十六歳の感傷に腰掛けて
ぼくは詩を書き始めた
ぼくの孤独といえば
せいぜいコップ一杯分の涙ほどしかなかったけれど
二十億光年の彼方の星からの引力で
コップの水が波立つことを幻想するのだっ ....
緑色の蛇になった私の左手は
悪魔に魂を売り渡そうと
日々 画策している

私の目を盗んでは
悪魔の行方を捜し回っている

赤く先の割れた舌をちょろちょろと出しながら
夜な夜な
徘徊す ....
私小説というものがほぼ死に絶え、小説はエンタテイメントとして書かれ・読まれ・消費されるものになって久しい。それに対して、詩というものは、未だに“私詩”とでも呼ぶべきものが大半を占めているように思える。 .... 十二番目で
いつも言葉を間違えてしまう君は
その次の交差点では
左折ばかりを繰り返している
東京
狭い夕暮れで
夢から覚めたばかりの抜け落ちた体を
ついでのような角度でドアの隙間に潜り込 ....
またきたね、匂う夏が、
むせかえる、草叢のにおいのなかで、
ぼくらは、呼吸をする

過剰な、色彩の、
この、感情の、渦に、巻かれ、
色をもたない、ぼくらは、
草色に、染められてく

 ....
今日は雨雨の一日でした。いやもう昨日か。セブンまで買い物いっても膝から下がびしょびしょです。風邪ひくわ。

ほんと、漫画みたいに、自分の回りだけ傘で空気が保たれていて、あとは円形に雨が囲んでる。そ ....
空が傾いていたのは空のせいじゃなく
目を伏せたきみのしぐさで

雨は空の涙ではなく

太陽を隠していたのは雲ではなく
きみの頑な傘で

 (てるてる)
見えなくても いつもお天気は
 ....
  

参道下の古ぼけた店で
岩魚の塩焼きを齧る
雨が降ってるので
ゆっくり と齧る


しらやまさんに降った雨は
百年後の加賀平野を潤す


その雨が
降っているので
ゆ ....
ぼくは都会がいやなんだ
看板と海だけさ都会ってのは
山がひどいんだ
シロツメクサがおうおうおれに
あたり散らすんだおまえのおまえのその
おまえのブルージーンズがきちゃない(汚い)んだってさ
 ....
あじさいの花の名前を教えてもらい

それから漢字では紫陽花と書くのだとまるでせかいに沈黙があってはいけないのだ、というようにきみはぼくの手を引いて喋り続けるから、

印旛沼サイ ....
なぜ 今 この人が私に知らされるのか。
そんなことばかり考えてて とまらなくなる。
図書館で出会った 一遍の詩。

ネットでこの人を尋ねる人と出会うとは思わなかった。
自身の心の支えとなった ....
{引用=※このシリーズを初めて読まれる方は「はじめに」をお読みください。
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=41210}

●「十階の家族」/ たもつ
 ....
どうしようもないくらいの
空の返還が
わたしに帰ってきた
わたしの唇は青いことでいっぱいになる

空に着歴がある
それは長い長い数列
雲は遠くの蒸気と会話したりするけど
やがて話が尽き ....
  

卒園式ではいつも以上に
園長先生のお話 長いね
と うちの子供が気にかかる
寝てはいないか
ちょっかい出してはいないか
そんな心配もなんのその
みんなちんまりと神妙な面もちで
 ....
おっぱい。
何て素敵な響きなのだろう。
僕はそこに埋もれていていし、そこで眠りたい。
おっぱい。
いっぱいおっぱいがあれば、僕はずっと元気でいられる。
そのおっぱいについて、少々適当に語りた ....
わたしは、ほんとうは楽譜なのです
と 告げたなら
音を鳴らしてくれるでしょうか
指をつまびいて
すこしだけ耳をすましてくれるでしょうか
それとも声で
わたしを世界へと放ってくれるでしょうか ....
雨に濡れるのを忘れた人が、信号の前で返り血を浴びている。どんよりと、ただどんよりと生きていけ。おまえの夜の病はいまだ進行中だ。魚群探知機に映る影の人びと。探そうとしてもけっして探し当てられない影の呼吸 .... ムーニールーがありんこを相手取って
裁判をしているころ
お日様は林檎を
真っ赤に染めて
林檎はムーニールーに食べられるのを待っている

カタツムリが雨の中
小さくくしゃみしたけれど
ム ....
夜になると
魚は目を閉じて
消えていく泡の行く末を思う
消えていく
自らの姿に思いを馳せ
静かに
目を閉じている

夜になると
魚は目を閉じて
自らの見ることのなかった風景を見 ....
左川ちか作品のアーカイブです!
全詩集が手に入らなくて泣いてた人は、読みに行きましょう。
そうでなくても行きましょう。

http://soredemo.org/archives_sagawa ....
春は きえた

ゆうだちの匂いがやわらかなあわになり
すこしずつ

あたしのつまさきと
乾きかけたしゃつに へばりついて


いもうとのうたうはなうた
おとなりからひびく いたりあ ....
頭上一面に広がる
果てのない青空
雲も 霞も 霧もなく
手を伸ばしても届かない
高みに
もっと高みに
果てのない青空
抱えきれないほどの
太陽光の乱反射

中空に浮かぶのは
ピン ....
ジャララ
6月の弾力はぼくらを弾ませる水力が
そこらじゅうで揮発する
近すぎる誤解を向日葵の種の側に埋めたりする

ジャララ
太陽の方角を追い続けていくことも
ぼくらには必要なことかもし ....
はっぱをめくればなめくじ

みんなにきらわれて
しおをまかれたりする

おまえなめくじ

うまれてからずっと
からだじゅうでないている

おれだっておなじ

みんなにきらわれて ....
{引用=連作詩『右手と左手のための協奏曲』 より}

ゆるやかにま   おなじことのくりかえしのようですこしず
わりながらす   つへんかしていくいったりきたりしながら
すむゆるやか   いつ ....
カルミア、明日は咲くか
と、思うと明日が待ち遠しい
そんな日々を重ねてきたが
カルミア、いよいよ明日咲くか
と、思うと
咲けば後は散るだけだから
もう散ってしまうだけだから
でもやっぱり ....
ウルが帰ってきたと誰かが言った
わたしは黙って
カペラ産の苦い酒をグラスに注いだ

酒場はさっきからウルの噂で持ちきりで
ウルと話したことがあるという
地球生まれの男が
まるで自分がウル ....
寝ぼけ眼で目覚めた朝
伸びをしてそれに気づいた

目の前の鏡の中で飛び跳ねる
悪戯っ子のような髪
黙らせるように押さえつけても
すぐに飛び出す反抗期
大人しくなってしまった自分と対照的で ....
遠吠えする犬と
ただそれを聞いているだけの空

消化しきれないメロディは
この地に降りて
雨に流され
水溜りとなる

雨傘を揺らして
男の子

長靴で踏みつける
その波紋
 ....
沈みかけた夕日に
灰色のカーテンを浸せば
世界は爆発する


 *


うつくしい言葉を残すのはやめろ

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