新しいドライヤーだけれど
白くてやわらかい
両輪がふたつに割れる
夢に見たんだよ
耳の後ろの痛さを
口ばしる
側に
置いておいてくれる人の大切さで
判ろうとするのは
恥ずかし ....
090513
Kaaaaa!と鳴く
烏
烏のような目をしているね
ガラスのような君の目を
ガチャンと割って
叱られた
思い出を
ア ....
みずうみのほとりに
おいていった
うたが
あって
いつか
みずうみのほとりに
その
かかとをそろえて
おいていった
ものが
あった
*
なめらかに
さしのべる
....
寄せる波に向かって
心の潮「A/アー/(ラ)」の音を放つ
わたしと海はパラレル
返す波からは原始の抑揚
「G/ゲ-/(ソ)」の音がかえってくる
海は ....
となりの人が一歩踏み出す。
チュッパチャップスを舐めながら自転車並列で猥談するジャージ姿の男子中学生は信号を見ないし当然のように歩道に転がる真っ赤な苺にも気付かない。
明日が月曜日であるこ ....
ひかりたからか
からか からか
穂の息ひそめ
言の火ふらす
窓のふくらみ
煉瓦の道
こだまする影
屋根に立つ影
風のなか揺るがぬ星や星
足の指がつ ....
詩は
誰にでも届かないところで
誰にでも触れられない距離で
詩は やわらかい
詩は 傷ついている
詩は
誰にでもからだをゆだねて
詩は おとなしく それでも ....
いつだって窓は
逆光に黒いコンクリートを四角くくり抜いて
冷たさと
まだ見ぬ町と
まだ起こらない出来事と
未だ語られない言葉と
遠い町の中を走り抜ける音で彩色された
真っ青な空を映してい ....
「アーモンドチョコだ」
バスの中で友は言った
さっきから僕たちの後ろの席から聞こえている、ごろごろ・・
という音が何なのか
そのことを聞いたからだ
後ろを覗くと確かに
アーモンドチ ....
屋上に通じる小さな箱の中
灰色のドアの冷たさで頭を冷やす
窓から差しこむ小さな光は、
座り込んで眺める私を映し出す
光は、なぜここに在るのだろう
それはきっと、
此処にいる私を上書きし ....
皮膚の下に
いつも消えない断絶がある
電気が切れて、30分は
花嫁の
夢に用意した砂の中で
炎症している水を「見つけて
逃げてゆく
赤いキャップ、海の貝がら
いま此処には無い
心 ....
世界地図を定規で測ると
あなたとわたしを遠ざける
この距離は五センチにも満たない
この地球には海があって
広い広いそのどこかに
憧れているあなたの町が
浮かんでいる
上空に照らす ....
落ちた数を数えるよりも
水滴の生まれた場所が知りたかった
ささやき声も空気を振動させるような
ぎりぎり均衡を保っているこの小さな空間で
破裂する寸前の風船みたいな緊張感の中
今、きみが生 ....
{引用=嬰子の褥
闇のひとつ奥に蠢動する白光体がたしかにあった
血に焼かれた嬰子が視えない手のひらに止まって
私の身体に続いている
いやへその緒はぜんまい状に闇に溶けて
それはもうわ ....
090427
時分の花を
咲かせましょう
咲かせた後で
実を付けて
太らせて
実をもいで
欲しいお方に差し上げましょうと
美しい花が咲く
....
大きな音楽のくぼみに
海洋の裸体は何故有るのだろう、
ぼくといる
光る種は、美しいとは以前に
何て億劫で
すかすかに目詰まりした頭髪が
金星の毛玉を噛み込む、
これを着ては
もう外を ....
春が死んでいた
花びらもない
あたたかな光もない
ゼニゴケの群生する
庭の片隅で
地軸の傾きと公転は
果てしなく続き
生きていく、ということは
傲慢な恥ずかしさの
小さな積 ....
いろいろなものに唆かされて
波は
いつも
陸にかけあがりたい
風や月や
海そのものの呼吸に押されて
潮目ごとにかけあがる波
砂浜に描かれる
貝殻やサンゴの帯
波が運べるも ....
十九、までは数えた
そこから先は途切れがちになった
よく躓いてしまう君の後ろで僕は
ありふれた、馴染まないままの歌を歌った
スモールタウン、僕らがかたちになりかけた頃
この腕に抱ける言葉が、 ....
見てごらん
あれが僕の剥製だよ
一点を見つめて カラカラに乾いた口を半分開けて
手を差し伸べているね
一体何を掴もうとしているのだろう
一体何を探しているのだろう
一体何を告 ....
葉っぱは季節をたとえません
すうふうと風にもつれません
声がでない
見たこともない町並みや
笑ってばかりの声色に
ない交ぜにされて
先に歩いてていいですよ
追いつくつもり ....
090423
懐中時計をポケットにしまう
ジーパンのポケットにしまう
海の中には
海坊主がいて
溺れた人を
丸呑みにするのだと
笑いながら時計を見て ....
突き抜けた青天から目をそらし
振り返ってしまうことがためらわれ
気付かなかったことにした
水滴ひとつ浮かばない箱を抱えて
所在を見つけようともしなかった
抜けた羽毛を一枚入れて
ふたを ....
太陽のいろの
バケツが
雨に晒されてる
静かで
雨の音しかしなくて
わたしは
ただ
壁にもたれて
泣き続けて
なめくじはぬらぬらと涙の痕を引きずってひと夜の殻もとめ。
待ちあわせは雨の夜アジサイの葉の裏で絡みあう恋のそれからの、
まぶしい太陽にツノ伸ばしヤリのよ ....
もうずいぶんとむかし
あなたはたしか
「砂漠のなかで金の粒をさがすようね」と言った
僕はそれはちょっと違うんじゃないかと言いそこねた
きれいな空をそのままうつしたような海の
ちょうど ....
夏の日が薄紫色に
透けて近いので
君になにかを書きます
花が開いては
落ち
黒い道路を汚しては
それをふまないよう
ふまないよう
すこし飛ぶように
歩き
振り向いたなら
....
090420
じっくりことことと
煮詰めるのですと
テレビの中の先生が
無感動に説明しています
感動するのはアシスタント役の
アナウンサー
お客さんの聴 ....
埃の海に生まれたもの
きらびやかに手放されるもの
岸から流れつづける景
底をすすむもののかたち
褪せた光の降る路地の
さらに褪せた色の扉の
入るものもない静けさ ....
新月の夜に
世界中が停電して
僕が誰だかも
わからなくて
原初の闇の中に
視界が境界を無くして
僕が誰だかも
わからなくなったら
初めてこの言葉も
線の一本一本をほどいて
かたちか ....
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