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西日の頃には
空は白く霞んでいたらしくて
滲んだ街の、ビルから生える空の景色を
ふうわりと、抜けたくて
前後左右、サングラスの目線で
せわしなく行き過ぎる人たちからは
あの強い、レモンの匂 ....
朝になると
静かにそれを繰り返す屋根の波を
勝手に世界と呼んでいた
語る言葉はどこかに置き忘れて
少し笑う背中で世界に潜り込んでいく
息を吸えば吸うほど
体は軽くなっていくはずで
両 ....
人は夜に音になって
躓かない程度に囁き合うらしい
朝が夜に向かうように
ページを手繰り寄せる
薄い絵の具を
筆の先で伸ばすように心音を
澄ませていく
夢を見る、ことを覚えてからは ....
十二番目で
いつも言葉を間違えてしまう君は
その次の交差点では
左折ばかりを繰り返している
東京
狭い夕暮れで
夢から覚めたばかりの抜け落ちた体を
ついでのような角度でドアの隙間に潜り込 ....
フラスコの底
丸底の
光がたまって
揺らいでいること
誰も覚えていないから
朝焼けの色にも出会えない
そんな窓際の
暖められている
アルコールランプの触れる
沸騰直前の光が
ぼ ....
飛び出した街で
晴れない空が
灰色の夢に朝を待っている
電信柱の下の窓辺では
気象予報士が雨だというので
ブラウン管は沈黙したまま
喋らない
ここでは僕等の関係が希薄だというので
....
泣き虫だったあの子は今どうしているだろう
と
眠いだけの午後の中で
当てはまるように浮かんでくる
絡まりそうな思考を
かき分けるように居座る
昔、記憶
ひとつ
指切りで交換した約束 ....