すべてのおすすめ
わたしたちの夏は
ガラス玉みたいに透き通って
どこまでも不安定に揺らめいて泡してく

炭酸水の中でうまく泳げない
わたしとあなた
きっとまったく別々のままに飽和して
まぶたの裏でまだ小さ ....
さよなら

気泡みたいなことばを
無造作に夕暮れに飛ばしてみると
橙にすっと溶けていったのは
声が震えていたせいかもしれなかった

車輪の音、渇いた
ペダルを思い切り踏みしめて
陽炎 ....
たまに
思い出す
ふと
きみのゆびさきの
深爪のやさしさ

買い物帰りの
坂道や線路沿い
二番目の
小さな交差点
そんな場所に
沸き立つ
やさしさ

ひらがなを
好むきみ ....
一夜目に
魚は水底で静かに息を潜めてる
女は甘い溜息を波紋の隙に流してる

二夜目に
月の裏側から覗く女の憂い顔
空虚に穴の開いた瞳と痩せ細った指先と嘆きと嗚咽

とうに音をなくしてき ....
夜中
水道から
ぱたぱたとなみだ
海になんか辿りつかないのに
机の上で
しまい忘れたサラダが
哀しい彩りで居場所をなくしてる
きれいに一人分だけ残して
あたたかみをなくしたイスが
部 ....
午後から雨

そうだね
草丈より少しばかり高いだけだよ
寝転んで空を覗けば
透き通ってくどこまでもずっと
背中がくすぐった痛いね
午後から雨だね
蟻が不器用な列を作って
ゆっくりと夏 ....
先生、誰も来ない放課後です

理科室は薬品の匂い
閉められた
暗幕の心地良い温度

埃が泳いでいきます
気だるい午後です、先生

魚になるにはどうしたらいいですか

答えの出ない ....
真夜中
のどの乾きに目を覚ましコップの水を飲み干すと
小さな波音が聴こえて不安定になる

部屋の隅で水槽は
溺れそうなほど満水で

薄いガラスを軽く叩くと
魚は眠るのを忘れてため息によ ....
{引用=今夜は
月もちょうど半分の明るさで
なんて幻想的な夜なのでしょう

今夜は
月も森の木の天辺に腰掛けて
なんて素敵なお客様なのでしょう

丘の上から眠る町を一望して深呼吸
物 ....
砂漠を
旅する少女
らくだを一匹連れて
小さな子どもの手を引いて
今日はどのくらい歩いたかしら。
夜になると
小さな子どもは泣き出して
本当は
泣いてしまいたい少女
砂の塗れた短い髪 ....
私の町
海辺の港町
夢うつつに波音で目覚めて
窓を開ければ
かすかな潮の香り
胸いっぱいに深呼吸して
優しい海で満たして
一日が始まる

私の家
高台の一軒家
階段を下りると
 ....
橙に染まる道
遠くに伸びる影連れて
陽の匂いの二人
また明日と
いつもの約束交わして

あの角を曲がれば
優しい明かりの灯る家
のはずなのに
空になった部屋、で
ひとり泣いた少女の ....


海の方から来た少女の持つ砂時計は
浜辺の砂だから耳を澄ませば波の音がする




バス停で
来るのを待っていると
潮風がワンピースを揺らす
もうすぐ夏が終わる、
という ....
目が覚めると
必ず何か足りないものがある気がして
一呼吸置いてから窓を開ける
抜け落ちてしまったような
最初からなかったような
秋の始まりに吹く風が
季節に置いてけぼりにされた風鈴を鳴らし ....
窓を開けると庭でねこじゃらしが揺れて
通り過ぎてきた時間を優しく撫でていく風
いつの間に同じ高さから空を見れなくなったか
なんて もう思い出せないほど遠くに流されて

昨日思い出に留まってい ....
{引用=夜、眠る前には忘れることなく
絵本を開く少女
はお話の最後を一度も見たことないまま
眠りにつく、早く明日が来ればいいのに、と。

空の色によく似たワンピース
がお気に入りの少女
 ....
窓に
張りついた夏、
グラスの中で氷が
音もなく溶けていく午後
少し薄まったアイスコーヒー
にミルクを少し加える
ゆっくりと拡散していく、
ゆっくりと沈殿していく、
夏。

あの頃 ....
今朝、校舎の前で
無口な少女を見た
目が合うと
少しだけ笑って
そのまま自転車の
静かなスピードで
追い越してった、八時十五分。

無口な少女の
名前を知らない、
先生が出席をとっ ....
外ではもう夜が始まっていました。

部屋の中に滑り込んで来た夜に
気づかないでいると昨日から抜け出せなくなるようで、私は
決まってひとりベッドに腰掛け
何色ともわからないカーテンを手繰り寄せ ....
丘に立つ
ただ背伸びばかりして
何にも手が届くことがなくても、
輪郭を名乗っていた頃より 透明がはっきり見えるようになりました
透明を知った私は、そのかわり
色が体の底のほうに溶けていって
 ....
月の夜道を行ったって
どこに辿りつく訳でもない
ただ
視線を先へと伸ばしても
あの光は遠すぎて、見えない

月の夜道を歩いたら
立ちすくむ銀うさぎ
あそこから来た訳ではない、と言う
 ....
夜が訪れたことに気づかないでいたら
いつが夜明けなのかわからなくなってしまった
区別がつかない 月は
欠けているのか 満ちていくのか
私の呼吸と 似ていた



{引用=お話と呼ばれる ....
{引用=そんなことより私、空を
さかさまに見る方法を知りたいの}


少女のすっと透き通った声
は何ものにも染まらない唯一
瞳は映した空を綺麗に切り取って
私はあの子に、
あの子の繊細 ....
藍色の少女は密かに夜の匂いを纏って
透き通った肌からは昨日が覗いていた
音もなく窓辺に降り立つと
そっと私の手に触れる ひんやりと
夜が私の体の芯に入り込む

裸足の爪先からは 夜が
生 ....
夏の日 帽子を残して
水平線の先が見たいと少女は

夕焼けが水面を染める
裸足で砂を踏みしめると
体温によく似ていることすら
知らないまま

空との区切りが曖昧だから
触れてはいけな ....
カーテンの外で
もう明日が始まっている
私は今日すら消化できないまま
部屋の中で立ち止まる

こんなに簡単に
昨日は手に入るというのに
狭い部屋に溢れかえって
いつまでも抜け出せない
 ....
たとえばそこに私がいるということ

炭酸水の泡の中に私がいるということ

生まれては消え消えては生まれる
連鎖する中にほんの一瞬私が見え隠れするということ

たとえばそこに私がいるという ....
泡になりたい
そう望んだのは十七歳 夏の日
ラムネの底から生まれる
消える気泡に見とれて
曖昧な私も溶けてしまいたい
いっそ

いつか

本の一部を鋏で切り取った
一片一片を繋ぎ合 ....
今朝から元気な
うさぎは雪で出来ていた
おはようと声をかければ
おはようと返してくるし
動けはしないものの
今日も元気でいられることは
いいことだ。

うさぎは冷凍庫で冷やしてやると
 ....
つきはなく
ほろほろと
こぼれるよる
さらさらと
はしる少女
かぜをまとって
だれにもはなさず
だれともはなさず
ひとりきり
よるをいく
つきがなく
よるにひっそりと
さみしく ....
服部 剛さんの夕凪ここあさんおすすめリスト(36)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ラムネ- 夕凪ここ ...自由詩1508-12-20
夏追い- 夕凪ここ ...自由詩1807-9-23
かなしみをもたない- 夕凪ここ ...自由詩1207-7-19
入水のち- 夕凪ここ ...自由詩607-6-3
アスパラガス- 夕凪ここ ...自由詩1907-4-11
クローバー- 夕凪ここ ...自由詩1007-3-26
理科準備室で- 夕凪ここ ...自由詩16*07-1-31
さかさなみだ- 夕凪ここ ...自由詩12*07-1-8
幻想舞踏会- 夕凪ここ ...自由詩10*06-12-27
砂漠の向こう側- 夕凪ここ ...自由詩9*06-11-10
海辺の町の- 夕凪ここ ...自由詩17*06-11-8
影ふたつ。- 夕凪ここ ...自由詩5*06-10-14
海についてのいくつかの小さなお話。- 夕凪ここ ...自由詩9*06-10-6
ひとたびの眠り- 夕凪ここ ...自由詩8*06-9-5
同じ高さで反転する昼下がり- 夕凪ここ ...自由詩10*06-8-24
しましま- 夕凪ここ ...自由詩8*06-8-8
溶け出す午後- 夕凪ここ ...自由詩13*06-7-7
無口な少女のうたう放課後- 夕凪ここ ...自由詩15*06-6-17
深呼吸して眠ればいいよ。- 夕凪ここ ...自由詩7*06-5-28
丘に立つ- 夕凪ここ ...自由詩6*06-5-11
月の夜道をひとりで行けば(うさぎに出会う)、- 夕凪ここ ...自由詩10*06-5-6
るーぷする。- 夕凪ここ ...自由詩8*06-4-26
明日には、さかさまだった- 夕凪ここ ...自由詩12*06-4-12
藍色の少女と- 夕凪ここ ...自由詩10*06-4-6
水平線の先の- 夕凪ここ ...自由詩10*06-4-4
溜息とひとりごと- 夕凪ここ ...自由詩1*06-3-20
たとえばそこに- 夕凪ここ ...自由詩9*06-3-19
あぶくの中の十七歳- 夕凪ここ ...自由詩5*06-3-12
うさぎとの思い出- 夕凪ここ ...自由詩4*06-3-11
よるのしじまに- 夕凪ここ ...自由詩2*06-3-11

Home 次へ
1 2 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する