春のおだやかな日溜りの中
土のにおいがわかりますか

春の息吹で
緑の香りに隠れた
土のにおいがわかりますか

あなたが今
しあわせを感じずに
春をむかえているのなら
この土のにお ....
夏の終わりの河原は
餌付けされて、もはや野生とは呼べない鴨たちの
小競り合いを眺める人、も まばらで
あなたは
鴨と
餌をまくジャージ姿の老人を眺めて
微笑んでいた
すこし曲がったそ ....
この世に生まれたときから
自分という列車が動き出す

時間というレールの上を
一秒ごとに走り続ける

過去は思い出
振り返ることはできても
戻ることは許されない

未来は追いつけ ....
きみがおもうほど
世間は広くないみたいだ
きみがおもうほど
世間は冷たくもないみたいだ
きみがおもうほど
都会の星空はくもっていないよ
きみがおもうほど
通勤ラッシュは残酷でもないさ
 ....
(ヴァンサン)


窓の外に君の姿が見える
やわらかい草を裸の足裏で踏みしめて
君はこれから川へ泳ぎに行くという
もう透き通った水は冷たいというのに
君は白い歯を見せて
{ルビ銀葉=ぎ ....
さみしく囁く
そっと静かに
夜は
流れる
川面には


さよなら言葉
これから二度と
言わない
好きだとか
嫌いだとか

忘れてしまえ
昨日も今日も
明日も未来も
全 ....
あなたの空に穴が開いたら
地面の土で埋めてあげよう

希望に満ちたあなたの夢は
くじけることを未だ知らない
世界はあなたが想うほど
優しくはない
冷たく感じることの方が
たくさんあるの ....
波や風は待つものなのよ、と
長い髪を旋律で
砂浜の反射が切り抜いて
細めた視線の届く先に
僕の胸は高鳴る
星座盤の小さな窓から見たように
君のことを知ったかぶりしていた
そんな気がすると ....
目が覚めると
必ず何か足りないものがある気がして
一呼吸置いてから窓を開ける
抜け落ちてしまったような
最初からなかったような
秋の始まりに吹く風が
季節に置いてけぼりにされた風鈴を鳴らし ....
ともだちだって
しょうこをみせてって
メロスの本を閉じながら
あの子がいった

しょうこなんかないよ
しょうこなんかないから
ともだちなんだよ
ぼくはどもってそういった
そういうふう ....
いつだって遥か遠くを
見つめていた、正太
本当はそんな名前じゃないのに
誰もがそう呼んでいた

*

学校へ行く途中
平然と菓子パンを買った、正太
朝飯なのだと、悪びれず
無造作に ....
(かじって
 すてて)


レタスを洗って
いたい
今日はずっと
レタスを洗って
一枚一枚
丁寧に
拭いて
いたい
今日はずっと


知るのがいやで
本当はもう ....
のっぺりとした日常に
私は何のビジョンも描けないまま
とりあえず今日の仕事を片付ける
意味など求めるのは野暮なこと

仕事帰りは1人家路を辿る
どこにも寄り道もしないまま
寝 ....
お花畑に火をつけて
全部燃やしたら
火はどんな色だろう
どんな匂いがするだろう

甘い蜜に群がる虫も
燃えるだろう
めらめらと
静かに花畑は
灰になってゆくのだろう

海に火をつ ....
大地にはリンドウ
世界は秋の花と風
美というよりも心

木には{ルビ蜩=ひぐらし}
世界は秋の声と風
音というよりも歌

空にはいわし雲
世界は秋の光と風
量というよりも質

 ....
郵便配達員がポストと
駆け落ちをした
四畳半の小さな部屋だった
配達員は毎日
せっせと手紙を書いて投函した
春という字を書くと
いつも何だかくすぐったかった
集配時間には
ごめんね ....
雨が上がると
空気が透明を増して
夏の名残と夢とが冷まされ
水の中を歩くように九月

夏服の明るさが
どこか不似合いになり
息を潜めていた淋しさだとか
熱に乾いていた涙が
堰を切 ....
スパーンは何度も訪れる

スパーン!!

昨日、私は小泉首相になった
角ばった頬と細い目
三角定規の鼻
確かに、あのときは首相だったから

スパーン!!

鉄線好きなんだな
気 ....
昔私は2つ下の弟に
私は本当は他の星から来たんだと嘘をついた

それはちょうど私が小学校に上がる頃で
家には新品のランドセルがあった

どうしてそんな嘘をついたのかは分からないけど
弟は ....
夜の傾斜をくだってゆく
くだるたびに傾きがちがうような
いつもおなじような気がする

夜だから傾斜は暗い
ところどころに湿った火がともっている
そのそばにその火を嘗める獣が
いたり
い ....
この坂道の途中に
大きな金木犀の木があります
毎年秋になれば
そのやさしい香りに足を止め
この木を植えた人を思います

開け放された窓からは
ピアノの悲しげな音が響きます
赤茶けた壁に ....
小さな窓に流れ来る
微かな風の匂う秋
去りゆく時の寂しさか
訪れ{ルビ来=きた}るうれしさか
僅かばかりの部屋の中

大きな空に染まりゆく
彩る色の魅せる秋
どこから{ルビ来=きた}る ....
おふろあがりのひとときは

足のゆびまでいつくしむ

ひるまは こころの ひとさしゆびが

いろんな人を指差してしまうけど



おふろあがりのひとときだけは

あしのゆびまで ....
弱酸性のあなたは
ちょうど中学で習った化学の実験みたいに

たとえば夏の終わりの夕暮れが
ほんのり赤く色づくのを
美しく感じたりする


弱酸性のあなたは
ときどき褒めてあ ....
秋が訪れれば またひとつ
目じりに刻まれる年輪のようなもの
早いもので開け放した窓の外では
秋の虫たちが鳴き始めている
この様に季節が巡るのであれば
歳を重ねてしまうのも致し方無い事
抗っ ....
想像して
君はよくそう言うけれど
実際のところ僕は、何も思い出せずにいる
海沿いの寂しい国道を夕暮れに倣って左に折れると
何もない町があるのか
君の住む町があるのか
もう、どこにも行けない ....
ゼロになりたい

無ではなく
確かに存在し
しかも
姿はなく

誰も傷つけない
影響もされない
ただ
存在する

消え去る必要もない
見えないから

たとえば抱き合っても ....
夕映えに長く伸びた影の 
手足のしなやかに動くのを 
美しいと見惚れた 

サッカーボールが弾むたびに 
視線が鋭く光るのも 
伸びかけの髪をかきあげて 
おどけて笑う口元も 
 ....
ここ最近夕方になると
白い雲は赤シャツを着て
どこかへと出かけてゆく

トンボが追いかけてみたけれど
地平線までが限界だった

彼はどこへ行くのだろう

お洒落な自分を
誰かに見せ ....
怒ったあなたの瞳に光るもの

稲妻だったらすごい

それはどんなにかすごい

刃のように空を閃かせて

雨に濡れ
雨に驚く人々の顔をくっきりと切り取る

それほどの鋭さで
稲妻 ....
服部 剛さんのおすすめリスト(3165)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
_大_地- 沢村 俊 ...自由詩706-9-10
焼き付ける- 松嶋慶子自由詩12*06-9-10
自分という列車に乗って- ぽえむ君自由詩8*06-9-9
拝啓- ミーナ自由詩6*06-9-9
ヴァンサン、夏の終わり- 石瀬琳々自由詩13*06-9-8
無題- ふるる未詩・独白13*06-9-6
あなたの空に穴が開いたら- ぽえむ君自由詩7*06-9-6
岬にて、星を見る- たりぽん ...自由詩1706-9-6
ひとたびの眠り- 夕凪ここ ...自由詩8*06-9-5
ともだち- ZUZU自由詩506-9-5
俺たちの風、syota- 佐野権太自由詩21*06-9-5
レタス- 水在らあ ...自由詩33+*06-9-5
深淵- 快晴自由詩5*06-9-4
灰になってゆくのだろう- ふるる自由詩20*06-9-4
季節というよりも時- ぽえむ君自由詩11*06-9-4
ふたりのこと- たもつ自由詩1806-9-4
輪舞(ロンド)- 銀猫自由詩19+*06-9-3
スパーン- 木葉 揺自由詩606-9-3
ランドセル- 松本 涼自由詩606-9-3
夜の傾斜- 塔野夏子自由詩14*06-9-3
金木犀- 未有花自由詩25*06-9-3
小さな部屋の秋の風- ぽえむ君自由詩11*06-9-3
ひとささんゆびたちへ- るるりら自由詩1206-9-3
「弱酸性のあなたへ」- ベンジャ ...自由詩12*06-9-3
こころの力- 恋月 ぴ ...自由詩34*06-9-3
名付け- 霜天自由詩1106-9-3
ゼロ- umineko自由詩12*06-9-2
放課後- 落合朱美自由詩2906-9-2
赤シャツを着た白い雲- ぽえむ君自由詩12*06-9-2
- ふるる自由詩10*06-9-2

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