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反射鏡の こちら側から見た世界は
鋭角に 歪んで
鏡台に 腰掛けた私は
危うく 転がり落ちた
睫毛に描いた 何時かの思い出も
米粒に写経した 文字の如く
判別出来なくて
....
怖い話だが滑舌が悪い
君の住む街の地図を買って会いに行かない
もう一度
巡り会えると思っていた
例えば
白い窓枠の廃校舎
花壇
の隅に埋めた
解剖のフナ
誰かが拾ってきた小鳥
教室で飼っていた金魚
アコーディオンを弾いていた先生
転校していっ ....
背中から滲み出ていった
粘性をなくしさらさらたあいなく
細胞膜を圧し拡げ
やがて満ちてくる
潮の匂いを
含む泥水
糸は震えず
笛は鳴かない
風が吹くたび
飛ぶ 砂の荒らさ
腰か ....
小さな子らが
涙を浮かべた目を見つめ
虹の瞳だ と言った
たくさんたくさん 集まってきた
特別なことは何もない
すべてを
ただ恐れているのだ
と言った
....
冷たい風の音だけが聞こえる
悲しい夜の寒さだけを感じる
月に向かって飛ぶ機体は
陸に全てを置き去りにした
街の遠い灯りが見える
知らない街の時計塔を見る
左に沈んで曲線を遺し
....
手を振り返さなければ乗れた終電
コーヒーの香りとあなた
コーヒーの香りとあなた
コーヒーの香りとあなた
咆哮せよ
のどからの
ひ弱な声ではなく
身をふるわせて
黒々とした
月の照る下
咆哮せよ
咆哮すればこそ
きみの声は
艶やかな音の 一点を突 ....
鈴虫や蟋蟀
名も知らぬ羽虫の伴奏の中
誰かの家から
音階を昇降する
提琴の音色
同じく振動を音にする
小さな先輩達と響かせる
夜闇のエチュード
美しく作ってもらえなかったアンドロイドの気持ち
干しかけた洗濯物
風の一吹きに掬い上げられ
みんな地べたに、落ちちゃった
シャツにトランクス、靴下にパジャマ
着古した心から、思い出の沁みを洗い落として
まっさらに漂白したっ ....
そっと今も
地球に隠されている
新しい一日には
夜明けの太陽から
陽射しが煌めいて
鳥たちが
鳴き始める約束の朝
窓を開ける
君の微笑みに
旧来の知人から
感謝の手紙が届い ....
七色に輝く水しぶきを浴びて
キャッキャと走り回るあなたを
私だけのファインダーに
永遠に閉じ込めておきたくて
夢中でシャッターを押したのに
あなたのぶれた指先や
揺れるスカートのレースしか ....
する事は 沢山あるから
あなたを 思う時間を減らせる
ただ 遠い出口の丸い光が見えていたから
「それでは また」
ポツリ一言 質量を伴わない声では背の側に当たったことに気づかない
ひたすら光の穴に向かって空回りの歩みをす ....
指きりげんまん人間未満
押しつぶしに来た 現実と
押しつぶされるために有る 自分との
バランス
あなたとわたしの汗が滴る肌 舌をはわせてあげる
あえぎ声 はてるまで
何もかも とけてしまうまで
埃っぽい一日が暮れかける
ゆくあてもない想いが影といっしょに夕闇に溶けて行く
ちっぽけな哀しみを手のひらで転がして
ため息にも似たつぶやきを繰り返す
幼い頃母に背を押されるようにして嫌 ....
不幸だからと詩を語るのは正しくはないだろう
幸せに足らないからと詩を描くのはもっと正しくはない
いまあなたが誰かを思うように
言葉はぶつかり合う陽子と中性子の悔塊
ひ ....
空に中秋の満月が上るとき
ぼくは見付けた
彼岸花が長い首を空に伸ばした根元に
仰向けに転がっているアブラゼミ
つい先ほどまで生きていたような
みずみずしさ
ひぐらしの声を聞いたのは ....
正論を吐く人のカツラずれている
ちゃんと
キスして
挨拶じゃない
キスのためのキスをして
23:59の私
00:00の私
日付は変わったけど
1分でなにが変わったかな
真っ暗闇に進んでいる
けれど気持ちが幸せで
思う気持ちが大事で
思われることは素晴らしい ....
たとえ君が空腹を感じても
僕は君の為に何も出来ない
君に何かしてあげたいのだけれど
何一つ出来ない
皿の上の一切れのパンを
君は食べるだろう
空腹感が消えるだろう
僕は何も出 ....
わだかマリは美辞麗句に対する発酵した恋情を
月明りに晒された真っ赤な隠語に注射しながら
言葉が死滅した宇宙を金縛りのまま浮遊する
陽気な殺意のクラリネットが舌先を蛇のように操ると
殻も割ら ....
黒猫たちは
人間の力を
恐れませんでした
あくる朝には
深い霧が晴れて
太陽のしたでは行動が
穏便ではないので
捕らえられた
猫たちの奪還は
潮の引く
新月になる今夜を選び
....
真夜中を過ぎて
潮騒が近くで鳴る
砂浜で水夫たちは
休んでいました
座礁した帆船からは
食料を運び出すために
彼らは夜を徹して
運搬を交代でしながら
海では嵐が来たけれど
水 ....
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