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深夜の冷たい台所で
古くなった冷蔵庫が自分で自分を解体していた
もう冷蔵庫であることに
いたたまれなくなったのだ
時々痛そうにはずしたりしながら
それでも手際よく仕事を進めていっ ....
弁当を開けると
中に海が広がっている
故郷の海のように
凪いできれいだった
朝の静かな台所で
君がどんなふうにこれを作ったのか
想像しようとしても
後姿しか目に浮かばない
帰れ ....
私は私の血
息をしないと
自分に苦しい
私は私の血
ブレーキをしないで
坂道を駆け下りていく
熱い日ざしを反射して瓦
生家がみえる
(2006.6.4)
海に行く
護岸の上でいつものように
体操をしているおじさんと挨拶する
釣り糸を垂れる
魚が一匹釣れる
魚を一匹殺す
やがて日が暮れたので帰宅する
途中おじさんはもういない
今日 ....
曇った窓ガラスに
家の印をつけて
それから
母の勤めている店の印をつけて
でたらめな道でつなげる
窓が汚れるから、と
後で怒られたけれど
それがわたしの初めて描いた
世界地図でした ....
君には訓練が必要だ
高らかな産声で自らの生を宣誓し
誰にも教わることなく
呼吸し始めたようには簡単にいかない
今、君の身体は音楽に満ち
穴という穴から溢れ出そうとしている
それらを十本 ....
詳しいことは受付でお聞きください
そう言われて男はあたりを見回すが
どこにも受付などない
大切な用件なのだ
思い余って
受付はどこにあるのですか
と再び聞いてみた
あなたが受付です
胸 ....
男は冷蔵庫の中で傘を飼育している
夜の方が良く育つときいたので
朝になるとわくわくしながら傘に定規をあてるのだが
傘の長さが変わっていることはなく
その度にがっかりする
けれど男は知 ....
昇り専用のキャバレーでした
あまり感情を表に出さない女性に導かれ
私はどこまでも昇り続けました
彼女のうなじには
一匹のハエがとまっていました
その羽の見事な曲線から
昔よく下った ....
馬鹿ターボ
全開で帰宅する俺
髭をたくわえ少しワイルドな俺に
おかえり、を言う娘は少しワイルドな俺に少し慣れ
一番星が出始めた空の下で縄跳びの練習中
綺麗でしょ、綺麗でしょ
いや、 ....
あなたが徐々にしなり
あなたの腕がしなやかに湾曲し始め
それが良いことであり
あるかのようにあなたの腕の湾曲を
私のここから私は俯瞰する
キトキト、糸の車
からまりほつれ
て ....
床屋から戻ると少年はいつも
美しい母の鼻先に
散髪したばかりの頭を近づける
あら、大人のいい匂いね
それでも早めの夕食が終われば
母は仕事へと出かけていく
男の人のもっといい匂 ....
俺を押しこめようとするな 俺を狭くするな
俺は到着したばかりの華麗なオタクちゃんだ グルグルパンチだ
昨日より少し大人しい犬の頭を撫でているのだ
こら そこのお前 おれを押し込めようとするな ....
たったひとつの睡眠を
羊たちと分かちあって眠る
もこもこしてるね
なんて今日は言わない
めえ、と寝言を言っても口をふさがない
数をかぞえない
何も思い出さない
昨日は
ライオンに
食われた
一昨日は
ウサギに
肉団子にされ
ハチの幼虫に
食われたことも
あった
ニンゲン様は
俺を汚く食い散らし
ご馳走様
まで
言 ....
余計なものはすべて捨てた
部屋にはダンボール箱が一つ
私は体を折りたたんでその中に入り
蓋を閉める
部屋には今、箱だけがある
ありったけの小銭を持って
僕らはオークションに出かけた
実家が火事なんです
と泣きじゃくる男の人に競り勝ち
三匹のサワガニを落札した
一匹は僕が名前をつけて
一匹は彼女が名前をつけ
....
愛の奇跡であの娘と結婚させてください
そう神様にお願いした次の日の朝
目を覚ますと僕の右手には一本のわらがあった
どうにかしろ、ということなのか
どうにかなるさ、ということなのか
わ ....
二時間待たされたあげく
僕はタクシーの助手席に通された
運転席の医者がちらりと僕のお腹を見ながら
おめでたですね、と言う
何か心あたりは?
そういえば確かに最近酸っぱいものの数ばかり ....
あら、困ったわ
が口癖の君が困った様子なんて
今まで見たことがない
あら、困ったわ
なんて言いながらも
トントントンッとまな板の上で大根を切ったり
ザッピングをし続けた挙句の果ては ....
初代ドリンク嬢さんのたもつさんおすすめリスト
(20)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
手紙
-
たもつ
自由詩
25
10-2-16
空腹
-
たもつ
自由詩
36
06-10-14
坂道
-
たもつ
未詩・独白
4*
06-6-5
海に行く
-
たもつ
自由詩
14
05-8-4
童話(指)
-
たもつ
自由詩
38
05-7-27
ピアニスト
-
たもつ
自由詩
9
05-7-19
七人の男(探す男)
-
たもつ
自由詩
11
05-7-10
七人の男(傘を育てる男)
-
たもつ
自由詩
47
05-7-7
仮歌(omoide)
-
たもつ
自由詩
3
05-4-10
団欒
-
たもつ
自由詩
25
05-3-1
湾曲
-
たもつ
自由詩
10
04-12-9
ヘアー・トニック
-
たもつ
自由詩
15
04-11-26
ななな氏への手紙
-
たもつ
未詩・独白
9
04-11-9
誓い
-
たもつ
自由詩
18
04-10-6
循環
-
たもつ
自由詩
8
04-10-1
Simple_Life
-
たもつ
自由詩
14
04-9-21
サワガニ
-
たもつ
自由詩
9
04-9-18
愛の奇跡
-
たもつ
自由詩
13*
04-9-14
今日の治療指針
-
たもつ
自由詩
12
04-9-6
あら、困ったわ
-
たもつ
自由詩
50
04-3-26
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