ランドセル
松本 涼
昔私は2つ下の弟に
私は本当は他の星から来たんだと嘘をついた
それはちょうど私が小学校に上がる頃で
家には新品のランドセルがあった
どうしてそんな嘘をついたのかは分からないけど
弟は真剣に私の話を聞いていた
「もうすぐ迎えが来るから
私は自分の星に帰らなくちゃいけないの」
と私は言った
弟は何も言わずに奥の部屋へ行き
新品の赤いランドセルを持って来た
そして
「これを持っていきなよ」
と私にランドセルを渡した
私は今でもそんなつまらない
嘘をついた罪悪感が消えないけれど
あの時の弟が本当の弟の姿なんだ
と思っている
どこかの神様弟を助けてください