すべてのおすすめ
話し相手をさがす。空白は濃度の問題で、強い時間に埋もれるほど離れては胃の中で体育座るかのような空洞、そう、空洞にも逆説的な密度があって、クラクラとしては見失ったスタイルに慣れて、ぼくらは文字通り緩い財 ....
足の裏に体重がある
芝生は必要な分だけ沈む
暗がりの松林を背に湾岸高速が走る
ゴミ箱と水道の蛇口には距離があって
その間に
水色の作業着の男が一人立ってい ....
わたし
そうでもないよって
思うけど
「メシでも」
って
何度も誘われるのは
ちょっといい気持ち
明るい挨拶して
あとは知らないフリしてたのに
あの男
しつこかった
....
ざーっと音を立てて
洗い流す
全部
全部
何も残らない
自分でもわからない
とりあえず帰ります
ぬるい夜風
タクシーを止め、
乗り込んで目を閉じる ....
呼吸が浅くなり
何度も何度も溜息をつく
胸が苦しく
膣が潤っている
どうしよう
わたし
誰でもいい
わけじゃないのに
誰でもよく
なってくる
あなたのこと
嫌いだ ....
逆巻きなさい、酒巻よ
我らが主人公の名は酒巻である。これを読んでいるあなたの氏姓が酒巻であったとしても、またあなたのお住まいが埼玉県行田市酒巻であったとしても、それは単なる偶然の一致に過ぎないの ....
私の庭は荒れています
ほとんど手入れをしないからです
桑の木の下にはほら
すっかり黒ずんだ実がいくつもいくつも落ちていて
むくどりたちが啄むのです
ときどきひよどりもきます
あたりまえ ....
富士の樹海にこもって
ひょっとこの面に
草刈ガマをもって
自殺しにきた女共に
のっかりたい
一枚岩のうえで受精したい
生命を宿す
ハッピー。
木のうえに住んで
悪魔をみせよう
....
鞄の中に 一匹のカブトムシが蠢いていた
しかもヘラクレスだ
数日前は ぶよぶよとした白い固まりだったのに
いつのまに そんな立派な角を得たのだろう
窓から 彼を外に放した
少し黄色がかっ ....
独りの部屋で
暑い、暑い、とつぶやきながら
服を脱いでしまった
裸になってしまった
シャワーを浴びようと思ったけど
面倒で動けなくなってしまった
今日はとても疲れた
エアコンをつ ....
梅雨ってどうしてこうジメジメするのかしら
{ルビ通=つう}ってどうしてこう自滅自滅するのかしら
ほんとうよねえ やっぱりお小遣いの話、けんかになったわあ
混沌よねえ やっぱ ....
みにくいきもちは
みにくいまちのはずれの
みにくいしょうきゃくじょうのかたすみにすんでいて
みにくいごみにしみこんで
まいにちまいにち
みにくいほのおでやかれた
みにくいえんとつからた ....
お前がアイツが奴等が笑顔で
心配
この二文字顔に括り付けてる
どうも湿っぽいのは苦手なんだ
だから
笑って いつもの様に「じゃぁな」
さらば 友よ 俺は行く
見えもしない大地へ ....
すっと
ミントのような そよ風すべる
{ルビ前髪=かみ} 瞬き
瞳 連れ添う
ベランダの袂から
ぐーんと伸びやかな庇に
土くれた妻壁
斜めに線を曳いている
切り取られた
屋根 ....
1
はがき一葉
舞いこみ、大要、
「言語障害が発症しているようです。発作もなく、突然電話中に失言症になり、思う通り表現できなくなりました。脳血管障害なら軽い症状で、希望が持てますが、アル ....
まず守りたいものを準備します。それはなんでも構いません。個人情報でも他人情報でも不倫の証拠でも消したい過去でも悪い成績でも仕方なく結婚した配偶者でもなんでも結構です。それをまず、柔らかい布で丁寧に包 ....
あなたは流されて来たのだと言う
ただ水のように流されて来たのだと
このちっぽけな私の元に
私は湖のように静謐でもなければ
私は海のように寛大でもない
どうしてあなたを受け入れよう
....
郵便屋が大きな声で歌いながら
手紙を一通
白いペンキのはげかかった郵便受けに
置いていった
さっきのは春の歌だったなあ
と思いながら
熱い夏の太陽の下
僕は草をむしり続けた
....
草むしりの昼下がり
庭の芝生に紛れる
名も知らぬ青く小さな花
ひとつ。
ぼくは 一瞬の迷いもなく
それを引き抜いた
玄関の前の電柱の下
にも
と、思ったら
たんぽぽで
....
ラ・ヴィ・アン・ローズ 人生はバラ色
パリの空の下 古いレコード店から
軋むように 歌が流れる
日本からここに辿り着いた初老の男は
晴れた日には セーヌの流れを聞きながら
カフ ....
浜辺には
夕陽に淡く染められた
煙草が2本寝そべり
1本はまっすぐ横たわり
笑って空を仰いでいた
もう1本は砂にねじこめられた傾きで
しょげていた
あの日君が
「棄て ....
愚痴ってのは自分を疲れさせるんだな
今日 判っちまったよ
口にするのは久し振りだからか?
今日 判っちまったよ
くすくすくすくす…
ほぅら 影に引っ付いた幾つモノ弱音
きりきりきり ....
あまりの暑さにクーラーをつける
よほど暑かったのだろう
いろいろな動物たちが家に集まりはじめ
またたくまにいっぱいになった
長い部位をもっている動物はそれをたたんだ
肉食動物は捕 ....
ごうごうと響かせる飛行機と
大小不揃いの草むらの間
用途不明の建物が
誰かに忘れられてそこに居た
穴だらけの屋根はもう屋根じゃなく
その上でロケットみたいな煙突が出っ張っていて
いつか ....
水晶の針の折れる音を聞いたことがあります
ピキンとも
ピリンともつかぬ微かな音
聞こえない音を確かめたかったのです
音がするものならばと
指先で二つにしてみたとき
まさか聞きとれるほど ....
雨作りが砂丘をトボトボ
酸っぱい雨はもう流行らない
少し涙が滲んでくる雨作り
そして涙はこぼさないように!
ラクダの膀胱でこしらえた雨袋へ入れる
もう少し泣かないと町もできやしない
町作り ....
あなたの好物を作ろうと
夕暮れ
サンダルを引っ掛けて買い物にでる
昨夜の 些細ないさかいの 償いに
海老の殻を
無心でむけば
いとおしさに変わるような気がして
という
無邪気な ....
部屋は湿度を保ったまま1℃室温を下げた
コラーゲンをたっぷりと含んだ豚骨が
とろりとろり
太陽の見えない窓に向かって行進を始めている
バター・ビーンのパンチが虚しく空を切ったTVショー
....
あごを目一杯ひいたまま「ラー」と言ってみる
舌をおもいきり出したまま「リー」と言ってみる
口を大きくあけ舌を360度回転させながら「ルー」と言ってみる
舌を左奥歯の裏に固定させながら ....
ぼくは
さびしい
っていうじょうたいがわからない
だからなにかがおこるたび
さびしいさびしい
っていって
みんなのはんのうをたしかめた
あるひとはとてもはらをたて
あるひとはまじめ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22