「あなたは幼稚すぎる。」
ほとんどの面で幼稚すぎると叫ぶ。
昨日彼女は帰って来ず、
ぼくに会うとたん、これだ。
なんだか心も身体もしびれて
感覚がない から、
ただ聞いていた。
そのやわ ....
誰かが誰かを思っている
誰かが誰かを思っている
という幻想を持って
生きてる
誰かはいつも誰かであって
誰かが会いにや ....
きょうはぼくの誕生日
62歳になった 年齢はワープする
きのうまで27歳 パリのカルチェラタンを歩いていたのに
きょう ぼくのスニーカーは田舎道の ....
きのうタクシーのおっちゃんが
この世に寝る、働く、食うの他に何があるんだろうねぇ。
と言っていた。
歳を取るごとに
楽しみなんて
無くなってしまうのにねぇ
と。
....
ようくん おこって ぷんぷんぷん
かわいい おかおが まっかっか
どんどん ふくれて ふくれるよ
ぷくっと まんまる ふくれるね
ぷんぷん ようくん こんにちは
まっかっ かっかの まっかっ ....
寺山修司とは3,4度同席したことがある
池袋のホールだったと思うが
机を前に座っていた なんの会か忘れたが
本の中の写真にぴったりだと思った
鉤鼻が特徴だった だ ....
谷川俊太郎さんと酒を飲んだ
谷川さんが酒を飲むとは知らなかった
鶯谷ではない近くの酒場だった
朗読会か出版記念会のかえりだった
何度か同席したこと ....
艸がなびく
馬がいななく
大学祭は多摩キャンパスの曇り空
お汁粉が食べたくて 小遣いもらって
スニーカーでいってきた
スニーカー・ブルース ....
薔薇
ガラス
ライナーマリア・リルケ
薔薇の芽に刺されて死んでいった 破傷風の血
詩人はなぜうかつだったのか
{ルビ薔薇 ....
まだ 眠い 朝
家の前に
赤ん坊が ひとり 欲しい
祝祭のように 泣き声をあげる
赤ん坊が ひとり 欲しい
駅前にはエロ映画の宣伝ポスターが色あせていた
河童ぶちには
河童が流れ
水草がゆれている
東北新幹線を遠くはなれ
河童ぶちには
陽がさしている
木 ....
朗読会の打ち上げで
ポテトサラダを
よそって、
くれた
きみ-
き、きききみリルケが好きだといったきみぼくは
きみの言っていることが
ぜんぜん分からなかった
魚民で
となりの席で ....
地下水脈が耳の下でゴウゴウと鳴り響く夜明け
なんか起こりそうで
境界線に住む「鳥居」さんは
背中がムズムズと 引き裂かれそうに熱くなるのを感じ
家の窓を全部開 ....
おもいだす
ねえ、
きのう
何食べたっけ
わたしは吐きだしてそのまま、
そっくりおもいだす
小麦粉、パン粉、たまご、えび、
あんたさては、えびフライやな、って言うと
ピンポーン ....
決意表明から挫折まで
7秒62
このとき、世界中のCEO達が
一斉に珈琲をこぼし、
白い高級リネンのテーブルクロスに
上質な琥珀色の鳩のマークが浮かび上がった
日本時間 ....
ミトコンドリアには
ひとつのゆめがある
八月の鯨、ではないけれど
鯨を待って体内に潜り込み
激しい呼吸の赤い酵素を
たくさん送り込んでやることだ ....
よるの薬を飲んだ後にみなで喫煙室で煙草を吸った
ここ出たら何とか障害者認定の何とかの年金がいくら入るとかそんな話をしてた
精神障害者だって沢山ずるいこと考えているんだぜ
ピンクののー ....
片方の手のひとさし指に
目に見えない傷がついて
治っても治っても治らない日々にも
わたしは言葉を書きつづけている
くりかえす傷と傷のなかで
わたしは傷つけ傷ついてゆく
....
たなかさんちに
ようじがあるとかで
おばあちゃんについていった
すごくおおきないえで
おばあちゃんとたなかさんのはなしが
いつまでたってもおわらないので
ろうかをたんけんするうち
す ....
「誰でも殺せます」
その張り紙を見て僕は
丘の上の 小さな建物を目指す
汗が出る
それでも昇る
急勾配の道路を 勘を頼りに
聞き慣れない住所のありかを探す
日が昇りきった ....
あなたが
云うが
僕が何をいうても
変わらない星が
地下ショッピング街
過ぎる
あまねく吹き抜ける
構内の作動する溜め息
何のためでない
毎日
はらばら視野
汚いけど馴染む側 ....
あの人は悲しい人だった
公園のベンチで
名も無い詩人の詩集を読んでいた
落葉を栞代わりに挟んでいた
あの人は悲しい人だった
誤字脱字だらけの
名も無い詩人の詩集 ....
瀬沼孝彰詩集『凍えた耳』(ふらんす堂)
1996.6.22発行
わたしはこの詩人の名前やひととなりを詩の雑誌や『死んでもなお生きる詩人』北川朱実著(思潮社)で読んで知っていたが、作品をまるご ....
いくつもの雫が
髪の毛にぶらさがる
忘れてるのか 思い出せないのか
じれったい重み
麻薬のように
ピッシリと整えられたシーツは
刺激し続ける
ストッキングを脱いで
....
長い言葉はいらないの。
大声なんて尚のこと。
その眼で見つめて一息に。
できることなら、手を添えて。
毎朝揺られる電車の中
同じ駅で降りる男の子
名前は知らないけど
きみどり色の靴を履いてたから
ピーターと呼ぶ
夢見がちな顔で上の空
フーセンガム食べてる
でも口笛は吹けない
....
俺を押しこめようとするな 俺を狭くするな
俺は到着したばかりの華麗なオタクちゃんだ グルグルパンチだ
昨日より少し大人しい犬の頭を撫でているのだ
こら そこのお前 おれを押し込めようとするな ....
東京は台風だった
8月1日 だが君は飛んできた
ぼくがちょっと遅刻した 君のジャンボ機の
おなかを見ながら 車で走っていったのだ
君は空港でぽつんと一人たっ ....
あの頃は良かった
あの頃は幸せだった
あの頃はただ空を舞うだけで
皆の視線を一身に受け
私はただゆっくりとゆけばよかった
いつのまにか
鳥が空にあるのはすっかり当たり前になってしまった ....
朝の買い物は忙しい
タバコが切れた 我慢しようと思ったが
駄目だった バイクで行くことにした
トレーナーではちょと寒い
防水着を着てゆくことにした
....
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