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乳母車を押して
雪道を祖母が
駅まで迎えにきてくれた
ずっと昔
汽車は忘れるほど駅に止まってたもんや
毛糸玉がだんだん大きくなっていく
古い服が生まれかわって
新しい冬を越す
ぼくの記 ....
もしもし
もしもし
住むところを
いくども変わったので
電話番号も
いくども変わった
電話番号をたずねられると
一瞬のとまどいがある
0でもなかったし9でもなかった
新しい番 ....
ヒツジが眠っている
先を越されてしまったので
きみはなかなか眠れない
ヒツジの夢を追いかける
かすかに指のさきが温かい
温もりはだんだん体じゅうにひろがり
いつもの草の道に迷いこむ ....
「木の物語」
きょうもまた
あの木のてっぺんにいる
あれは多分ぼくだ
ぼくの知らないぼくがいる
忘れていたのかもしれない
ぼくがすっかり忘れていたぼくがいる
だから懐かしい
....
きょう
夕焼けをみていたら
いきなり空が
あかい舌をだした
空よりもずっと
遠いところ
飛行機にのって
バスにのって
橋も渡ったのに
ここは山ばかりなのね
と少女はいった
....
雨あがり
ひたひたとどこかで
小さな眼が
光っているようだ
きっと虹を隠しているんだ
あいつら
カナヘビたち
すこしずつ
空の時間をずらしている
気をつけるんだな
光ってい ....
古い家の梁に
ロープを掛けただけの
私の特製ぶらんこ
ゆらゆら揺れているのが好きだった
目をつぶると
ぶらんこの旅がはじまる
家ごとゆらゆら揺れて
私は遠いところまで行ってしまう ....
そのポストマンに
ぼくが初めて会ったとき
彼はひたすら
ラブレターを書きつづけていた
その時はすでに
ポストマンではなかったけれど
いちにちに
白い氷の丘をみっつ越えるんだ
と ....
初潮ということばが
海のことばみたいなのはなぜかしら
などと考えていた頃に
おまえの家は紙の家だとからかわれ
わたしは学校へ行けなくなった
わたしは紙のにおいが好きだった
ノートのにお ....
小さな窓から
小さな部屋の小さな空へ
移りかわる日々
晴れた日は手さぐりの虚ろ
雨の日はとおい耳
風の日は過ぎていく水
暗い夜はあてどなく
ただ凍えている
小さな窓から
12 ....
ネットオークションで
小さな駅を買った
小さな駅には
小さな電車しか停まらなかった
小さな電車には
家族がいっしょに乗ることができない
いつのまにか一人ずつ
だまって家を出ていった
....
あさ
窓をあけると
庭が砂浜になっていた
知らない赤ん坊の小さな手から
さらさらと
砂がこぼれている
そこには昨日まで
たしかアサガオが咲いていた
そうか
もう秋だったんだ
お ....
毎日ぼくは、琵琶湖の水を飲んでいる。
といっても、湖水を掬って飲んでいるわけではない。
琵琶湖の水は、瀬田川から宇治川へ、そして淀川となって大阪湾に流れ込んでいる。その途中で取水され浄化されたもの ....
草の実は、苦くて酸っぱい。
子供の頃から、虫は好きだった。
うつむく生活を続けていたら、とうとう草むらの中に、顔を突っ込んでしまった。
緑色の空気がいっぱいだ。これで虫になれるかもしれない。そう ....
133メートルの高さから毎秒1トンの水が落下する那智の滝。その天水が流れ込む海のあたりに温泉がある。
太平洋に向かって大きな口を開けた洞窟の風呂。忘帰洞という名前がついている。
目の前の岩礁で砕け ....
学生のころ帰省の旅費を稼ぐため、廃材の釘抜きのアルバイトをしたことがある。
真夏の炎天下で一日中、バールやペンチを使って材木の釘を抜く。ただそれだけの単調な作業だった。
毎日、早稲田から荒川行 ....
最近、おなじ夢をよくみる。
岩場に立っている。そこからどこへも行けない。見下ろすと深い淵がある。とても飛び降りられる高さではない。踏みだせば死ぬ。死の淵だ。そのような岩の上に立っている。
以前にも ....
小学校の卒業式の日、
担任の梶原先生が「白い花が咲いてた」という歌を歌ってくれた。
大きな顔をした恐い先生、歌の声は低くて優しかった。
ふだん怒ると顔が真っ赤になったけど、歌ってる顔も真っ赤 ....
乾 加津也さんのyo-yoさんおすすめリスト
(18)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
そのとき光の旅がはじまる
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yo-yo
自由詩
16+*
14-12-1
でんわばんごう
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yo-yo
自由詩
7
13-3-6
眠るヒツジ
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yo-yo
自由詩
9
12-12-28
ものがたり
-
yo-yo
自由詩
7
12-9-24
やまぶどう
-
yo-yo
自由詩
14
12-9-18
そうしつ
-
yo-yo
自由詩
10
12-9-10
鞦韆(ぶらんこ)
-
yo-yo
自由詩
14
12-9-3
ポストマン
-
yo-yo
自由詩
9
12-6-29
紙の家
-
yo-yo
自由詩
21
12-6-25
小さな窓から
-
yo-yo
自由詩
9*
11-12-6
コスモス
-
yo-yo
自由詩
10*
11-10-5
幸せの時間
-
yo-yo
自由詩
7*
11-9-30
水を飲む
-
yo-yo
自由詩
6*
11-7-14
インセクトライフ
-
yo-yo
自由詩
8*
11-7-12
帰るところを忘れて
-
yo-yo
自由詩
3*
11-7-6
釘を抜く
-
yo-yo
自由詩
17*
11-7-4
夢の淵
-
yo-yo
自由詩
5*
11-7-2
白い花
-
yo-yo
自由詩
6*
11-6-26
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