すべてのおすすめ
例えば愛されることが
順番制だとしたら
わたしの番は
一億二七〇〇万番目
いつか必ず
いつか必ず
そう信じながら
年老いて
死んでゆくのでしょう
けれどもわたし
本当は
一番が好 ....
老眼の眼をほそめ、針に糸を通して、彼女が
器用な手つきで繕いものをしている。
ほつれた糸は無いもののように。
ただ、ひたすらに繕ってゆく。
それは家族や社会、そのいちぶとしての一本
の糸であ ....
ごはんの時間まで家出
あなたが連れてきたのは、雨と汗のにおい
あなたはシャワーなんてあびたりしてさ
あたいは期待とソファーに包まれるのさ
手を付けないでおこう
自分という作品に
決めつけないでおけば
何にでもなれるだけの、柔らかさが
人の内側には、まだ残っている
手を付けないでおこう
描きかけた自画像に ....
かつて恋した人に会える
年に一度の特別な日
もう二度と
ふれあうことはなくても
恋しい恋しい人
許されない恋だったから
別れはすぐに訪れた
終わらないままに
引き裂かれた恋だった
....
どうも先天性らしいのです
人の心に穴があるのは
入り口は巨大な洞穴のようであったり
縫い針がやっと通るほどのものであったり
それぞれ異なる 奥深さ
それゆえ根付く 闇のまた闇
....
砕かれたもの
傷つけるもの
時代の浪間に
弄ばれて
俄に湧き上る想い
だが全ては白い泡のよう
摩耗して往く
意思 手足
蒼淡く ひと欠片 ....
そよ風に負けている
抑えて抑えて
気持ちを抑えて
高ぶったって何も良いこと無いんだから
得るのは終わった後の空虚感
今目の前にいる人も
いつ私にナイフを突き刺すかな
所詮他人だもの
気持ちな ....
人間を膝付かせたり
畏まらせたり
萎縮させたり
威張らせたり
たった一枚の紙切れが
数万集まれば
威張りん棒の親が
優しくなったり
馬鹿にしてた友達から
敬語を ....
{引用=真っ暗い空に
月の船が
帆をかけて行くよ
ひかりをあつめて
なみだをわたるよ
月の船が
夜を越えるよ
きどうのさきに
きぼうをのせて
帆を ....
真っ直ぐ見つめる瞳に映る
真っ直ぐな歩道を
はみ出さずに歩ける人が
この世にどれだけ居ただろう
けれど 道路の白線の中を
歩ける人が殆どで
多分 青信号で
渡ること ....
僕らは社会の文体を学んで成長してきた
はたまた親の文体に反撥しながらも生きるために
それを受け入れて
今度は自分自身のフォーマットに縛られながら
それとの葛藤にちょっと疲れているのかもしれ ....
帰りたくない林檎に砂糖ふっている
おでこにおでこくっつけてジェリービーンズの雨降る
阿佐ケ谷に引っ越したKに会いに行った
Kの働く作業所(主に知的障がい者の人たちなどが働く喫茶店)で
Iphoneのゲームの情報を交換などした
昨日ipadを買ったらしい
彼は高円寺の路上である ....
君に照らされたいと
咲いた花は
雨風さらされ
踏まれながらも
その目に留まれと
桃色の手をかかげる
鈴なりのコチョウラン
大輪のボタン
道端のケイトウも華と
とうの昔に知って ....
.
くにざかひ{ルビ嶮=さ}しき小径を伝ひ
{ルビ菩提樹=しなのき}の厚き葉叢の陰に
古びてあるか二もとの{ルビ碑=いしぶみ}
旅人は振り返り又振り返り歩き過ぎてむ
.
石のおもは ....
いつだって私には、なにもなかった
くだらない事ばかり言って
悪態ついて
早起きもできない
素直じゃない
怒りはいつも自分宛て
どうせみんな燃えちまうんだって
そんな事ばかり考えて ....
がたぴし翁が住んでいるという
ここまで来たのだから挨拶をしていこうと
靴を脱いで上がっていったら
ちゃんと列に並んでくれと怒られてしまい
肩の間でしゅんとしている
それで長いこと待って
き ....
青い本、カーテン、壁。
ゆで卵、液晶、ローラーコースター
交互にする指輪、遠い者同士の接吻
からだを折ると、すこし生きやすい。
思いだすのは、ちいさなこと
泣いたら泣いたぶんだけ体が ....
空耳
原型がわからない
こんな音
だらけ
ずっと
これからも
夜の悪戯
午前2時に抜け出して
星と一緒に空を駆けた
君と降り立った夜の水族館
クラゲの展示に食いついて
離れない横顔が好きだ
少し足元照らすライトが
緊張感を膨れさせる ....
風が風で
風のままに風で
風以外のものすべてを
風に透している
焦げた港
暮れの青と水
人音の無い径
海に満ちる耳
空が空を剥がしてゆく
銀の彫像 ....
縦の渦の目
夜の窓をすぎる
虫の声の羽
笑む火の口もと
縦の渦の目
縦の渦の目
双つの花の目
早朝を泳ぐ
未満と未明の
機械的なまばたき
双つの花の目
....
さえない日々の影にかたちがない
検診前なので、節制中
恋愛前なので、節制中
節制クラブ、部員募集中
まどろみの中、ぽつりぽつりと存在する人が去った。
去った後にぽつりぽつりがまどろみの中。
ぽつり、
ぽつり、
存在するなんて難しい言葉。
言葉は難しい存在。
言葉は ....
思い出の一瞬と音楽は
空気ごと吸って吐くものだ
それらを肺のフィルターにかけるから
その摩擦で胸は詰まる
連動する 目蓋の裏の幻灯機
スクラップブックに貼られた
走馬灯のフィルムの一部 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20