すべてのおすすめ
熟成した
ありがとうの肩越しに
平坦な
おはようとおやすみの隙間から
垣間見える結び目
熟練した
ごめんなさいの背中に
平熱の
いってきますとただいまの文字間から
透 ....
暗闇の中
無限に続いている動く歩道がある
歩道だけが薄く 薄く照らされている
右、暗闇
左、暗闇
時折 巨木や巨石が
左右に生えては消える
時折 川面や海原が
左右に流 ....
しょくぱんみたい
なんにも塗ってないときは
そっけないぽそぽそです
赤いジャム塗って
どきどきおしゃれでしょ
はらはらオレンジマーマレード
波打つバターは貴婦人風
そこにある ....
自分に飽きてしまった
自分という人間に
読み古した漫画のように
この心は何の刺激も与えてくれない
年明けとともにカレンダーを張り替えるように
自分という人間そのものを 刷新してみたい
....
水をお飲みなさい
と
彼女は言った
黄昏の重い扉の手前に立って
指先をしっかり伸ばして
振り返りながら
水をお飲みなさい
と 彼女は言った
この町は
たっぷりの水が流れていく町だ ....
紙のうえに「私」と書くとき
その「私」は すでに
私ではない
つまり
私ではない「私」が哀れにも
詩と呼ばれる
むえきな騙りを
語りはじめるのだ
悲しいだとか
苦しいだとか
....
夜のインターチェンジは光の花がつらなっているように
僕の孤独にしみわたってくるし
それを限りなくかみしめてきた気がする
つれない過去など捨ててしまったほうが良いのかもしれない
....
嗚呼
女よ嘆くなかれ
その身から赤い血を流すのは
女に生まれし証
我ら愛する人の種を残すために
月の女神の洗礼を受け
柔肌を赤く染めていく
されど男が創りし神は
女は不浄 ....
あなたを思い切なくなろうとする
そう思えることが気持ちの幸福だ
ときどきみじめになるけれど
星を見つめるみたいな孤独と似て
仕方がないやと名前をつける
あなたを思 ....
彼女が話す
僕が聴く
彼女が 引き続き話す
僕が 引き続き聴く
やがてこの身体は 彼女の声でいっぱいになり
両耳から注ぎ込まれた言葉が
目から 鼻から
(口はまだ 我慢強く結ばれ ....
何か
を食う
たったった、と
たっ
たっっ
臆面もなしに
揺れる天秤
秤皿の上にあるのは
したたかな
計算
みっみみ
みみが
みぎ
外は氷点下
忘れられ ....
ぽた
音がした
知らぬまに
涙がにじんでしまう
あくびもしていないのに
悲しくもないのに
もう限界なんだろうか
ぽた
音がした
....
こんもりと雪に覆われた朝
夢中でついばむすずめたちは
埋もれることもなく
枯草を折ることもない
だがまんまるの愛らしさは鋭い冷気への対抗
食糧不足は天敵も同じ
生きることは戦い
いの ....
夜
言葉を追いかける
僕は椅子に腰かけ 瞑目して
その思いは 頭の中で 駆け足をしている
言葉は闇に走る 七色の光の筋
僕に誘いかけてくる さあ 捕まえてみなさい と
そんなことは し ....
青から黒へと
深まっていく海
そこを泳ぐ一匹の魚
銀の鱗の 鈍いきらめきが
終わりなき深淵の入り口に 一瞬の間 ひるがえる
はなやぐサンゴも
ウミユリのたなびきも
今は ささやかな記 ....
笑顔がきたないね
産み落としたその沼から
たばこくさい泡がぶくぶく立ちのぼる
円満とか
円滑とか
そういうのの前ではわたしの思いなんて
あとまわしにされるべきなんだよ
どこに行っ ....
すべてのなかに
我の源を
それは寝ても覚めても止まない
雨、 それぞれがそれぞれの場所で戦っている
昨日も今日も明日も 寝ても覚めても止まない 累累屍 緊張
硬直していく食う気 寝ても覚めて ....
こんなにも豆電球が
ちかちか輝いているだけなのに
なぜこんなにも嬉しい気分なのだろう
そんなに嬉しい記憶なんかはないはずなのに
皆の気持ちがところどころで
ハレーションを ....
静かな中庭を抜け
渡り廊下を抜け
聞こえてくる
美しい不協和音。
僕が、その音に
聞き惚れている隙に
強い風にめくられる
教科書のページ
真っ白のカーテン
....
さあ、
詩を書こうと思ってひねり出す言葉と
太陽を浴びて
じわりと体温があがり
沸騰はしなけれど
静かに蒸発してくものを
理科室にあるような
ガラスで出来た清潔なフラスコに
再度集めて ....
火がつかねえな 湿ってるのかな
こすれねえな 噛み合ってねえな
あったまんねえな 明るくなんねえな
このまま凍えるのかな
火がつかねえな 湿ってるのかな
こすれね ....
枯れ葉が落ちて
空に向かって木々の枝が
生命の脈絡を
とくとくと
打ちながら伸びている
空はとても澄んでいて
いつもより遠く遠くから
眺めている気分だ
裸の枝は
墨汁画のよう ....
繋がらない
伝わらない
孤独を感じる
こころは子供
賭けている
書いている
綴ることに
ついやす力
伝播する電波
妄想の様相
あしたの頭はどこ行くか
スルーされて ....
おはよう まぶたの裏に夜を抱えたまま 世界は杳々として洋々
君の触角の素晴らしい正確性 輪郭は嬉々として暉々
宇宙がもうすぐ目を閉じるから 今度は君が目を開ける番だ
....
ぼくが残したものは決断の残骸か
それともそれはしばらく輝くものなのか
決断出来ない大人たちが増えている
そう一行書いて自分もそうなのかと考えている
オリオン座
なにを ....
あなたの腿に
手を置く
その
柔らかさの奥に
生きていることの
鋭いさびしさがひしめいていて
ぼくの心に
さっと
一 ....
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第一章 夢に見る夢の覚め方 / 目覚める夢
目覚める夢を見たことありますか?
ふぅっと首を上げて気が付くと
目を開ければ車窓の外 ....
光の獣に
つまずき転ぶ
今日は左目の翳りの日
遠のく灰を
見つめていた
舌に降る雪の
水紋を聴いた
呼ぶ声はひとつ
呼ぶ声は六つ
冬かこむ冬
崩れか ....
濃い灰色の空の下
強風に煽られ
たわんだカラスが
回り込んでは弧を描く
強大な力に拮抗するように
おのれの性に従って
宙を舞う
灰色よりも濃い
一点の闇
一体どうしてしまったと言うのだ
ぼくはきっと正直に生きすぎ
疲れきったたましい入りの
肉のかたまりだったのだろう
客席はすでに埋まりはじめていた
観客は老夫婦から ....
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