すべてのおすすめ
悪意の煙して遠くで正拳突きの音
非常階段は踏み外した人を食べる。
非常階段は踏み外した人を食べる。
非常口のドアノブに手をかけたとき、
後ろから背骨を抜かれた魚のような
眼をした男と出会った。
....
他者に無関心なひとが優しくみえるように
穏やかなひとが人格が高いひとのようにみえることがある
しかしながら穏やかにみえるような奴らの大半は
ただ諦めているだけの薄笑い野郎だ
諦 ....
あなたは 年老いた家の姿を見たことがあるか
台所からは 骨と皮だけになった皮膚の隙間から
食器と血が 毎日滑り落ちて死ぬ音
骸骨のような運転手になった父が
赤信号のまま 車を通 ....
今日も同じ場所で立ち止まれば
聞こえて来る 母の明るい声
「あんたはヤクルトが大好きでね、
お風呂上がりに必ず一本飲まないと寝てくれなかった。
ある時買い置きがなくなっちゃった時があっ ....
沈黙の夏
一緒に溺れてしまいましょう
強く右手左手赤いロープで結って
動けなくなるまで
私たちは夢の中
とめ、はね、はらい、が
美しく表現できる ペンで
誰にでも 恋文みたいなことを
描いたりする 頭の中は
だいたい
とめ、はね、はらい、だらけの
行動を 起こしたがる
....
心細さを擽る風が
お腹の底を吹いたかと思うと
今朝からは
おびただしい数の赤い蜻蛉が
突然現れたにしては
脅威的な確率の高さで
ペアを組み
次々に風を横ぎっていく
二匹ずつきちんと ....
美・サイレントをききながら、口パクを真似てみる
「愛が欲しい」とか「すべてが好き」なんてちがうよなと思いつつ
こりもせず、もう一度、真似てみる
*YouTube 美・サ ....
顔のない世界を
ゆっくりあるいてゆく君を
ぼくは呼び止めて
お茶に誘ったんだ
言葉が伝わらないままに恋をし
手をにぎらないままに
ベッドに誘ったんだ
きみは買い物袋をさげて
と ....
いきなり教習所でF1に乗せられたような
いきなり手術の執刀医をさせられたような
じぶんやまわりの命の重さや軽さも認識しないまま
ひょうひょうと
ぬくぬくと
瞬間を
....
食べても食べても、淋しさが埋まらない。
だから、腕を噛んで、千切って肉を食べて、空腹の内蔵を食んで、
食べ物の匂いを消すために、鼻を千切って、
食べ物が見えないように、次は目をくり貫いて、 ....
なかなか膨らんでくれない風船に
飽きもせず息を吹き込み続ける
何処かに穴が開いているのを知りながら
滑稽な独り遊びを止めることが出来ない
春には妄想を咲かせて散らして
夏には傷痕を弄 ....
仕事から帰って
社長と上手くいってないような気がして
幻聴にすべてを奪われるような気がして
水をたくさん飲んだ
がぶり がぶり
ありがたい ありがたいと
唱えるように
....
今寝転んでいる布団で
眠るように死にたい
出来れば
最高級羽毛布団にして
床の傍らに
「愛する人」なんかつけちゃって
夢十夜の第一夜みたいに
ロマンチックに死にた ....
巫女のバイトしてご利益がない
名刺を交換するように
お互いの身体を交換する
いやッ、
あの
好感覚の感触が
指で 語る
お互いの一日の
良い所々について。
あ、
の
母音を胸に置き ....
伽の無香が音を鎮め
光の皺が
あたたかな色を奪い
さらにさらに喉は渇く
小さな小さな氷河の夜が
常に足元にまとわりつき
骨の空洞を羽に満たす
震えを震えに重ねなが ....
君は世界を蹂躙する
まずは東京タワーを飲み込んだ
次に国会議事堂を
そして、ホワイトハウスを
どんどん
どんどん
君は大きくなって
私の眼では
全貌を見ることが出来なくなってしまっ ....
ピンで留めたように
肩に力がはいっていると
指摘された
意識して
力を抜くと
肩がわずかに下がる
同時に
手も
いつもの位置より
下にいく
気づかないまま
常に
力 ....
髪の色あなた好みに染めて
目の色あなた好みに染めて
服の色あなた好みに染めて
思考だって
あなたの黒に染めて
手始めは手の内を深紅に染めて
にっこりわらって
染めて 染めて
....
木彫りの熊は売れないんだって
それはないそれはないんだけどと
キーボードを叩いた指はとても良い働きで
右の耳たぶを二回ほどノックしたんだった
そしてあなた頬杖の形をとるん
わたした ....
時間が夢を裏切り揉めている
「見て、散歩させているあのおじさん」
彼女はそう言って顔を向けた
屋外で共同作業を行っていた
「ねえ、似たのを選ぶんだって」
彼女の真ん丸な瞳が見上げる
....
割れたスピーカーから朝のラジオ体操
“最悪な日だろうと最高な日だろうと
明日という日は必ずやってくるのだ”
彼は首を傾げた
何故明日が来ると確定しているのだろうか?
明日が必ず来ると
何故言い切れるのかが解らない
....
少し照れくさそうに
藍の浴衣をまとい
そつなく束ねた髪にボタン
待ち合わせの立ち姿
初々しさに微笑んで
夏の夢のはじまり
人々は吸い込まれていく
太鼓の試し打ち
高揚する心
かき ....
もやもやが追いかけて来る日は
暗くなってから散歩をする
世の中から少し離れて
離れ過ぎずに見渡す
女というだけで不審者のように
警察官に職質されることはなく
女というだけで当たり前の様 ....
大きく重くやわらかい
三角形のパンの塔を
月あかりの径に倒してゆく
眠りに至らぬ眠り気を
眠りはひとつ抱き寄せる
(ひとつ 嘘をついていますね)
はい パンの塔 ....
ハッとしました
向かい側に立っていますね、素敵です
風であなたの髪が揺れますね、素敵です
かき分ける細い白い指が光りますね、素敵です
あなたの服が香ります、素敵です
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20