神さまからひとつだけ願いを叶えてあげる
と言われたので
幸せになりたいとお願いしてみた
神さまはふむふむと頷いて
では、早速明日から叶えてあげよう
と言ってくれた
期待に胸膨ら ....
秋鮭って捨てるところ無いんだよね
骨や皮まで美味しくいただけるし
そんなこと話してみたら
「人生だって同じだよ」
あなたは秋鮭のルイベを美味しそうに頬張った
だと良いけどね
な ....
黄昏色の空の果て
ひとりっきりの帰り道
誰を待っていたのだろう
誰を探していたのだろう
電信柱の長い影
淋しいようと風の吹く
黄昏色の空の果て
家路をいそぐ鳥の群れ
どこへ行くとい ....
永遠に交わらぬはずの者同士が
交わろうとする
水と油
そんな感じで
高温にまで熱せられた油は
邪険にも寄せる思いを弾き飛ばして
ふつふつと
行き場の無い怒りに震え ....
「頑張って!」
と思わず口に出してしまう
それは頑張っている他者への共感であり
ふりかかる火の粉を払おうとする
ある種の逃げ口上とも言い得て
決して自分の事ではないのだから
「それじゃ ....
人間すなおじゃないとね
と
あのひとは言った
あなただって…
と
言い返そうとして
こ
としはまだ蝉の鳴き声を聞いていないことに気付いた
あのガード下へ行けば
聞く
....
わたしの舟は
海の波間に浮き、しずみ
しみいる海水を 手おけで
くみだし、海原をわたってゆく
舟に名前をつけようという
シャレた気持ちもとうになくし
それでも、
「オマエハダレゾ? ....
人は
誕生日に
呪われた
だから人は
その呪いを
打ち消すために
誕生日を
祝うのだ
ぼくの家の庭には古い井戸がある。むかしは豊かな水が湧き出し、たまには幽霊というオツなものも出たらしいけど、いまではさっぱり。水も出ない。そんな井戸がなぜ残っているのかというと、曾曾おばあちゃんのありが ....
金魚の水 を
かえないまま
入浴しているのです
もう ひとつきも
散ってゆく水面が
茶色く さがるのです
あるでしょう あの
あぶくが
あれを金魚は のみこむ
わけですけれど ....
もっと早く気づけば良かったのに
今ソレを気が付いたって
手遅れであって僕にはどうすることもできず
ただこの狭き場所で立っているだけだった
まぶしすぎるくらいヒカルライト ....
「もう無理なんだ・・」 と
電話の向こうですすり泣く男の声を聞きながら
鳩サブレーの袋を破いた。
バターのきゅんと効いたこの銘菓を、私は好きだ。
ぼりぼり。
むしゃむしゃ。
....
H
「十万投稿記念企画参加作品」
いつの間にか暗くなり
手暗がりでは捗らない
行灯の火をともし
目をこらして
仕上げを急ぐ仕立屋が
ふと窓の外に目をやる ....
冬の寒気が細く伸びて
岬の先のほうへ
鋭く尖っていった
遠くで生まれた赤土の丘が
最後に海へこぼれ落ちていく場所で
わたしの そしてあのひとの
フレアスカートのはためく裾から
なめらかに ....
このごろは配給が有っても
お砂糖はいつでもありません
サッカリンは身体に毒です
甘いものといえば
こどもたちには水飴がよいのです
川向こうの小母さんのうちにあるかもしれません
....
焦らずに
焦らずに
道は長くても
道は消えたりしないから
道に沿って
君を見守る花がある
ゆっくりと
ゆっくりと
夢は大きくても
夢は消えたりしないから
夢に沿って
....
哀しみのあなたに
なす術をもたない
わたしもまた
その非力さゆえ
自らの存在に
哀しみをおぼえる
星の瞬きの
ひとつひとつが
人の願いというならば
わたしのそれは
確かな理由を ....
静かに燃えている胸の炎
雪の舞い散る冷えた空気にも
消えないで燃え続けている
このままあなたに会えないで
一人きりせつなさにとらわれて
涙の河で溺れてしまうなら
胸の奥の埋み火消してしまお ....
うれしい朝だね
ほら、鳥がみんなで飛んでゆく
きっと
空にあいさつをしているんだよ
明るい朝だね
ほら、子供がみんなで遊びにゆく
きっと
思い出をつくりにゆくんだよ
優しい朝だ ....
街では
緑と赤がすべてに取り付けられて
大きな箱と声で賑わっている
何もかもが動
聞こえてくるのは
心を後押ししてくれる
楽しい曲
心が奏でられる
街の賛美歌
森では
緑も ....
ピセラン ポエリア 鳥の歌
あたしが夢の扉を叩けば
ピセランポエリアが 眠りのはじっこを
嘴でついばんで そのままぐんぐん飛んでいく
ピセラン ポエリア 鳥の歌
....
あ どこで鳴っているのだろ
悲しく響くパンの笛
空の上から高く低く
木々の間から遠く近く
誰が吹いているのだろ
森に木霊するパンの笛
謎 謎 謎の響き
僕はその日いつまでも
謎の響きに ....
ユニコーン
あの人から私を守って
ユニコーン
心傷付く前に
その蒼い瞳で私をみつめて
おまえのやさしい胸に抱かれながら
永遠の夢を見るのよ
汚れ知らない{ルビ処女=おとめ}のまま
....
今地平線の向こうから
金色の髪をたなびかせた
美しい日の神が来る
虹色のベールが静かに開き
竪琴のようなオーバードが流れる
ああ素晴らしい時の始まり
火の早馬は蹄を高らかに鳴らし
空の彼 ....
かいちゃんはまだ歩けない
もうすぐ一歳と五ヶ月になるのに
まだ歩かない
だけどハイハイはとっても上手
ものすごいスピードで突進して来る
逃げるのだってとっても上手
おむつ替えや着替 ....
{引用=映写機の音がする}
彼は 人のいない小さな劇場の
古く湿った 客席に座り
白くぼぉっと光るスクリーンを見つめる
{引用=ただ、かたかたと廻 ....
ゆっくりと頬を伝って流れる涙
悲しみの雪の中を体中真っ白に染まるまで
一人で泣きながらあるいた
風が吹いてサラサラと粉雪が空に登っていく
僕の弱さを心を伝って捜した
....
空の向こうの草原に
お城がひとつ建っている
お城の中から天使がひとり
銀の翼をはばたかせ
大空高く飛んでった
それから天使は戻らない
草原には今でも
お城がひとつ建っている
こんなに寒い夜だというのに
星空はどこか温かい
立ち止まって眺めれば
点と点は線になる
こんなに距離が遠いというのに
星空はどこか近い
目を凝らして眺めれば
どこかとどこかがつながっ ....
古いモルタルの
アパートの二階へ続く階段を
普段どおりに駆け上がる
足音はある意味合図だろう
鍵穴にキーを差し込んで
ここまでは完璧にいつも通り
ドアを開けた途端
部屋はいい匂いに溢れて ....
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