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貴方という被写体は
なにをもって 貴方だという
内在しない対象の美しさ
それは観者の心に秘めたもの
五感レベルの知覚など
貴方を語れないでしょう
だから今 わたし ....
ちくちくちくちく、
縫い針が私の影を追いかける。
縫う主はにこにこにこにこ、
暑すぎる笑みを浮かべながら。
オネエチャンハココノヒトデスカ
(ワタシハオネエチャンガタベタイ)
ヨカッタラオ ....
ひとつの終わらない薔薇がある
幾重にも幾重にも
内面から開き続け
外側の花弁が枯れて
次々と散り落ちても
秘められた未知なるものが
沸き上るように 艶やかに捲れ
芳醇な色香を放ち続ける
....
そろばん屋の戸をくぐる
奥に小さな番台が設けられていて
主人がそろばんを弾いている
わたしがそろばんを見に来た旨を告げると
主人は顔も上げずに
今時そろばんでもないでしょう
とぶっきらぼう ....
なんにもない なんにもない地平に
ポカン ポカンと突っ立って
何から始める?
何かが始まる?
☆
黒い山の窪みに一つ
ターコイズブルーの湖出現再び
連れの老婆はとっくに
街道脇 ....
蚊に刺されて草履を履いた足の指がかゆい
目の前を流れる川の中には草ばかり生えてる
川から目を逸らすと眼科の看板
さっきから気になっていたんだけど
おばあさんがこっちを見て笑ってくる
このおば ....
自分で思っているよりずっと
いい人じゃない
なのになんで
いい人のふりしてんだ?
まるで新手の詐欺だこりゃ
優しくもない
友達思いでもない
ふいに馴れ合いが耐えられなくなり
見棄てる
....
孤独とは群れの中で
人知れずに泣くことかも知れない
ゆえに僕等は丸くなる
春を夢見て丸くなる
浜辺の女
私達は夜空に浮かぶ小さな星
冷たい風に飛ばされぬよう
闇の一 ....
私の手は汚れている。
いつも茶色く汚れている。
正しくは、化粧品の茶色い色だ。
爪もいつも、
黄緑色に淀んでいる。
顔のなかを蟻が這う。
私は痒さに爪をたてる。
その爪についた汚れが、 ....
同じバカでも
薄らがつくと
ライトなはずなのに
ヘヴィなバカより
もっとバカに聞こえるから
言葉って不思議だね
同じハゲでも
薄らがつくと
ライトなはずなのに
つるっパゲよりも
....
乗客の少ない
駅員不在のことも多い駅に
子供が取り残されて泣いていた
所々「ママ」「ママ」の混じった
ほぼ聞き取れない泣きながらの声は
受けとるもう一人の声がないままに
モノクロームの ....
新年 開けて、街 静か
枯れ葉サクサク踏んで過ぎた森も
川沿い遊歩道歩く人達も
静けさの透明瓶底を
斜光に照らされ輝きながら
無音無音、また無音
無音、青く濃くなる天蓋に
包まれ私はベン ....
薄曇り
灰色のやわらかなシーツの上
鳥たちが矢印で年のゆくえを示す
あなたがじっと見ている
薄緑の瓶の中にオレンジの蝶
と思えば炎
お湯の中に重い身体を沈めたら
ふかふかタオルで ....
しんと静まりかえった
森の中で
無辜の民を銃殺する
糸が切れた人形のように
グニャリと地に伏して
数十万人
或いは数百万人
彼らも
私の手にかかるなら
こんなにうれしいこ ....
宇宙に永遠にかわらぬ真実があるとするならば
正しいことが絶対ではないこと
ふたつにしてひとつであること
これが分からないひとは実に幸福なひとたちだ
地球の世間の芥にまみれて ....
2015年がもうすぐ終わる
2015年は死んで過去になるのだ
2015年は1月1日に生まれ
2015年は12月31日に死んで往く
2015年の寿命は一年と定められている
2015年の前の年も ....
私は毎日重罪を犯しています
人を騙して心を盗む行為に明け暮れる日々
喪失感ではなく満足感を与えて
涙ではなく笑顔を与えます
僕が騙している最中皆目を輝かせています
僕には訴える目を向けて ....
口から耳を吐き出す。
耳は目になって排水口を流れていく。
目になった耳は明日の壁を踏みしめて
雑踏を突き進む。
耳が吸い込む声は、
いつだって罵倒と嘆きだ。
けれど耳は、
罵倒の皮を ....
かわいた裸につめたいドレス
あなたの肢体の隙間を縫って
透けて見える 十二月の行進
こっそり口を開いた嵐だ
札束を数えるように
耳を裂く静寂を値踏みして
時間が止まって感じるなら
....
誰もいない
私の目にできることはなにもない 人から
瞼を静かに閉ざされた しかし 私の
多くは 目の瞼を閉ざされることによって 開かれる
私は日が暮れて 多くは 私の中にある
....
年の暮れにすっかり見通しのよくなった玉川上水を歩く
日差しというのは本当にこんなものだったろうか
木陰を求めなくなった皮膚が季節を飛び越え
あるいは目の前の季節以外を忘れてしまったみたいだ
足 ....
目線が下がりすぎた
普段とは違う方向に
浸透が始まっている
前歯に対してできる
だけ
垂直に差し込んだパンを
咀嚼
する毎に
脳裏に溢れ出す代替案
やり過ごしたはずの情景は
ほんの ....
人類史上最大の大戦争の第二次世界大戦は
1939年~1945年迄の6年間で行われた
昭和天皇に向かい皆「天皇陛下万歳!」と声を上げて
我が日本が勝つ為に特別攻撃隊も命を投げ捨てた
19 ....
国道から路地ひとつ入ったその商店街はかなり古くからあって、そこそこ人通りも
ある。だがしかし交通の便が今ひとつ。圧倒的集客を誇れるようなキーテナントも
なく、それゆえだんだん寂しいことになってしま ....
青暗くて遠い夕方
路地から猫が振り返る
だいぶ遅い因果律
いのちの殻が振り返る
今ごろ順番かあ
これが俺の天罰かあ
からだの不調で
俺は死にそうだった
....
時の歩みに歩幅を合わせると見えてくる現実。
真夜中に息を潜めると聞こえてくる騒音。
眠りを妨げる得体の知れないものたち。
そろそろ今年も終わる。
新たな年には新 ....
真夜中に映し出された、
渇ききった林の奥の瞳は知っている。
ほんとうは、
誰にも何にも、
降る雨などないということを。
それは与える愛ではなく、
誰の胸の奥に必ず咲いてしまう
甘ったる ....
音楽が聴こえる
生まれたばかりのまっさらな音楽が
夜明け前の流星群
ふたり一つの毛布に包まって
星を摘んだね
明けの明星が強く輝いていても
私たちの歓びの涙にはかなわなかっ ....
この世の吹きだまりには
決まったように列車が走っている
結論ばかりが吹きだまり
主張ばかりが吹きだまり
静寂が一向に吹きだまらない
静寂は余りにも遠い
距離の概念が消えるところに
....
夏の灼熱の熱さを
秋の黄昏の温度を
凍てつく冬の露の滴を
桜は見ている ただジッと動かずに
桜はその時、何を感じているのだろうか
辛さか
孤独か
悲しみか
何も語らずに 桜は黙して ....
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