私の中で水銀が蒸発していくようだ
体温で沸騰して犯されていく肺だ
今日も湿原は私以外のものでできている
鷺の仲間が冷たい水面で啼くのも
空を刺す枯れ草が雲に巻かれるのも
ふいに思い出すキ ....
詩と技術ということを常に考えています。
というのは、私は詩を書くとき、技術的なことはぼんやりとしか考えていないから。
ぽっと浮かんだものを何も考えないで(言葉で表せるようなことは考えてない)書いて ....
人と向き合った時の
笑顔の裏を想像する
他ならぬ
自分自身の裏を
偽り
騙し
繕う
誰しも持っているであろう
その
一部分を
何 ....
雲ひとつない
ここはグラスの底
{引用=
では次に、炭酸水をきちんと測って
フラスコにいれましょう。さあさあ
....
その日も、少年(予定)は、間違えた言葉をそのままに口にする
変換の仕方も削除の方法も、最後には気付けないことばかりなので
いつまでも、「あ」と「い」が上手く発音できない
それでもいいか、なんて思 ....
夏に金魚を掬った。
冬に金魚は死んだ。
悲しかった。
八本目のアイス棒が庭に立てられた。
剥げかけた朱色の腹を浮かべて水に浮く、浮く。
元から死んだような目はさらに光を失い、失い。
....
太陽のしずく
果てしない海
{引用=
港では妻が夫の帰りを待ちわびていた。
妻は夫のために編んでいる、縄模様の
セータ ....
あれはどこからきたのかな
きいろくひかるまるいもの
だれかにきいてみたいけど
だあれもいないいないみた
{引用=
海沿いの一軒家
....
初めてね海を見たの
うん
きれい・・・・・
怖いくらいだね
....
この街で一番高い時計塔を勝手に「エッフェル塔」と名付けたきみを、
今日も僕はそのエッフェル塔まで迎えにいくんだ、自転車で。
そのエッフェル塔の真下にある噴水に腰掛けて、
つまらなそうに足をぶ ....
薄青い白夜の冷気は鋭く 肺の在りかを貫き
遥かな地平線は緩やかに弧を描いていた
私は 天地の狭間を見定める弓のやじり
雪さえ降らない凍った大地を歩む日々を もういとわない
あれは長い午後 ....
それは
一目見た時から
私の心を
掴んで
離さない
感じた事の無い
鮮烈さ
未完成の
ただ
舞い乱れる
華
月明か ....
砕けなければ
新しく生まれてゆけないのです
緩慢なうねり ではなく
大陸へ押し寄せてゆく
分解できない想い
いつも視ていた空
光は幾度も
し ....
僕に吸い付いて
青い映画を見せる
ミシシッピー川のほとりで
mとpが仲良くならんでいる話
iとsが喧嘩をする話
靴
雲
Gのおと
川は流れて
....
どうしてだか
もくぜんのせかいに
しがみついていると
こころがみにくくなる
ちっぽけにみえる
うすよごれて
きたならしい
すべてのひとに
もうしわけなくなる
きれいなけしきを
....
もしも許されないなら
この瞳を抉り出して捧げますから
貴方の薬指を飾る石にしてください
蝕まれてゆくのはいつも正常な意識ばかりで
何かを伝えようとするたびに奥歯が軋んで
上手く ....
酸性雨が降り
森が枯れて
花は身じろぎもせず
こっそりとあぶくを吐く
内なる情念を
笑った眉尻にはりつけて
澄んでゆく
影
道草が過ぎたので
傘をなくしてしまった ....
煙草を買おうと部屋を出た
外は大粒の雨
アスファルトは鯨の背中の
光沢で濡れ
商店街のタイルばりの地面は
輝く水をたたえる湖
薬局のトタン屋根を
雨が叩く バ ....
>>さて、ところで詩の余白ということに最初に着眼した方は1900年に活躍した詩人のマラルメさんらしいのです。
と前回「視覚詩と北園克衛 (と私の好きな視覚詩)について」の中で書いてからはや2ヶ月 ....
東京は
私たちの隠れ家だった
誰も私たちを知る人などない街で
なにもかもを忘れたふりをして
ただのオトコとオンナになるための
狭くて大きな隠れ家だった
東京タワーも水族館も
....
ジワジワと心に染み入る
焦燥感
ブツブツ独り言を言ってるような
薄汚れたオヤジには成りたくねぇ
意味不明な奇声を発する狂人
にも成りたくは無い
壁から人が出て来る
天井に赤ん ....
その昔
刑場へ向かう道程で咎人はこの橋の上に立ち
己の最期の姿を川面に映したと云う
インチキな占い師に
「貴女の前世は罪人でした」
と 言われて以来占いはやめた
この善良な ....
たとえば
カーテン越しの陽だまりに
できるだけぽつんと
たよりなく座ってみる
時計の針の
こちこちという音だけが
胸にひびくように
明るみの中で目をとじる
いつの日かお ....
空を見上げた
あまりに高い空なので
空に落ちていく妄想に
とらわれた
空の片隅には
誰かが切り飛ばした
爪のような
透けた細い月が出ていた
重力はその物理法則を
放棄して足は ....
頬杖をついて
空ばかり見ていた
流れながら
形を変えてゆく雲とか
鳥が黒い点になって
吸い込まれてゆく姿とか
指先でペンを回す仕草を
無意識になんどもしていて
と ....
ヘッドライトを浴びて踊る雪は
しだいに密度を増して
行く手の視界が遮られる
海岸添いのゆるやかなカーブが
永遠に終わらないという錯覚
私たちは
どこへ ....
君と僕歩いたね
手も握らずに
二人の距離と温度
冷めていった
飲まずじまいの珈琲みたいに
冷たくなった
小さな寂しさ
消えていった…
褪めていった
小 に
瓶 う
は よ
た の
....
捕まえてごらん
物事の本質や中心は
あっけなく
そっけなく
鰻みたいにぬるりと
その手から容易く逃げる
亀を捕まえるように
簡単にはいかないんだ
混沌と虚無
襲い来て
僕の意味奪う
超えられぬ
実存
薬の白さより
冷たい雪が
僕の心に降り注ぐ
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