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もうすぐ
何も書けなくなるかもしれない
春の暁を迎えることもなく
散っていく
桜の木の下で眠る
モンシロチョウの卵のように
冬に埋もれて
全てを白灰に戻し
あなたのことを忘れ
{ルビ ....
{引用=
ごらんよ、僕たちの家が燃えている
帰る場所を失くした孤児は、何処へ向かうのだろうね
・
顔をあげて 僕の最後の一滴まで飲み干して
ゆるやかに 死に絶えてゆく世界で
胎児の ....
おめでとう
ついになりたい自分に
変わる事ができたんだってね
いろいろ大変だったんじゃない
がんばって がんばって
栄光をつかんだってわけ
家族の中の地位も
....
いっそのこと泣きくずれてしまいたい
切にねがった 冬の夜
凍りついた感情をさらけだせず
夜風に旅立っていくのはいつだって
かりそめのわたし
一面の雪に埋まってしまった
ぬく ....
言い訳のように
日は昇り
言い訳のように
日が沈む
言いたいことがあった
その日は
もうここにない
ここにはない
言い訳ばかりが
空と海の隙間
地平線で
まだ ....
恋人よ
その手のひらでジェット気流に逆らって飛べ
付加逆性の権化である時間を
乗り越える唯ひとつの方法
苦しみも悲しみも
スピードには敵わず
振り落されていく
まぶしい太陽が頭上に ....
{引用=
春を待つ少女の さくら色の唇
それは いとおしく やさしげなもの
懸命ではあるが 滅茶苦茶な その色香を愛しては
氾濫する 崩壊する 享楽の轟きを聞くのは
彼らではない 彼女たち自 ....
硬い
石の群れに
たまに
私も呼吸を忘れる
人肌の
暖かさも
しばらく
思い出していない
交わるようで
交わりきらないのは
きっと
全てのことに当てはまるようで
母の胎 ....
小学生の頃
うちのネズミ捕りにかかった
一匹の親ネズミを
母親は
バケツに水をためて
ネズミ捕りごと沈めた
....
孤独を研いで研いで研いで研ぎ澄まして
誰一人いなくなってから僕は
ヨーロッパへ向かう飛行機に乗る
後に思い残すことはもう、ない
まぶたの裏に懐かしいバラハス空港を思い描く
地下鉄に乗って ....
冷えたワインを片手に
盗んだ車で
湾岸線をドライブ
ぼくときみは
ボニーとクライドを気取って
飲み下すワインが
弾けるようなスピード感が
心地よく
ぼくを酔わせる
....
{引用=
おまえは死への憧憬もないまま 籠を抜け出して
まだ春も遠い 凍える大地へと羽ばたいていった
空高く飛翔することも出来ない そのか弱い翼で
導きの手もないまま 朽ち果てる身体は
誰に ....
もういやだと
四角い部屋に立てこもる
キュービックは
「{ルビ一=いち}」を培養するためのシャーレ
多数決って
何?
マイノリティの
さえずりが
連なる
マイナーリーグに
伝わ ....
翔けだした
雷鳥さえも追いつきはしない
億年の過ぎ去った
海峡の、氷河の流れに
止められない想いを抱きしめては、
巨きな犬の背にまたがり
髪をふりみだし
人のすがたなどでなく
....
「スカッとしたい!」
ただそれだけのこと
年上同僚と上司からの絶え間ない
ツートップなセクハラ発言
尻はなでくりまわされ
後輩はクレームばかり持ち帰るから
年々増えていくお ....
{引用=
敷居を跨いで 声高に罵ってくれ
トゥーレを歌いながら 首を絞めてくれ
あらゆる支配で 心を埋め尽くしてくれ
//
最初は澄んでいたことも知っているくせに
どうして人は醜さから目を ....
能開セミナーで
綺麗なお姉さんが
額に手をかざしてくれた
あたたかな波動
とてもいい気持ち
突然
MCのおっさんがたおれ
獣の声でうめきだした
お姉さん
カメハメ波のポーズで
....
大好きなあの子が笑っているとき
ぼくは空気になった
冷たいアスファルトの上
共有する呼吸を知った
ひとつになって
やわらかくなって
ぼくらの心臓はまるくなる
....
ラーメン屋の湯気の中で
二人で未来を語っていた時から
おまえは何時(いつ)も ずれた視線をしていた。
駿河台の坂を上って行く途中
ヒラヒラと雪が降り始め
俺には寒かったが
おまえは ....
小さいころ、お母さんとデパートにお出かけした時
ハイヒールをはいたお姉さんが、
コッコッと音をたてて歩いていくのが
すごく羨ましくって
わざとサンダルをカチカチいわせて歩いた
....
白磁の球体のただひとつの穴に
青磁の円錐の先端を突っ込んで
女性に見立てた
右手の親指と小指で円錐をはさみ
残りの指の腹で球体を愛撫した
触れるか触れないかの所で
....
雪国の町は空気も凍る
重い空の下
ねぇ
あなたは凍えていませんか?
秋の日の柔らかな日だまりの中で
産まれたばかりの私を
あなた
そっと抱きしめてくれた
それが暖かで
それが安ら ....
今日もまた音楽を聴きながら朝の身支度をする 九十年代末に流行ったUnderWorldというテクノバンドのBorn Slippy(NUxx)という曲が流れている 「Second Toughest In ....
{引用=
幼い頃から爬虫類や両生類や昆虫が大好きで
森の中でそんなものたちと出会ったら
木苺にでもなって食べられたいと思ってた
青々と茂った中にちらほらと咲く白い花
水底の砂利まで見える ....
蝉時雨の光。七色の雨が降り注ぐ街にて、潜水艦が飛行する夜。
寝静まった住人が起きだし、徘徊する街にて。夢を壊さないようにぼくらは
足音を立てずにこっそり歩き続けた。赤い風船が飛ぶ、夜。
窓から窓 ....
ねえ お母さん
なんで私を育てたの?
育てられなかった実の娘の身代わりなの?
自分の老後の面倒をみてほしかったの?
ねえ お母さん
なんで私を育てたの?
あなたの笑顔が可愛かっ ....
キィィィィ ンンン
鳴っている
塾帰りの娘を迎えに来て
路肩に車を止めてエンジンを切る
ガラス1枚隔てられただけで
街のノイズは膜を張られ
夜の静寂が濃くなるから
ィィィィィ ....
熱が下がったのだろう
うつら、うつらしていた
私は碧く底の知れない
淵に浮んで
水の深みを見ていた
耳もとを太陽の光が筋になって
淵の彼方を目指しているが
その光の筋の先は
揺 ....
目覚めて闇 朝
まだ夜の明けてない六畳の部屋で
叫びたくなる
何かをしらせたいのではなく
ただ叫びたくなる
背中をつき破って羽化したいんだ
人がひとでなしになるのは
あまりにも世 ....
{引用=
目にするものは、すべて
縮小された世界 ほそい指先に
絡まる色糸の道と煩雑なブロック
意識ばかりが拡散して、
すぐに ほんとうの姿が分からなくなってしまう
この街をあんなにも ....
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