小さな子供のやわらかな髪を
指でやさしく梳かすように
風は愛撫する
幼いころから見慣れている
名も知らぬ野の草花を
市営住宅が建ち並ぶ
隙間の小さな芝生の上
心地良さげに ....
丸みを帯びた花びら一枚 好き嫌い 好き嫌い
くびれ撫でる花びら一枚 表の艶 裏のスモーキー 好き嫌い 好き嫌い
女の湿気 外からの単調の雨の音
虚ろな指先で ほのめかす花びら一枚 好 ....
一番星みつけた
紅の空の端っこを
指さして
嬉々としていた
あの頃の僕は
何処に行ってしまったんだろう
一番星みつけた
あの時、空の端っこで
輝いていたあの星は
今も輝いているん ....
相手をたいせつにするために、待つ、ということを、おぼえなければならない。
夜行バスはどこをめざしてゆくのだろうね
彼女は旅行雑誌の安い旅先にのるのかな
闇はやわらかくひろがっている
人間はどこまで自分をつくりかえられるのかな
カルマ=人間の業は命 ....
金の入日に 繻子の黒
金波 頭上に おわします
思えばオーロラ 光のループ
金の入日に 銀の水輪 ゆれる人蔭 金輪奈落の水際の
あのかた あちらに いらっしゃる
昼間 ....
夢はまだ
手の届く
ところに
あるでしょうか
わたしのそばに
そして
あなたのそばに
あなたがその笑顔を見せなかったのは
きっと私を困らせないために
あなたがその声を聞かせなかったのは
きっと私を苦しめないために
一人がこの世に増えること
それは太陽の現れのようで
....
ぱらぱらと降りそそぐ
オレンジ色の十字星 / ジュウジボシ
軽やかに土を跳ね
思い思いの居場所に
身を委ねる
....
静かに息を整え
肩の力を抜いて
見るヒマも無かった景色に瞳(メ)を留め
足を止めていれば
もう思い出の中の一コマにすぎないと思っていた
そんな季節のように
手す ....
パチンコのホールマネージャーは職種で時給を差別するのを嫌って居た
清掃も接客も内容に違いはあっても
労働の価値に違いは無いのである
と言うのが彼の自論であった
接客はそれなりに心労を伴うが手待 ....
負った傷と都合の悪い過去は
片っ端から切って捨てる
少し 尾骶骨が痛い
道端に捨ててうっかり拾われてしまっては大変なので
その都度回収して箱に収めた
赤いの
....
自分よ きみ 恋にへこたれるな
こころざわめく思い もう すぐにでも遠くに行ってしまいそう
好きだってことさえも言えぬまま
旅立つことを見送るの?
そのまま失うことに慣れていくの?
....
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