路上には浮かれた連中が捨てていく安易な欲望の欠片だけが残されている、どこかのビルの三階か、四階あたりにあるスナックの開けっ放しの窓から聞くに堪えない歌声が垂れ流されている、腐敗してドロドロになった .... 廃道の縁石の上に腰かけて週末のブルース、三連符のリズムで歩道を啄む鳩ども、フライパンの上の季節、なにもかもまるで白昼夢のようさ(夢じゃいけない理由ってなにかある?)寝転がりたいくらい草臥れてるけど .... 殺意がある
おそらくは
得体の知れないものを
殺るための
そうして
奇形してゆく
正常な道を辿るために
入り組んだ鍾乳洞に
明かりもなしに潜り込むんだ
石のつららで頭を打ち
濡 ....
言語は解体され、意識の破片となって、冷たい寝床で検死医を待っている、風が鳴くような音は、体内に残留した空気が逃げ場所を探す音、死後硬直のトーンは灰色、アルミニウムのような冷たさだけがそこにある、空 .... フォー・ビートが沈み込んでいく
目録のない夜の隙間
非常階段の泣声
男か女か分からない

カルヴァンクラインの残骸
浴室に注射針
充血した瞳が
最期の瞬間に見たものは

あなた ....
どうにも目がさえて眠れないので
今日の夢をゴミ箱に捨てました
今日の夢は泣いていましたが
何も言わずにゴミ箱に蓋をしました
ひとは残酷ないきものです
ティン・マシーンを聴いていてふと
 ....
土の中に溺れた
午前三時の記憶は
白い朝に焼かれて
跡形もなくなる
海沿いの埃
引き潮にさらわれ
光の
届かないところに…

海獣のボーン
砂を撫ぜ
小さなアンサンブル
音 ....
根源的な飢餓が髄液を澱ませてでもいるように、奇妙な焦燥がゴキブリみたいに心臓を徘徊していた、何度瞬きをしても視界は良好というレベルには至らなかったし、チカチカと水晶体のすぐ側で忌々しい明滅が繰り返 .... 青褪めて膿んだ昨日はクローゼットの右奥の隅で見事なまでに腐食した、捨てた言葉が弾帯のように連なってそのそばに転がっている、俺は聖書を読んでいた、大型電化店のセールのチラシを眺めるみたいに…激しい雨 .... 「これはこうだからこうしなきゃいけない」
そんなもんに
これっぽっちも興味はねえんだわ
決まり事をなぞってどんなもんが出来る?
ほら、ご立派な講釈垂れてる、おまえ
日本車みたいな味も素っ ....
名もない
小さな舞台で
見すぼらしい役者が
2、3の台詞を与えられて
得意になって喋っているが
表現は容姿と大差なく
筋書きも
よくあるつまらないシロモノだった
俺は心底まで退屈し ....
部屋の中で雨が降り続けているみたいに思えるのは、俺の血が滴り続けているからさ、いや―自傷趣味や頸動脈切断とか、そういう類の話じゃない―俺の血はいつだってこんなふうに、行場を失くして沸騰して飛び出したが .... ドブネズミの頭骨だけが綺麗に積み上げられた路地裏の酒場の看板の下にコカインの包み紙、側溝にかぶせられた石の蓋は片っ端から破壊されていて、外灯はけたたましく点滅している…メタリカのショーみたいに…焼 .... きみはぼくだった
ぼく以上に
ぼくをどうすればいいかわかってた
調子がいいときは
犬を放すみたいにほうっておいてくれたし
つらいときには
適度に気にかけてくれた
でもいま
きみはたった ....
嘔吐、のようになまぬるい夜を落ちていくそれに、名前をつける気などあるものか、おれはとうの昔におれ自身ではなくなってしまった、いや、忘れてしまっただけかもしれない、けれど、それはいま語るのに必要な言 .... 動物の在り方を身に宿し牙の位置を整える、吠えるなら大声で、囁くならいっそ口を閉じて、己の心を恥じればいい、自分で処理出来れば人目にさらすこともない…とはいえ、それが出来るくらいならハナから真っ当な .... 指を伸ばして
最初に触れたものの名前を教えて
それはきっとこれからの
示唆を含んでいるから
たとえそれが
取るに足らない冗談めいたものでも
なにも手に入らないよりはきっとましなことでし ....
せせらぎは忘却のように消え失せてしまった、もう、おまえは、地に落ちた果物みたいにいびつで惨めなしろものだ、指先が震えているのは、根源的なおそれのせい、途方もない量の雨が世界に飛び降りてくる、人々の .... 飴色のグラスみたいな陽だまりが廊下の奥に落ちていた、天井に埋め込まれた空調が立てる微かな稼働音は何故だか宇宙船を連想させた、俺は廊下に並べられたパイプ椅子に腰かけていた、それは五脚あったが座ってい .... 世界の端っこで
瓦礫にくるまれた
十代の残滓を

山道に捨てられた
切り裂かれたタイヤの
あちこちに散乱した破片を

白紙のノートを
汚すことはもう出来ない
指先のみで
脳味 ....
叫びは暗闇に飲み込まれ、おれたちは
財布を落としてきたみたいな心もとない気持ちでいる
神さまは金持ちにだけ整理券を配り
おれたちには聖書みたいに硬いパンを施すだけさ
適性検査を受けて戦いに ....
微量の電流がひっきりなしに身体中を駆け巡っているような違和感が続いて、痒くもないのに腕の同じところを掻きむしっていた、寝たり起きたりを繰り返した朦朧とした頭では現在時刻を確認することも容易ではない .... 暗い湖に朦朧と沈む膨張した死体の夢
網膜のなかに書き殴られた最期の詩
叫びはふやけた肉体に阻まれ
二度と出られぬまま溶解して流れ出る
いつだって午前二時
破裂と飛散を望むものたちが
内 ....
こと切れそうな灯りが、埃の海に飲み込まれそうな木の床を探している
流れているジャズはスローで、消えないものに心をこだわらせる
まばたきのつもりだったのに眠っていたのか、そんな判断もつかないほど ....
アーモンドチョコレートとストレートティ
夜のストレンジャーとカム・ダンス・ウィズミー
バス停でその日最後の長距離便を待っていた僕らは
見すぼらしくも誇らしい二人の子鼠だった

丸一日、あ ....
昆虫の呼吸器官は腹の横に空いた幾つかの穴、ラジオでそれだけを繰り返すキャスターの声は重く沈んでいて、何のための放送なのかはまったく理解出来なかった、そんな夢を見たんだ、寝床が焼け付くような朝に
 ....
指の強張りの理由は不明だった、時間は渦のように暴れながら不均一に流れ、少なくともここからでは確認することの出来ないどこかへ静かに落ちて行った、午後になってから隠れた太陽は結局そのまま今日の役目を終 .... 盗人のような夕日が、薄曇りの空に紛れてゆっくりと沈んだので、俺はまるで破産した大金持ちのような気分で遮光カーテンを閉じた、喰い過ぎた晩飯がウェイトになって胃袋に伸し掛かる、だからイヤホンを突っ込ん .... 緩い傾斜は右へ左へと度々方向を変えながらその頂点へと続いている、俺の脳裏ではマーチング・バンドの隊列が知らない曲を演奏しながら練り歩いていた、演奏はあまりにも楽譜通りで―大病院の会計で知らない誰か .... 欠けたグラスの縁から飲んで唇から途方もない血を流せばいい
解けた鎖を無茶苦茶に絡め直して永遠を誓えばいい
もう二度と手に入らないものは
どんなに蔑ろにしたって誰にも叱られない
闇雲に生えて ....
ホロウ・シカエルボク(1254)
タイトル カテゴリ Point 日付
失点自由詩2*20/8/8 23:02
歩くことひとつにしたって語り尽くせるようなものではない自由詩1*20/8/1 18:37
鏡像自由詩1*20/7/29 4:26
乱反射する生の所在地自由詩2*20/7/27 17:03
世界中のさよならの鐘をふたりで自由詩3*20/7/25 0:23
夢を見るのは悪いことではないけれど自由詩12*20/7/19 10:02
Fuck the Facts自由詩3*20/7/16 15:44
それは広がり続け、そして深くなり続ける、そして二度と狭まるこ ...自由詩2*20/7/10 23:43
たったひとりのためだけのものぐさな神を引きずり出す自由詩3*20/7/7 5:40
目を開け、自分で立て、常に新しく始めろ自由詩3*20/7/5 1:14
踊ろう、マジな月の下で自由詩1*20/7/3 23:21
赤く塗れ自由詩1*20/6/30 8:42
骨になったら壺のなか自由詩020/6/28 22:19
ソファーにこわれもの自由詩3*20/6/24 1:58
独白は灯りの真下を避けて自由詩1*20/6/22 22:04
その世界の爆発はいつだって生臭いほどの赤みに満ちている自由詩020/6/19 22:38
目隠しの奇想曲自由詩4*20/6/17 2:24
子守歌は静寂の雑踏のなかで自由詩2*20/6/15 0:29
思えば、出口なんてイデーをはっきりそれと認識したのは自由詩1*20/6/11 22:43
まぼろしの午後自由詩4*20/6/9 0:23
ロックンロールはだれのため自由詩8*20/6/7 21:39
感電のさなかには痛みなど感じていないものだ自由詩020/6/4 22:37
不意打ちのようにやって来る自由詩7*20/6/2 0:41
愚かさの取り分自由詩1*20/5/31 22:26
ショー・マスト・ゴー・オン(脚本がすでに失われていても)自由詩2*20/5/27 0:34
Stay Free自由詩2*20/5/24 22:06
カウントを取るにはビートが染み込んでいなければならない自由詩2*20/5/21 22:06
現実だってたぶんまじないみたいなもん自由詩2*20/5/17 22:07
ぽっかりと空いた穴みたいな時間自由詩2*20/5/14 21:44
吟遊詩人の歌自由詩3*20/5/11 23:18

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