあそんだ
がっこうは友だちできへんからきらいや。
....
奇を衒う、という作風は
技才ある方がやるもんです
私のようなあんぽんたんには
到底真似できやしないのです
弁えております
それに及ぶ才がないことも
学に費やす気がないことも
努力 ....
昨夜から彼女の心臓の音が聞こえない。
もしかしたら、彼女の心臓は消えてしまったのかもしれない。
大きな爆発音の後から彼女のパルスは消えてしまっていた。
私は人間の腐った肉に喰らいついて、 ....
恐ろしい文字が天井にへばりついている
バス停に佇むやじろべえがいます
いくらバスがやってきても乗ろうとせず
バス運転手たちの間では有名な話です
水族館にマンタばかりを眺めているやじろべえがいます
あまり手を大きく広 ....
紙を飛行機にして
窓から飛ばす
しばらくして
砂漠に不時着する
近くでは
砂場と間違えて迷い込んだ男の子が
砂遊びをしている
こんなに集めたよ
振り返って
砂でいっぱいに ....
鮮やかな桃の色をした
あなたの大切な鞄が
線路の上にある
今は秋の朝
未だ人のまばらな
プラットホームから眺めるとそれは
轢かれるのを待っているように見 ....
梨の始末をどうしよう
この梨を線路に設置して
レールと車輪の間でひき潰すなど
してみたいが
どこか目立つところに
置き去りにしてやりたいが
梨がきゅうきゅう鳴くので
ずっと持っている
....
1
君の眼の内容に鉱脈が続く。僕は君の眼の地軸が太いことを君に隠してきた。君には幻覚を売る権利がある。そして眼の先端を選ぶ権利も。僕には君の血の流れる音がまぶしすぎて、脂肪の宛先を忘れてしまう。 ....
1
静かな糸で縛られたふたつの命。命が影のように伸びていくといつか人間にぶつかる。初めまして、僕らこんなに遠かったんだね。お互い嫌いなほうの手で握手しよう。服さえあれば知らない街でもさかのぼって ....
研究室に女が入ってきて
めがねをしていて
地図をスキャナに読み込ませて
香水のにおいをさせているから
はなしかけなかったら
でていったから
じぶんが
わるものとして
あつかわれて
い ....
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