マウンド上で大きく振りかぶった
金田正一の投げたストレートを
牛若丸といわれた吉田義男が
小気味よく弾き返すと
白球は強いゴロになって
三遊間を抜けようとする

あらかじめ心持ち三塁より ....
あさはまだくらいうちから
うしうまにえさをやり
いどでみずをくんで
ひえつぶのういたしるをすする

ひがのぼれば
たはたにでて
はるはあぜぬり
なつはくさとり
あきはかりとり

 ....
だえきをたくさん
ふくませた
かだんのなかの
ちゃいろいつちの
ずっとずっと
おくふかく
ねむったままのひめひとり
ずっとずっと
めをとじる
ねむったままのひめがいる
ひめ ....
雲のない
ブルー・スクリーンを仰ぎ見ても
語るべきものなど何も残されていない
サイレント、ひとつ
崩れながら包み込まれる

ネイティブ・アメリカンに
インディアン・サマー ....
たまねぎを剥く事くらいに
泣くのは簡単だと言うクローゼ
とても静かに
自分の作った暗喩を慰めている



すり減ったローファーを履いて
路地裏でメントスを噛むクローゼ
クローゼのメン ....
娘のおえかき画用紙に 黒いクレヨンでおおきく ぼくは
パウル・クレーの天使の絵をかいた。

単純なモノクロームの曲線。いくぶん丸みをおびた輪郭。
やさしく閉じたひとみ。かるくほころんだ口も ....
どうか血となれ肉となれ

この不甲斐なき悲しみよ

一人の寂しさに震える夜は

月にこの身を委ねましょう

そしていつの日かきっと

私は花になるのです

そしてまた土となり
 ....
     見捨てられてる そんな気分で
     人の波に押されて歩いた
     熱帯魚のよな女の子たちよ
     明るい顔してても 悩んでるんだろ

     ビルのすきまから太陽が昇 ....
悲しみの色を塗り合わせ
暗く淡いシミを作る
溺れる二人を救えるものは
微かに震えるガラスの夜だけ

愛しさの色を塗り合わせ
深く甘いシミを作る
切なく互いを求める夜に
{ルビ理由=わけ ....
 
いつものことだけれど
早々に月がやってきたので
まだ授業は始まらないわよ、と
太陽に聞こえないように
こっそり耳うちした
けれど
待つのは嫌いじゃないから、と
頭をぽりぽりかきなが ....
あの日どこかに
忘れてしまった
何かに夢中で

あの日どこかに
忘れてしまった
何かが足りなくて

あの日どこかに
忘れてしまった
何かが欲しくて

あの日どこかに
忘れてし ....
北海道の地方都市では
量販店はひたすら郊外型になってしまって
駐車場は平地で2000台収容
回転式のエントランスに
何カ所にも設置されたエスカレーター
天井は高くて空気もよくて
新宿のビッ ....
すぐにテレビ番組の真似をしていた僕らには
ほんとに魔法が使えたのだろうさ
まさみちゃんは七色のクロトンの枝を折って
くるり くるり と回して
スペシウム光線をかわし
ついでに みんな ....
やさしい言葉をきくと
私はゆらゆらします

やさしい言葉はきれいです
きれいなものというのは
どうやら壊れやすいですし
汚れがつくと目立ちますし
また汚れが落ちにくいようですし

や ....
ここで
てをふることにする
かぜふくにせよ
ゆきつもるにせよ
きみはもう
とまってはいけない
いちにちやふつかは かまわない 
けれど
ここで
てをふることにする
蔦は一列二列と  ....
翔けぬけてゆく
批判と嘲笑の絡まりつく
常識というツタをかきわけて

誰かの作った方眼用紙に
僕の未来は{ルビ描=えが}けない

たとえば
星と星の間を結んで
たとえば
風のペンで ....
ほら、
いともかんたんに
あなたは
左手のくすり指を

さしだして

わたしは
それを
いのち のように
噛んでいる

あなたは
まるで
あいしてる の延長
みたい

 ....
 誰か 呼んでる
 あたしを 呼んでいる


 砂漠に沈む太陽
 陰影を深めゆく愛しき人々
 ああ この場で息絶えてもよいのだ


 小さな砂嵐にいつも まかれていた


 口 ....
点々とした星たちを
一つにまとめて月を作り
わたしはそれを喰らう


まやかしの月を


この街に溢れている光は誤りばかりで
どこかが欠け、どこかで光をなくしている


誤りば ....
静かに 触れる と音がして
すべての触れるは落ちてくる
億の目を持つ無口な腕が
すぐそばにある腕だと知るときに



鉄の船が川に浮かぶ
様々な手書きの時計で埋められ ....
 
並木道に
誰かの日傘が忘れられているのを見つけ
持ち主の名前がなかったので
失敬することにした
けれど自転車のかごに引っ掛けて
ペダルをこぎだしたそばから
日傘は陽を浴びて匂いたち
 ....
しがないの
皮膚のうちがわでピシーパシーと速球と直球が電気信号みたいにせわしくて
私はなんだか むずむずと空っぽになる

夜な夜な
世界のはてを切実に望んでいるのだけれど
胸を張って言えな ....
ひとりで歩いた

ひとりで食べた

ひとりで笑った

ひとりで泣いた

そんな当たり前のことが
なぜか新しくて
またひとつ
自由になれた気がした
あの人が死んだ時
私は不思議と
悲しくなかったのです
頭では死というものが理解出来ても
それが心までは伝わってこなかった
まだ

もう二度と話せないという現実
もう二度と笑えないという ....
台所で玉子を割り
箸で溶いて
フライパンでバターとからめた


食卓であなたと向かい合い
それを口にふくんだ時 はじめて
涙が溢れてきた
  (お前も卵にはなれなかったのだね)

 ....
幾度も季節は過ぎ行きて
過去に残せし我が心
舞い散る枯葉は
千夜一夜の我が夢か

咥えし煙草も燃え尽きて
儚く灰になりにけり
空の彼方を待ちわびて
夏の背中も今遠く

星の無き夜の ....
時々
理由もないのに ふと
立ち止まりたくなる
その時
そこには
透明な人の透明な碑があって
私たちは
それとは知らぬまま
刻まれた言葉を
心の指先でなぞっている
急に泣きたくなっ ....
それは十二月二十四日のこと
日々忙しい二人も、この日だけは会おうと
どうにか予定を空けて待ち合わせた
場所が学生街も近い高田馬場とはいえ
こぎれいな店はどこも予約で一杯で
二人はしかたなくフ ....
君の化石を
掘り起こして
眺めてみる

化石が
語りかけてくる記憶は
良かった思い出だけ

悪い思い出は
時が洗い流してしまったのか
角が取れ
丸くなった化石

化石は
生 ....
熱海といわれても
有名な温泉地という以外
実はなにも知らないのだった
このお題、絶対残るよなと思いつつ   (※)
毎週書きつぶしていったけれどやはり残りつつあって
途方にくれながら飛行機で ....
服部 剛さんのおすすめリスト(3165)
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ソーダ水- あみ自由詩8*04-1-28
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化石(ソネット)- 快晴自由詩4*04-1-23
熱海- 石畑由紀 ...自由詩16*04-1-23

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