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濡れはじめた空が
歌をくりかえすのに
私はピアノを弾けないでいる
雲が沈み雨音が遠くなり
やがて射しこむだろう光に
伸びた髪をさらす
地上が反転する雫のなかで溺れる
鳥の影が風に波打つ
 ....
君の口付けを
夢見た日々は過ぎ
思い描いた風景は巻き取られる

新しい大地が現れるわけでもなく
羽の生えた女が
降臨することも笑い話でしかない

捨てられた世においては
布切れに女 ....
早速、ゴルコンダをググったら
ゲっ実際に存在していたのかよ

何だよ?1512年-1618年まで
ムガール帝国がイスラム教を
統一した時滅びたようだけど

近世デカン東部にあった ....
ギガバイトのうねりのなかで
わたくしの三半規管
忘れない 忘れたくない
あなたの 優しい こえ


花蜜から花蜜 あまりにも
気まぐれ過ぎる あなた
プラトニック と プラスチック
 ....
踏みつけていた
いつの間にか踏みつけていた
{ルビ直線歯車=ラックレール}

きれぎれにされた
人生のように
強さだけを必要とされて

  ずっとつながっていました
  峠を越えるの ....
あなたがあまりにも
私に優しくするから

あの薬缶は汽笛をあげている。

スカイ スカイ スカイ

空を見上げて
私を見てほしい。

スカイ スカイ スカイ

ぎりぎりのところ ....
想いを何度も
辿るから刻まれる
傷という名の痛みが
証だというのならば

     想いを何度辿っても刻まないもの

{ルビ轍=わだち}も残さず
同じ道のりを
落下し続けることに
 ....
人間を創り直そうと思いまして
街中にごろごろ落っこちている部品を
拾い集めて廻ったのデス

殻は組み立て終わりましたのに
人間を模した其れは、いつまで待っても
まったく動かないのデス

 ....
気がつけば部屋中掌だらけだった。私は小さ
なため息をつきながら場所を空けて座り、滞
っている作業を始めることにした。

遅ればせながら私も掌を買いかえることにし
たのだ。確かに飽きてきたとい ....
きみが僕を
心に焼き付けていたら
男前ではないので
さぞ不細工な焼印だろう
でも僕は
焼かれると燃えてしまうから
きみの心には
焼きつかない

きみが詩で
すごいものを作ったら
 ....
何もない景色があった
見たこともないものを、憶えているのは
緩やかに消えていく光のせいでしょうか

眠れない、夜ならば
明日の仕業にしてしまおう
結局、かたちばかりが残った
匂いが泡立つ ....
春の木々に手を当て
温かい日差しに眼を細め、
太陽の白さを受けた肌を
青の色鉛筆で写し取る

フロッタージュ。

色あせた紙と鉛の衝突音も
柔かい春風が傍を通る音も
失われた世界に、 ....
あなたへ届かぬ手紙の行方をたずね
風の舞う街へと旅立つ
 (緑色のインクで書いた
 (お別れの手紙なのに


幾艘もの小舟を乗り継ぐのは
わたくしの至らなさと諦めてみても
何故にあなた ....
どうして一人で
いるのですかと
君の言う

刻の砂時計
わたしのだけが
詰まってるんだと
我の言う

どうして時計は
詰まるのですかと
君の言う

淋しさゆえの
あやまちだ ....
在る

始まって以来続いてきて
この枝の伸びやかな道道に
茂る葉の呼吸は瑞瑞しい

それも
小雪のちらつく昨夜の雲上の月も
陽炎のゆらめく送り火も
私を育ててくれる花娘

季節の ....
その日も、少年(予定)は、間違えた言葉をそのままに口にする
変換の仕方も削除の方法も、最後には気付けないことばかりなので
いつまでも、「あ」と「い」が上手く発音できない
それでもいいか、なんて思 ....
この、聞こえない左耳で
この耳で聴いてみたい音
それは、世界に
あふれる音ではないのです

時間を追い抜いていく時計の刻む
バンアレン帯に太陽風が吹き付ける
海溝の暗闇で深海魚のため息
 ....
涸れ果てた喉を潤す故に
あなたは涅槃まで水を引くという

(お空あお過ぎて
(わたくしの心模様もあお過ぎるのかしら


あお空を見上げ続けることは
あまりにもつらくて虚しいから

 ....
もしも願いが叶うなら
風のカナリアになりましょう


綺麗と誉れる籠を出て
道なき森を羽ばたいて
君の行方を輝かす
名もなき唄になりましょう


家を飛び出し幻の
故郷求めてがむ ....
いち


にい


さん


しい












たとえば
「ありがとう」と言う前に
五つ数えたいくらいの想い
空は 晴れて 
緑が 萌えて 
鳥は 唄う 

どうしようもなく 
春で 
朝で 
まぶしくて 

どうしようもなく 
私は
女で 
せつなくて 

風が「る」のような ....
夭折


{引用=まだ生きているのか
そんな声が聞こえるのは
夜の 穏やかな枕の中だ
まだ生きている
時代を通過して
場所を通り越して
まだ何とか 生きているのだが

もう生きて ....
太陽のしずく

果てしない海


{引用=            
      港では妻が夫の帰りを待ちわびていた。
      妻は夫のために編んでいる、縄模様の
      セータ ....
見知らぬ小鳥が
甲高い声で
空にむかって告げたので
今日は見知らぬ春

葡萄の一粒が、私の中の
行ったこともない場所で
裂けて、流れ出す
見知らぬ季節

もう二度と会わない風が
 ....
桜よ
あの人を包んでください
黒い古木にもたれて
胸の傷に手を当てる
あの人の背中をさすって


夜空の花となり生温かく散って
ほのかな明かりで目隠してください
ひとひらひとひら
 ....
あんなにとんがっていた
風が柔らかくなると
空の蒼さも淡くなる

宵闇の中に
花の甘さが混ざり

夜気がねっとりと
絡み付いてくると

春は恋の季節

だから

あ ....
光と暗黒の中間点には
雨の差し込む隙間もない
密閉された空間があって
そこから
たった一本の セイタカアワダチソウが
吹いてもいない風に
反応、それを折り取ろうとしている
いっぽんの 手 ....
窓辺に置いた花が
枯れてしまって
悲しむわたしのもとへ
風が
山の裾野を渡り
あなたの窓を
こつんとひとつして
わたしの窓にも
こつんとひとつして
風の
通り道が出来たことを
知 ....
厳しかった今年の冬の寒さに
思わず手にした鰐の着ぐるみ
澱んだ日常の沼地にひっそり
停滞中の鰐輪にくろこだいる

しとしとピチョンと桜色の雨降る日曜日
菱形の鎧はギシギシと軋ん ....
初めてね海を見たの

 うん



                         きれい・・・・・


                         怖いくらいだね


 ....
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