陽は
やがてどうやっても沈むものだ
私を追い越し
はるか先に地球の裏側を見る前に
愛惜の温石を腹に抱いて
深く穏やかに眠れ

あまりに速い波濤の末に
凪いだ大海にその身を委ね
全てを ....
青春 青春
 青春 青春 青春
  青春 青春
    青春 青春 青春 青春
   青春  青春
  青春

列車が走り去った
たくさんの制服の群れが駅のホームに行き交う

もう ....
米って左右対称じゃない
犬歯のように少し欠けてる
その犬歯みたいな米は
臼歯で噛むと甘くなる
そういえば
オオカミの犬歯を
あの人はお守りにしていた
もっと噛んでくれてもよかったのに
昔、愛した女の庭には
大きな花桃の木があった。

その木は
春になると
その女の唇のような
濃い
桃色の花を枝いっぱいにつける。

その花びらひとつひとつは
どうしてもその女の爪の ....
冬の終わりに
ふと
雨が降り出す
雨に打たれて
ふと
今わたしを温めうるのは
人肌だけなのを知る。
桃の芽が膨らんでいる
蜜に満ちた大きな実になるのに三月
その前に花が咲く
あの桃色の
あの花が咲く
味噌ラーメンは北の食べ物だ。
キムチは韓国の漬け物だ。
これをたしたらうまいだろうな
そういう野心が好きだ
その野心が百杯のラーメンではなく
この一杯のラーメンになる
ところが好きだ
私 ....
古い家の
庭の奥にある
沈丁花が匂い始めた
古い家の
古い歴史の
春の匂いに
春の陽が
陽だまりが
町中が染まっていく
もう誰も生きていなかった
古い時代の春が
足元から広がって ....
階段の上に立つと眺めがいい
どこまでもずっと見通せる
そうしてどの階段にも
またその後ろに秘密の階段がある
それが素敵だ
一晩中軒がガタガタとなっている
大きな手が壁を叩くような音がする
このまま屋根がなくなりそうだ
この屋根が飛ばされたなら
ボクもボクの暮らしも無防備になる
これが自由ということであればだが
 ....
カモシカの瞳は横に長い
猫の目は縦
蝶は複眼で
君の目は丸い
同じ世界をじっと見ている
青空がだんだんと夜になって
五色の旗
はためく空に満月
まんまるな白杯に濁酒を満たして
ただひたすらに月を呑む
杉の梢に雲が絡む
それは川であったり
馬であったり
龍であったりする
大樹に向かい私の足が根になるとき
私は蒼天の
川に遊び
天翔ける風となり
未知なるものの微笑みを知る
昼間の月が山から出てくる
満月に近い間は
遠くて明るい
砂塵がもうもうと上がる
町ひとつが燃え上がるようだ
夕景
しばらくして車がガタガタと揺れる
土の渦がフロントガラスの向こうを通り過ぎる
渦、渦。
もうもうと
風が通り過ぎる
先日、本屋へ行った。
ご贔屓の作家の旧作が文庫になったのを知ったからである。
お目当ての一冊の場所を確認すると
せっかくなので
呼ばれた順に本を手に取って立ち読みをした。
寝しなに読むのにち ....
瀧の音がする

雪解けだろうか
それとも
凍りついた瀧の裏側が動き始めたのだろうか

いずれにしても
寒い冬にあるとき
人はあたたかな春を待つ
つまりはこの瀧の音が
春を招き 冬を ....
春になると

あたたかい

おひさまが日差しを背負わせてくれる

味わいたいのはあたたかなスープで

抱きしめたいのは大切な体温

あたたかな一日である
プレスで濃いめに淹れると香りが鈍くなり
適量をドリップで淹れると
いい匂いが立ち込めてくる

豆の焦げた匂いに部屋中を支配されたいなら
濃くない方がいいのだ

ただ濃い方がふと思い出した ....
あなたはなぜ葉をむらさきに染めてまで

凍てた地面に命をはびこらせてまで

この寒い冬に咲くのだ

痛いだろう

葉も茎も花も


でもあなたが今咲いていることで

私は生き ....
ここのウリはこってりカレー

ぽってりしていて具はないの

っていうかみんなとけてる

沸かさないように

焦がさないように

朝からずっと煮て

ほぐして

漉して

 ....
饒舌な彼女の言葉をメモに起こしてみる

初めはほらこんな具合

きれいだ

でもだんだんと文字が乱れて

筆記体

草書体

ついには単語と矢印のチャートになって

絵記号 ....
杉の木の地肌には

落雷の焼け跡があって

炎の枝を広げたその後に

彼は大きな枝をまた伸ばした

彼の肌には苔のいい匂いがあって

失ったてっぺんを補うくらいの広い枝を

私 ....
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。

次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

しんしん

しんしんと

ふりやまぬ雪は

そのとき、

道子の屋根にも

春子の屋根に ....
一富士二鷹三茄子

一富士二鷹三茄子

親の意見と茄子の花は

千に一つの仇もない

春新月

花爛漫と

曇天の夜
中華街で食う

春節の肉団子は旨い

肉をこねて

揚げて

煮込んで

茶色の大きなかたまりに

春の息吹が押し込まれてる

たっぷりとした汁の中で

白菜やら

 ....
春が来るらしい

誰かが

わたしの肩を

抱きしめているような温みがあり

天と大地の鼓動が聞こえる
家に帰ったら

つぼみが

いくつか咲いていた

とてもさみしい
甘い甘いリンゴのケーキの

そのリンゴは

遠い遠い青森県から来たという

北の地べたに

大切に植えられた木のたくさんの時間と

作り手の方の人生と経験と

この年にかけた手 ....
二十度の酒を呑むと苦しいだけだが
五十度の酒を呑むと爆発できるらしい
でもそれはあまり売れない

じゃあ炸裂が怖いの
と聞くと炸裂したい人はたくさんいるのにだ
黒田康之(113)
タイトル カテゴリ Point 日付
落日自由詩021/6/9 19:46
青春自由詩021/4/19 4:16
自由詩221/3/15 3:43
花桃の木自由詩421/3/14 3:36
冬の終わりの雨自由詩121/3/8 2:26
太陽の果実自由詩121/3/7 4:03
キムチ味噌ラーメン自由詩021/3/6 2:10
匂い自由詩221/3/5 4:11
階段の上自由詩421/3/4 9:06
自由詩121/3/3 4:58
自由詩121/3/1 18:03
月とはためく自由詩121/2/28 4:39
杉の梢自由詩021/2/26 11:53
昼間の月自由詩021/2/26 11:34
突風自由詩221/2/25 2:46
美しい女自由詩121/2/23 18:38
自由詩421/2/23 0:18
春の日自由詩321/2/22 2:45
コーヒー自由詩121/2/21 0:14
ふゆのはな自由詩121/2/19 19:38
こってりカレーライス自由詩321/2/19 2:16
ことば自由詩221/2/18 5:21
杉の肌自由詩221/2/17 1:29
雪 三好達治 引用自由詩121/2/15 23:02
富士山(新年詩2021)自由詩221/2/13 2:20
肉団子自由詩321/2/12 3:08
冬の終わり自由詩321/2/10 23:17
つぼみ自由詩321/2/9 21:23
リンゴのケーキ自由詩221/2/9 5:28
炸裂自由詩121/2/8 2:28

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