すべてのおすすめ
清潔で暗い穴のなか這い回るのは
あれはハダカデバネズミだよ
蜂や蟻と同様の生殖形態を持つ唯一の哺乳類
女王と圧倒的多数のノンセクシュアル
それからほらそのうしろぐらい水のうえ
ぷかり浮か ....
露に濡れた草のうえに裸足で立てば
きっと美しい言葉が見えると思ったけれど
あいにく眼鏡が曇ってしまったし
所詮ここも名付けられた大地の一部にすぎないのだった
曇った眼鏡を捧げ物のよ ....
紅く熟れた石榴の実を一粒
与えられ渡る虹の橋
暗い坂道這い降りて
辿り着くのは夜の国
たまご
霊の子
河を流れて
七色に光る砂礫の粒に
照らされて積むは
骨の破片よ
三百五十の ....
酔いにまかせて産み落とされたたまごたちが
そこかしこでひしゃげて身をよじっている
主人の子宮に戻れるわけもない
ばつの悪さと気恥ずかしさと
タクシーの排気ガスで満ちる街に陽が昇るころ
ぬ ....
上上下右上BCBA下上上上下AB
右右右右A右右AABB右B下上B
下下下上上下右左下左上右上下左
左右下上上下右左A左A上下BBBC下上B
BBB下BBBBBBBBBBB上BBBBBBBBB ....
あんなに憎んだ女の夢を見た
あいつも私と同じくらい
私を憎んでいるはずなのに
なぜか二人は仲良くお好み焼き
目の前で焼かれているものは何?
せめて夢の中だけでも
上 ....
数字を憎み
0を愛する
僕の矛盾
願望の統一
また創まる
私は素手で土を掘った
逆さ剥けから血がにじんだ
さらに掘り進むと爪が剥がれた
赤土は血を吸いながら悦んで湯気をあげた
肥ってはいるけれどゆがんだ芋虫が
私の掘った穴から這い出し ....
カーテンを閉ざしていても
朝の光が私を射しつらぬく
身体にまとわりつく夢の片々と
汗くさいパジャマを脱ぎ捨てよう
熱い味噌汁 炊き立てのご飯
納豆にはネギをたっぷりと
毎朝 ....
飯を炊く
明日生きていたら
チャーハンを作れるように
米を研ぐ
多分
その間は
米を研ぐことしか
考えていない
白くにごった水を
捨てる
白くにごった水 ....
男には
オレ
僕
わしとか色々な呼び名で文字地平を歩けるのに
女の子は私とかしかなくて、あえて僕と書いたりすると女の人が言ってたので
うむむ、わからん
でも男も辛いのよ
なんて
これは ....
とても淋しい人と会って
とても淋しい話をした
とても淋しい店でした食事は
そこそこに美味しかった
それからとても淋しい歌を歌って
とても淋しいさよならをした
目の高さで手を振ると
そ ....
僕らは嘔吐されたポトマックだ。
トーストとインスタントコーヒーで朝をはじめる。
そしてすぐに夜がくる。
僕らは昼をビッグマックでやりすごす。
(人はマクドナルドのみにて生きるにあらず)
....
野に、球
と書いたのは清水哲男だったかわすれたが、
日本シリーズもたけなわで、
今日はいよいよ第七戦、西武が勝っても、
中日が勝ってもちっともおもしろくな ....
ボタンを押す瞬間
産業革命は
再生される
今日夕メールを打つ
産業革命
とはいえ、そーいうのをシステムに巻き込まれてるてな説教はうんざりで、今日もまた頭くるくる産業革命
日々実感す ....
直線的なカーブばかりが続く汚い流れを
泳いでいた僕がいつか 空を見れば
それだけでもう
鏡の前に立って
脱がない服の際をなぞっているのだから
小麦をこぼしながら走り去るトラクターに
か ....
ネオンの中にまぎれてばかりやと
体に悪いって信じててん
今日なんか変なルートたどってるねん
あのままじゃ、きっと
なじみのないBARで
40代の男の近くに
しらじらしく座りそうやったわ ....
ますます吐く息を白くして近づく そして
炬燵の中の猫がのびをする
香りはすべて あたしと共に在る
ただそれだけなのに 中央分離帯の樹が気になる
排気ガスくさい こたつはねこくさい
ブルガ ....
貫いた後で
さっとすだちを一搾り
おかえりはまだかしら
食卓の前でわたし
もう抑えきれなくて
ぎゅっと握ってしまうの
あたしのしんぞうには
たまごをいっこかっていて
ママがいうには
たいせつなひとのために
とっておきなさいって
あのねママ
そのたまごは
かえるの?
もうすこしで
なにかが
....
ブルドーザーには菜の花がよく似合う
はずだったのに
背の高い草にかこまれて
しんみりと秋の花が咲いていた
あおいカーヴをえがいてぼくたちは
しろい凧のように伸びたりちぢんだり
拡散 ....
「メリーゴーラウンド」 12
ごめんね
見覚えのない人たちが
みんなわたしのことを知っている
という状態が
こんなに落ち着かないなんて
想像 ....
現存するものとしては
最後のヒメギミ
中継映像
物音ひとつしない部屋に
ただ一人のヒメギミ
ふわり
優雅なパニエは
裾がゆらいでる
注視かたずを呑む
23:05
....
嵐のいった後はいつも
いろんなものが電線に引っかかっていて
奇妙な陰だとか
擦り切れた音だとか
さっきまで巻かれていた自由なもの
全部
西日を受けてしなだれている
多分みんなが
風 ....
僕のなかで名もない何かが暴れている
鎮めるための唄をうたっておくれよきみ
タイムカプセルの話なんか持ち出したりして
そんなんじゃいつまで経っても
掘り起こすことなんてできやしないさ ....
孤独が好きな人など、どこにいるのだろう。と思う。
みんなどこかで。小指ひとつの重なりで。
つながっていたいのだ。
自分は今こうやってパソコンの前に座って、ぺたぺたとキーを打っている。
誰か ....
おうい
て声が聞こえる
聞こえる
振り返らない
熊が山を降りてゆく
呼ばれたわけでもないのに
呼ばれたのは
君じゃないのか
とさっきから
そこでしゃがんでい ....
祖父のあとをついていく。
海を見渡す墓地で、親せきたちが鎌で草を刈る。わたしも草を刈る。
母が野の百合を、見つけ出した墓に供えた。
波は白い。
風の音。わたしは平野に立つ。西の空は錆びた色をしている。
離れたところ、陸橋に車が列を作って走り去る。月が風に揺れている。風の音が、遠くの車の音が、わたしの耳の中の音が、入り交じっては、かき消さ ....
1.
シナ子
今、列車に乗っている
田舎に帰る
トンネルに入るとヒューィって音がこだまするの
それは列車の車輪の音
昔よく吹いていた草笛にも
車掌さんが切符を切る音にも似てる
....
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