あれこれと計画を練る夏の畑
友来たる土産のメロン未だ固き
{ルビ青嵐=せいらん}や洗濯物の{ルビ翻=ひるがえ}り
海隔て仰ぐ打ち上げ花火かな
人出増す市民の愉悦夏祭り
始まれば終わるしかない額の花
箱庭や不在ばかりが生って夕
切り落とす音朝顔の青に似て
行き先のないまま咲くの月下美人
ダチュラダチュラダチュラダチュラ寂しい日
草を刈る朝餉の前の小半時
草刈や鋏の音に背ナ押され
汗かきて残り湯に入る心地良さ
渋柿の文月俳誌雨読の日
災難は一秒の差や夏豪雨
果樹の葉の宙に揺るるや蜘蛛の糸
暴れ梅雨青き花弁に雫置く
意味知りて身の養生す夏土用
一発の打つ手命中藪蚊かな
木の下をゆく度{ルビ転=まろ}ぶ李喰ふ
急ぎ足{ルビ片蔭=かたかげ}{ルビ選=え}りてポストまで
梅雨明けや気怠き昼の無為の刻
蚊の群に写真撮る間の気の焦り
物売りの電話のベルや昼寝中
新調の薄刃でカット瓜サラダ
鋏持つ手に群れ来たる藪蚊かな
実の重く曲りしままのとまと熟る
子のメール一喜一憂俄雨
舌鼓打ちつ鰻丼五つ口
昼寝覚寝起きの電話{ルビ喧=かまびす}し
{ルビ昨夜=よべ}の雨雫そのまま丸い瓜
空の青残る夕暮れ蚊遣り焚く
緑陰のベンチ二人{ルビ来=く}一人去る
遊び場の遊ぶ子居らぬ夏木立
くねりたる山路に安らふ木陰かな
渓流の水音高く身の涼し
夏山のけぶる稜線はるかなり
満潮の{ルビ潮香=しおか}いや増し裸の子
公園の大樹に涼むベンチかな
齧りたる李音なす程の熟れ
出港の客船送る夏埠頭
道東の旅思ひ出づ{ルビ更衣=ころもがえ}
野菜苗植えてひねもすけふの慈雨
六月やひと月遅れのプレゼント
{ルビ夏暁=なつあけ}や銀の露置く{ルビ昨夜=よべ}の雨
敷き藁に豆粒ほどのメロンの実
夏蝶もひとやすみする午後三時
二人連れ老いの旅路か夏椿
シャラの木とふ別名のあり夏椿
寂びしきはけふも出で来ぬ夏月かな
{ルビ昼寝覚=ひるねざめ}青なす樹々の雨滴かな
青覗く蕾も風情アガパンサス
土砂降りに急遽買ひけりアンブレラ
紅梅の実赤く染む日向かな
一つだけ赤き{ルビ唐柿=とまと}を{ルビ ....
ポチ連れて右に折れたら夏館
入道雲白いもくもく幼き日
本好きのギター少年ハンモック
ビールより缶チューハイや缶たまる
ポチ連れて曲がる三叉路大夕焼
薫風や金の穂麦の地平線
ギターを弾く少年と金の穂麦かな
干してある君のタオルに薫風が
アルコール三パーセントの発泡酒
目に沁むや真白なる百合庭の隅
そこはかと匂へる先に百合の群
夕焼けが 溜息ついて 落ちてゆく
雨交じり 悔いよ残して 五月雨
忘れない 兄弟生まれて 母があり
絵具色 選ぶ思想は 勘頼り
誰もせぬ ことを求めて 生き方を
不器 ....
薫風や金の穂麦の地平線
何でも屋とふ{ルビ漢=おとこ}来ぬ{ルビ梅雨入り=ついり}かな
梅雨前の安らぎ分かつ良き友と
久々の同級{ルビ四人=よたり}夏暖簾
日一日暦のメモ消し五月果つ
根菜を抜けば{ルビ貫太郎蚯蚓=かんたろみみず}かな
果樹に生ふ草抜く朝や夏帽子
麦の秋あの日の空と風続き
蛍見むと約束したる隣組
夏の夕集ひし人ら老いにけり
朝夕に交はせし{ルビ媼=をうな}のをらぬ夏
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27
【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
0.1sec.