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一人一人が
一人一人であることを超えて
一つの波打つ連合となり
一人であることを忘れる
言葉は言葉を呼び
笑いは笑いを呼び
そこに何の抵抗もなく
めまぐるしく連鎖する
四人 ....
全ての色彩から、全ての音響から、全ての芳香から見放され、僕はこの空の沙漠で下界に着地するすべを知らなかった。僕は太陽として余分すぎる存在であり、意味もなく光を放ちとても醜いので、いっそのこと夜 ....
{引用=得意ではない、
飛びかたをためしていた鳥の、
シルエットを真似て、
あるいはそういうタイトルの、
詩をかいて、
昨夜の微熱は冷えて、
花びらのような咳をした、
踏切がおりたままで ....
狸の死骸を突いている鴉は
国道の真ん中で ダンプに踏み潰される
黒い羽は飛び散って
自分も狸と同じように 一塊の肉になる.
通り過ぎる助手席の婦人は 眼を背ける
汚らしい物を見て ....
私を分解していくと最小単位になる
例えば指先で
それは今も起こってる
人間の淡い輪郭
手をつなげば数千兆の電子が移動する
紫がかった白い花を幾つか摘んで
古い白い穴のあいた小舟に乗る
湖へゆっくりと漕ぎ出しながら
細切れにした思い出は通った道に浮かべてある
穴のあいたこの舟はちょうど湖の真ん中で沈 ....
「皆殺し」
眠れないので改造しておりました
極彩色のペンチで
灰色をたくさんつくったのです
死んでいるみたいな街が
ついに
本当に死ぬ
夜の反対側で
針金みたいな警察官が
ド ....
はじめ名刺は刃のように
私を私から切り離した
名刺の上には私の生首が乗っていて
所属や肩書など嘘ばかりべらべらしゃべる
私は生身の人間だ
そんな機関にはまだ身を任せていないし
....
むかし、むかし
僕の育った家には
2人の鉄板奉行がいて
鉄板焼の日には
競うようにその辣腕を奮った
ジャガイモ
ニンジン
ソーセージ
肉はまだだと言っただろ
言ってみれば ....
あたしはすごく疲れてしまって
家までたどり着けるのかひそかに心配で
空気はきんきんに冷えていて
闇を泳ぐようにふらふら歩けば
月が煌々と夜空を照らしているんだった
なのに街灯の明かりの下で ....
僕の入る風呂の温度が
70℃ぐらいなのは
出汁を取って
明日の仕込みをするためだって
昨日隣の原田さんに聞きました
愛していた
愛していたのに
お陰で僕はカスカスです
今日 ....
{引用=
毛細血管のめぐるあおい突端の、
これよりさきはもう冬の海しかひろがっていない、
さみしい風景のなかで、年増の女が、
少女のように手にもったポリエチレンの袋を、
....
{引用=
鳴らなかった、管楽器の空洞に、落葉や、
発語されなかった言葉をつめている最中に、
妻はかえってきた、わたしはなんだか、
気まずい気持ちになって、ベランダへ煙草を吸いに ....
朝礼
フロアの中心に固めた事務机の島を囲むようにして立ち
輪番制の司会者のもとに
一人ひとり何事かを発声することが期待されていた
しかし外線が鳴ると朝礼も一時中断して
近くのだれ ....
黄と橙色は
とてもよく似ていて
それはおそらく
同じ季節を生きているからだ、と
ふと思う
遠い山並みを眺めれば
それは混色されて
日び
上書きされていく
油絵のようだ
厚塗りされた ....
健さん
坊やには雪駄が要るのでしたよ
とうに廃れた503
そんなものをいまだ穿き
巨乳のアルビノを抱きたがるくせ
面やつれのお杏さんを探している
かほどに行き暮れているのは
待ちあぐ ....
組織という一つの芽生えは、個人という複数の種子から養分を吸い上げ、個人がもはや原形をとどめなくなったときに、一つの融合した意思として外部に向かって無形の微笑みを投げかける。個人がそれぞれの ....
コンクリートの直方体に
鉄の芯が入り
表面がガラスで覆われた
無機質で重い建造物
その林の中にいると
美しい灰色の空気によって
吐き気がする
夜になると
別の世界が顔を出す ....
{引用=オープニングテーマ}
アワビさん
作詞 林春生 作曲 筒見恭平
補作詞 囃猿尾
歌 右野土佐乃
子どもがハマった ....
美しい花は咲き始めるにあたって
他の花々と契約を交わした
それぞれの孤独を干渉し合わない契約を
美は純粋であることから生まれ
自らの美の形成は自らの唯一の中心性に基づく
だがやがて花 ....
「たとえば」
と、あなたは話しはじめる
私は耳を傾ける
「僕は大トロが食べられない
脂身の繊維の切れ目が、傷口みたいに見えるから
僕は小学生のころ、肌が弱くて肩の皮膚がよく裂けて ....
溶け出した脳の上を
日々の残響が駆けて行く
そのせいで
僕は苦々しい顔を
解くことができず
あのこに会いに行くことも
なかなかできないまま
踏まれて
ふまれて
このまま
なくなって ....
暮らしとは
あさ 水を手にとる温度
きしむバスを降り
しんじつみのない歩幅に合わせる
三拍子
あまりにもたくさん
尽きてまた始まる靴音のなかに
ようや ....
日もくれているのに
女の子たちが鬼と遊んでいる
鬼はわらっているようにみえるが
ほんとうはぜんぜん笑ってはいない
むらさきいろの心がわけもなく歯ぎしりをする
....
樹に実っている果物
その皮はいったい
どれだけの労働を包んでいるのか
どれだけの音楽的な映像を
自然と科学が
ぎりぎりのところで摩擦する地点で
果物は静止し膨張する
果物は時 ....
手渡され
キャベツを剥いている
一つが終わるとまた一つ
終日キャベツを剥いている
来る日も来る日も剥いている
甘ったるい青臭さ
葉をもぐ音は眠気を誘う
額に縦皺や青筋を浮かべ
倦み ....
君たちはペット飼ってる?
俺は飼っているよ
君たちのはどうせ
犬とか猫とか
せいぜい鳥ぐらいでしょ
俺のは凄いぜ
俺の直腸の鍾乳洞には
コウモリなんていやしない
カンジタの ....
すいかとししとうは
林檎の木の椅子に
ニスを塗っているが
すいかの塗り方では
ずっと乾かない気がする
ほんとうは乾くけれど
ずっと乾かない気のする椅子は
目に入るタイプのごみや
落ち葉 ....
入り口にニトロを仕掛けた
砦の外は大嵐で
外海に押し寄せてる筈の
船影も見えない
幾千という人を殺めて
旗を掲げてきた
最後まで戦うべきなのか
閉ざした扉の掛け金
....
咆哮せよ
のどからの
ひ弱な声ではなく
身をふるわせて
黒々とした
月の照る下
咆哮せよ
咆哮すればこそ
きみの声は
艶やかな音の 一点を突 ....
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