すべてのおすすめ
冬は太陽が低くて
オープンキッチンのカウンターは
暖まっていて
太陽から連なる
六角の連凧が
ブラインド越しに差し込んでいて
左目を射抜かれてしまう
カップの中のアー ....
夢の中で土左衛門を土葬にした。
土葬にしたのは火葬にする費用がないからで
金が有れば火葬にする。
火葬にすれば墓が湿らなくて良いし
燐が燃えたりしないので気持ちが悪いこともない ....
むかし むかし
パイロットのきみ は
大きくなったら
ひこうき になりたかった
運転士さんのきみ は
大きくなったら
でんしゃ になりたかった
宇宙飛行士のきみ は
....
桟のきしむ音のする
ほこりっぽい網戸をひくと
あごの線にそう
あどけないおくれ毛が
すずしく 揺れた
たとえば を
話すとき
そのよこがおは
やわらかそうに 笑うのだけど
うっか ....
ねこ
先生は頭をなでる
簡単に
声をかける
簡単に
かわいいねって
ねこ
ずるい
でも、ミスドでたこ焼きは食べません
命かけて便所掃除はだめですか
所詮人事なのです 悲しんでる人はいっぱいいるけど
クローン人間てどんな気持ちなんだろう
ここは星が少ないし
....
思ってみること
ここにいる僕等の存在を
君のその歩幅を
かたかた、と
時計の裏側で回る歯車の
噛み合うその一つ一つを
階段に登っている
繰り返している
繰り上げている
そ ....
誰の所有でもない
扇風機が回っている
建売の新築住宅の壁にこびりついた
電信柱の影は
皮膚病
二階の窒息のベランダに干された
布団は
....
結婚したてのころ
奥さんがバスンバスン布団を叩く音を聞いて
親のかたきじゃないんだから何もそんなにまで
なんて思ったけど
十年目に
「布団は親のかたきなの」
衝撃の告白
親のかたきに ....
すいません
まだここに詩はありません
実は詩の種を植えておいたのです
↓
→ ←
↑
....
何かを待ちすぎたのでしょう
「世界の脳髄」ときたら
もういっちゃってるの
あっちのほうへ
えっ あっちがこっち?
こっちはあっち?
あるべき(恥ずべき)ぼくの
灰色の脳髄は空っぽ(からから)だから
どどうどどうと ....
たおれてしまったものを
たてなおすとき
きみがどう思っているのか
ぼくが
知らないとでも
思っているのかい
かえらざる
都合があり情緒がある
結構なこと
思い出は
日記と写真で ....
饒舌に、
あれもこれも言葉にして、
言葉の中で、
あれもこれも決めてしまって、
いちばん外の皮が
少しずつ厚くなって、
一番芯には、
暗い穴があいている。
つぶやく君の言葉
両手で すくって
ひとつひとつに付箋をつけてゆく
数字も混じっているね
拾って大切にとっておきたいけれども
写真には収めきれない すべて
汗がひざの裏をつたう ....
私のグラスに小さなチェリーが
ピンクの炭酸に揺れて
開店すぐからハイで
ワインボトルを開けてからの
この様です
閉店後のデパートの
シャッターの前で歌う2人組みに
盛大な拍手とシ ....
踏み込んだ厚顔無恥
連鎖はずれの
滅びの土足
いきなりの土足
打ち込まれる
鉄板、鉄板、鉄板、鉄板・・・・
演出されるセレモニー
まるで
スローモーションを見るよう ....
からだが どうん、まばたきしたときの
あのせかいが まっぷたつ から、ゆうぐれて
頭から 地球の中心に ぐん、と押されると
わたし、いつも きまって あやまってしまう
ごめんなさい、ごめんなさ ....
母の背中に顔をうずめ
家路に向かう
赤い怪獣が
大きな口をあけ待っている
赤い怪物が姿を消すと
青黒い怪獣が
大きな口をあけ待っている
母の背中に顔をうずめ
静かに息を潜める
見つか ....
あまりに懇願されるので
試しに小指を与えてみた
男は急いで口に運び
コクリと飲み込むと
生あたたかい求愛がわたしに届く
唾液に光った男の喉をうっとりと通りぬける
わたしの小指
満たさ ....
今朝
物音で目が覚めました
風が
寝返りを打った音
でした
指、で押す
蝉のお腹の柔らかさのことを
私はぼんやり考えている
お腹、を
開いた人は
仰向けになり空の方角へ開いている
光、の直進は
結局ことごとく挫折し ....
もう、かれこれ二時間ばかり
ゴカイの長い横っ腹に
食らいついてはいるが
どうしても
飲み込めないでいる
隣の奴は
ゴカイの頭の方に回り込み
うどんでも食うように
つるつると
器用 ....
蝉が時雨れている8月の
呼吸がぴたりと止まる時がある
子供達は公園でぶら下がっていて
突然の静寂にゆれている
初めてついた嘘はどこへやったかと
懐かしい引き出しをひっくり返すと
初めて ....
その夜 蝉が部屋に飛び込んできた
すみませんね いつもうるさくて
ジージーと耳障りな声だったが
蝉は 確かにそう言った
私は 尤もだと思いながら苦笑した
蝉はさらに言った
どうせあ ....
−1.青の頃−
沢山の顔
溢れんばかりの
闇 病み ヤミ
黒に支配され始めた僕は
やがてくる悩みにうたれた
終末のような薬の数は
僕を支配することなく
机の上に転がるばかり
....
田舎から出てきたばかり
まだ都会に慣れていない
デートの仕方も知らず
ま、若いからあっちのパワーだけは全開
お金も持ってないし
住んでるところも地味
ついでに見た目も地味
でもよく見 ....
自らも足音を立てぬ盲目の猫は、泣き砂にのみ足を下ろす。
風紋に食らわれる足跡に、可能な限りの夜を映し、銑鉄の水盆に月を盗む。
青く凍てついたまま水没し、日々に焼ける砂のみが、ただ残る。
....
夕方、最後の蝉がベルを鳴らすけれど、
秋に蝉は消えて、秋に蝉は失われるわけでなく、
ただ土に埋められて、
土の下から遠い声がして、
草が土を覆い、
それでも遠い声がして、
使われな ....
よくある職場恋愛で
なんとなく付き合い始めた
きらいではなかったけど
好きかどうかは判らなかった
暇でさびしいから
そういう理由で男女はいくらでも
付き合えるから
慣れてくると
いつも ....
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