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そいつは道の真ん中に転がっていた
雨の日だった
合羽を着て自転車を漕いでいたので
私の視界は悪い
遠くから黒い物体が見えた時
壊れた黒い雨傘だと思った
もっと近づくと
黒い長靴に見えた
....
ほしかった
ものをまえに
気持をうしないそうで
驚いている
驚いている
わたしがわたしを
うしないそうで
ねむりなよ
あなたが
言うものだから
泣くよりさきに
ほほえ ....
絶対零度より冷たい瞳で見られた
ちいさなちいさなしあわせを味わう
紙コップで飲むコーヒーのような
てのひらで包めるあたたかさは
確かにここにあることを知らせる
だれもがちいさなぬくもりをほしがるけど
簡単にその手を差し ....
夕日が沈むよ
きょうが死ににゆくよ
西が自分の墓場だと
ちゃんと知っているんだね
私には自分がわからない
舵取りもできない
そしていつかはこのまま
失ったまま終わるのだろうか
....
何となくの理由を追い昼間の暖かな眠りのお陰で 覚める寝息
私は波にハンモックに揺られ時を刻んでいる
久しい事柄に息吹を乗せ 目線を添える
言葉の魔法と彩り感触
世のため人のため己 ....
薄暗いその部屋で わたしの足にそれは抵抗した
拾い上げると白いおりがみ
おりがみだと思い込んだのは それが真四角だったから
左下に気持ちの悪い折り目がある
不幸なことに 左下 ....
手紙を入れて
春の小川へ流してやるのだ
壜はゆらゆら流れて行って
コルクの栓もしだいに腐り
水が浸み
河口近くに沈むだろう
それとも海へ流れ着き
波に揉まれ
誰も聞かない音をたて
....
静かに落ちる
柔らかな子宮壁に
着床する種のように
或いは
夜という
高濃度の詩を含んだ海へ
魂だけが
えら呼吸を忘れてはいない
無意識という
立方体の
泡を
吐く
水 ....
しあわせがサラサラと
指の間から
零れ落ちていく
静寂
音も立てないで
苦しみもしないで
描いた文様は
風に吹き消される
伝わらない思いを
伝えようとあがいた
その言葉 ....
低い雲が私を覆う度哀しみが私を覆う
あたかも行く末を暗示しているように
不安に苛まれる一時は得体の知れない
靄が私を取り囲み前面に立ちはだかる
私は顔を覆い蹲り今が去るのを待っ ....
いつもの店のいつもの席で
ちょうどよく酔ったその後で
独活の酢味噌和えという旬のものを
うすうす噛んで
うすうす僕は
ひっそりとニンゲンをやめるのだった
右の席からは仕事の話
左 ....
足でドッチボールのコートを描こうとして折れた
ピョンヤンの街が日を跨ぐ頃
乾いた靴音で少し先を行く
女 ロシア人だろうか
街灯に照らされて
骨盤で風を切る
右に左に揺れている
おしり
尻視欲 と 抑止力
激しい激しい
せ・め・ ....
私っぽい
と変換しようとしたら
綿しっぽい
になったので
採用します
夢の中で元妻が
やっぱり子供をつくればよかった
と笑いながらいうので
....
小春日和と言う日和に
薄青い水溶液をたたえた
フラスコの底で佇む
そんな僕がいました
誰かが揺すれば
僕も揺れる
ボクもボクもと
コロコロと音を立てて
見あげれば空の海面から
....
朝 目覚めたら
鳥の巣箱の中にいた
市会議員選挙の告示のニュースが
母屋の方から聴こえてくる
体を起こし 何となく上を向いて
首を伸ばしてお口をあんぐり
母がテントウムシを口移ししてき ....
けぶる空 さよなら
いつか またね
わたしを待っていてくれるのなら
きっと すみれ色で出迎えて
真夜は訪れ
いのちたちは
息をひそめる
ちいさなさよならの
行き交う街角
きっ ....
140123
少しずつ物価が挙がって参ります。
しずしずとおどおどと堂々と
横柄な態度を取るものも居て
警笛を鳴らしたり街宣車を走らせたり
選挙カーを走らせたりし ....
肘が腫れた
誰かに肘鉄砲を
食らわしたわけでもないのだが
発熱したのでさすがに怖くなって
病院へ行った
かなり炎症してますね
頬杖をつくのが癖なので
おそらく妄想を巡らせてい ....
かんかん光る
かんかん踏切
かんかん降りる遮断機の
かんかん赤い光の点滅
その先線路を
飛んで行く
暗闇の中
急行電車が
飛んでゆく。
かんかん手を振る二歳の息子
電車を見 ....
(雪降る時間 あのひとの指がきらりとひかる、
わたしはくもりガラスの向こう側で)
あのひとを思うと 白い雪が降って、
わたしの肩にも髪にも舞い落ちる
そしてわたしは あのひとで ....
優しい人の手を拾った
深夜だった
路上の片隅に転がるそれは
少し青白く
何だか寂しげに
落とし主が戻るのを待っていた
ひんやりと冷たく
落とせば砕けそうな手だった
それでいて重たく ....
駐車場にやっとたどりつき車を止める
前が見えないほどの雪が降る朝
ライトをつけての通勤
白い雪の中に ぼんやりと光が見える
そういえば昔に ライトを消し忘れて
車のバッテリーをあげた事が ....
しろい紙に 向き合い
しろい箱を 造り
しろい心を 持ち歩く
あるとき それは逝った病室
あるとき それは骨壺
海沿いを走る電車を降りると
そこはまるで見知らぬ ふるさと ....
孤独の足音が聴こえた
孤独は私を追いかける
私は後ろを振り向いて
あなたの来るのを待つ
孤独の息吹が聴こえた
孤独は私に息を吹いた
私は後ろを振り向かず
あなたの息吹を受ける
....
なあ 枕
もう30年以上経ったかな
僕のことは何でも知っている
酔っ払って寝たときも
泣きながら寝たときも
うれしくてなかなか寝付けなかったときも
いつも同じ
変わることは何 ....
とりたてて喜ぶほどでもない
あたりまえのことを渇望する
今日は昨日よりも調子がいい
そんな錯覚でも気分がよくなる
まわりの誰と比べても
あたしなんて可愛いもんだ
錯覚か幻想だけでも ....
子供の前で大人のふりをした
洗濯物の前で大人のふりをした
鏡の前で大人のふりをした
悲しみの前で大人のふりをした
ママ友の前で大人のふりをした
雪の前で大人のふりをした
....
おおっ
第一次反抗期
ショッピングモールのフードコートで
隣の坊やが
反抗してるしてる
どうやらコップをいたずらして
ママに叱られているらしい
「ダメでしょう!」
....
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