あの日も汗を見ていたのは
水色のユニフォームと白い靴
時の詰まったタイムカードに
行儀よく刻まれた青紫色の印字
晴れた夏にタオルを投げ捨て
雪の日も半袖は変わらず
(腰に装備し ....
その昔、選ばれし月の巫女は
清らかな瞳で 戦の勝利を祈った
勇敢なる自国の兵士の勝利を―
その身を捧げし皇帝の御世の永続を―
そして。
そっと伏せた瞳が、再び蒼天の月を映す ....
触れ合うためにあるものを
手、と呼ぶのなら
私はいらない
私には
ない
たそがれは穏やかに
その時を待つ
眠れない暗闇と静寂は
心を熟すのではなく
怯えさせるのでもなく
た ....
むねのなかに
がらすだま
があるんだっておもうと
うまくいった
らむねのびんみたいに
がらすだまを
くぼみにひっかければ
ことばだって
ちゃんとでてくるんだって
すきなこと
や ....
あなたの方で風が吹いている
わたしはわたしで知らないことばかり捜している
秋がそこらじゅうで溶けはじめるとき
空き瓶には夕くれが満たされるとき
幾つもの詩を繋げるようにして
わたしはあな ....
去りゆく季節は せつない
迎える季節は 夢みがち
それぞれに抱えている 命の灯火
たとえ それが消えてゆくうつらなものでも
たとえ それが意味のない土に帰るものでも
それは ....
秋桜揺れる
秋揺れて
風の彼岸を見渡せば
時の遥かに思い出揺れて
塩辛い川面に光注げば
懐かしく
哀しく
かの人は手を振る
道を分かちて
生きた君
人のか ....
一昔前には
ありえないことが
当たり前になったと
思いながら仕事している
腹が空いたのを
気がつかないふりして
お昼の御飯を取りにいくと
真っ白でつるつるな
紙の箱に詰めら ....
空を泳ぐ鳥たちでさえ
死はいつも地上のある
明るすぎる地下に雨は降らない
きのうの洗濯物を今日の朝日に干す
明日は雨らしい
シャツには見覚えのない涙の跡がついている
毎日クスリを飲 ....
砂礫の中から北極星をめざす
ひとつぶの光る種子から
一万年の大木の夕日の
たおれかかる夕暮れ
音もなく 静かに 闇
空を見上げる
希望をうつす鏡はいつも
目線より少し高いとこ ....
果てしない空のように
果てしない海のように
平和は続くのだろうか
いや続かない
続くわけがない
皆 環境が変なのは知っている
皆 どうすればいいか知っている
皆 見たふりばかり ....
赤錆の目立つ時刻表のバス停に立ち
来るか来ないかの
微妙な時刻にバスを待ってみた
進路の前にバスは無い
順路の後ろに気配も無い
行く先も馴染みの無い駅の
名前の書かれた ....
部活の帰り道
ふっと 夜空を眺めた
すると 自然と足がとまった
いつもより 月がきれいで 暖かくて・・・
わたしは月にさわりたいと思った
だけど月と私の距離は果てしない
月には私の夢がある ....
みたいに捨てられた
みたいに捨てないで
みたいに呼ばないで
みたいに火をつけて
みたいに灰にして
のように意味はなく
のように生きている
のように分けられて
ごめんなさい
....
僕らが小さかったあの頃には
未来は光に満ちていた
そらとぶクルマ
むげんのエネルギー
あらそいのないセカイ
いつから歯車が狂ったのか
今日も人間は濁った空の下
残り少ない資源 ....
きょうも、あたしは消えました
開きかけノートをほっておいて
飲みかけのコーヒーをかたずけ忘れて
お風呂も洗うのを忘れて
「さよなら」
....
目を閉じてもつづく光のかたち
夜を甘く噛むかたち
傷が傷を呼ぶかたち
ふたつの音がすれちがい
ひとつの声になるかたち
蒼にそよぐ蒼のしじま
ざらざらとつづく明るい道 ....
ねぇ見て 不思議よね
こんなにちっちゃいのに
ちゃんと爪もあるのよ と
満ち足りた母親の顔で彼女は
小さなこぶしをを開いて見せる
アキアカネが飛び交う夕暮れに
生まれたから 茜
はい ....
人間が
犠牲の上で生きるように
世界は
戦争の上に幸福を創れる
そう独り言じみて呟き
少し
自虐的に笑って見せて
貴方
虚ろな目を伏せたから ....
泣きながら
見上げた雲は果てしなく
二人の影を映してる
空の青さが辛い日は
君のために歌を歌おう
さよならと
微笑む君の細い肩
翼が生えているようで
....
小さな小さな小人に語る この火の行方は何処へと?
小さな小さな小人が語る 行方などボクたちが知るはずはないと
勇気と希望と赤く波打つ血潮とちょっとの向上心
おまけにカルシウムの豊富な ....
腐った葡萄を投げ捨てろ
国道あたりに投げ捨てろ
トラックの車輪ではじけて
アスファルトに染みこんで
どす黒くかたまってやがる
(ああ、デラウエア・巨峰・ピオーネ!)
....
世界は みずでできていると
きみは言ったけれど
肝心のきみも やっぱり みずでできていたのは
きみが死んで 五日経って ようやく思いだした
(そのとき みずが流れた)
深夜 人は大 ....
秋の匂いのする風は
夏毛にふわり優しくて
愛なんてものを
かたちにして
誰かに見せたい気分になる
さっき
薔薇の棘みたいに
剥がれ落ちた爪は
カナシミってやつと戦ったから
ゆらゆら尻尾が休憩 ....
モノを置かないでください
と張り紙のあるところに
モノを置いた
そんな些細なことがきっかけで
そんな些細なことの積み重ねだったのだろう
「いつもの」
そう修飾された朝は
あっ ....
膨らんでゆく不安を感じていた
知らない人とすれ違うたびに
増してゆく孤独があった
遠のいてゆく誰かの背中に
思いつく限りの名前を呼んで
立ち止まらせたいと思ったのは
それが優しさだ ....
電池が切れた。
電池は切れていた。
もうずっと前から、
電池は切れていたんだ。
嘘を付いていた、
まだ動くから。
切れてない、
演技していた。
怒る ....
若いって
苦いと
同義だよね
字も似てるし
と口に出したとき
悲しいって
美しいと
同義だよね
と言った
君を思い出した
空は平均的に青い
各駅停車の鉄道がはたらいている
ひとの数だけ
想いの数だけ
星空のなかで
各駅停車の鉄道がはたらいている
天文学には詳しくない僕たちだけれど
きれいだね
しあわせだね
このままでい ....
一度知り合えば
他人で無いのである
言葉を交わし
笑顔を交わし
優しさを交わし
友だちであることを否定せず
互いに食事に誘い
互いの部屋へと導かれ
互いの心へ招かれ
....
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