キッチンの窓白むまで十三夜
流れ星時計の無い国いらない国
虫鳴くや昨日のきみの温もりよ
{ルビ沼沢=ぬまさわ}の{ルビ鼾=いびき}迂闊なヒキガエル
淵源の{ルビ有=ウーシア}くゆらすぬらりひょん
古代はす{ルビ千歳=ちとせ}を跨ぎ{ルビ秋津=あきつ}{ルビ領=し}る
石 ....
{注銀漢=天の川の意}に蝕み出す雲の人知れず
{注死人花=彼岸花の別称}両手に享ける{ルビ贄=にえ}として
ただならぬ歯茎の{ルビ木通=あけび}影通る
虫潰す肩に気配の{注狐花= ....
屋根の無い外で虫鳴く午前四時
秋の朝白むくりやの明り窓
湯を沸かす音まで連れて九月ゆく
{ルビ初秋=はつあき}の床にメールの落ちる{ルビ聲=こゑ}
秋めくと紫いろもほの{ルビ蒼=あお}く
風すてて秋の彼岸の岸に付く
秋のひる裏返しの{ルビ儘=まま}外仕事
空澄んで ....
マハリシの真名も知らずに秋深し らどみ
屋根の下の終わらないうた星月夜
昨日来た手紙は捨てる十三夜
この星の果てをめざした秋の蝶
時の河の流れに浮かぶ木の実たち
「さよなら」と書いたお札でりんご買う
....
さしまねく何かにしたがいながらも{ルビ風車=かざぐるま}
炎天に自己愛もやしつくしきり雲の流れる
ロクデナシともなれず秋刀魚と菜箸
秒針ばかりが動き昼の爆撃
白雲が折り目無く{ ....
ごめんというがいうだけの曼珠沙華
液体のよう{ルビ月日=げつじつ}無碍ながらも初秋
薔薇の顔は神の刻限にはや棄てた
空をみてそらに対峙できずに
きづいたら何も無く泥だまり。 ....
あることがこんなにも白い昼の月
風鈴の音色の中で毒饅頭を食んでいた
みっともなく弛んだし笑う
いつしか朗朗と白髪混じり
誤読も正読もおそれず風のなか
あの葉っぱをにぎりた ....
一粒で雄弁になるマスカット
無花果をもぐことなしに終わるのか
昨日より今日が大切レモン買う
コラージュがわが家のポエジー天の川
わが猫の五キロの体躯秋うらら
ピアノ譜に林檎を載せてセピア色
秋の日に往日をしるピアノ一つ
林檎煮るフォークギターの鳴る部屋 ....
八月の靴で家路の最後の日
冷たくて甘酸っぱくて八月よ
キッチンで林檎を磨く午後十時
父さんの手つきを真似て林檎剥く
ロンドンの枕が統べる林檎かな
白地図に街ではなくて林檎描く
小さな花瓶に朝が冷えている
うたた寝ゆっくり溶けている氷
冷え切った静寂の前に坐る
うすいひかりに夏の感傷吹きつける
パンクした自転車で夏を通過している
みんな同じような愚かさかかえて朝露
....
遠音とてエノコログサのそよぎおり
過去猫は覚えているか小鳥来る
一生をシャム猫として木の実落つ
君の骨をみたことある、なんて嘘をつく
部屋に入った深夜、床にすわりこむ
あたらしい夜を探して路地をゆく
生きて、辛くても、啄木鳥
瞳 ....
御弾きのぶつかりあうたび秋の虹
水澄みてメトロノームの影ゆれて
手でにぎりつぶすむらさき式部の実
みどりごの瞳の奥のほしづくよ
月さやか時計を捨てて丘で待つ
エプロンは空色でした秋の朝
小鳥来るメトロノームのその隣
港町夕焼け市場のレモン売り
十六 ....
シャム猫は月の光から生まれて
過去猫の生まれた夏の波の音
海風にクロスをかけてソーダ水
花野来て海を探して見つからず
月静か骨はどこだろ父さんの
今ここです父さん見てて十三夜
そらをとぶ骸骨か、煙かわからない
死んだあとを焼き場でみた
昼なのに、傷のある音を出す
濡れた髪を切りたい
たち止まり雲を見る、ひとは歩いている
....
小鳥来て猫が爪研ぐわが窓辺
「がんばれ」とかなかなから手紙が届く
夏深しコーヒー缶の銀光る
哲学書にコーヒーの染み夏の果
コーヒーのカップを探した夏終わる
自由律?
イエ〜スッ!
むろん山頭火さんの句に惹かれて。
ただの、マネ?
NOよ。
心からの、オマージュ!
その、第二弾ッ!
ウシガエルめの鳴き声やまない夜
....
自由律?
むろん山頭火さんの句に惹かれて。
ただの、マネ?
NOよ。心からの、オマージュ!
あの猿求めて風の中あるく
撫でたひたいが狭い猫か
まちが紫陽花ばかり自転 ....
陽の沈む海の子どもの夏休み
真夜中のシンクを游ぐ夏の水
洗濯機を開けて真白き秋のシャツ
八月の不思議の果ての白い靴
昨日より少しふんわり星の秋
初嵐キッチンクロスが飛んで行く
立てかけたギターが倒れかける夏
しずかな映画のしずけさを引き摺る
いつしか終わっていた曲と雨ふる
きつい煙草をあげた夏の畔
死にぞこないの春だ
ちぎれた雲がふいとさみしい
こんな小さな破片 ....
心臓と心があって額紫陽花
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