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しゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわ
山奥の合掌造りで
祖母は暮らしていた
冬は深い雪に閉ざされ
ひっそりと
何もないところだった
祖母がまだ少女だった頃
屋根裏では
蚕を飼っ ....
本家の従姉妹3人が集まって
一年忌の手伝いのことを話していた
はずなのに
気が付いたら彼女たちの話題は
秋にみんなで行く旅行の計画に変わっている
機関銃トークは女子学生の専売特許
....
鏡のふちに
霜が降りている
唇のはしが腫れはじめ
痛みがやむころに
枝先から影が落ちる
おもむろに声をあげようとして
言葉にならなかった音の破片が
ガラスを震わせる
あなたが
どこか ....
一昨日の朝食で
僕の耳に
ピーナツバターを
こびりつかせたまま
サニーレタスと一緒に
皿の隅っこに追いやったのは
誰だ
昨日の朝食で
僕の耳を
ホットミルクに
浸しこんだま ....
山を登っていくと
海のことを知っているかのように
彼は何も知らなかった だから 僕は
空になったつもりでいることにした
プールにはいろいろな魚が泳いでいる
狐に出会ったので/桑田佳祐を聞 ....
なんでもないことのように日々が
過ぎる
実際はなんでもかんでもが
おこる
どうしようもなく失くしたり
左足だけ見えなくなったり
足りないながらも戻ったりするが
一切の感情は描かれず
ま ....
僕は切符を買うよ
いつもと同じ場所にむかう
日めくりをちぎるときに
忘れてしまうだろう、今日だから
僕は切符を買うよ
四十九枚の十円玉を投げ入れて
光るボタンで行ける場所
誰もが辿れ ....
昨日が、夜の中で解体されていく
肉体だけを、濡れた風がばらばらにして
過ぎ去り、それでもまだ鼓動は 宿る
わたしが必要としているものは
わたしの内部の、底辺にあって
....
笑ってくれていたらいいな
そのほうが一日の変わり目
にじまないでいられるから
吠えるCALL
急いで階段等を
駆け降りるぼく
残した夜に進化
キャッチして明日の手
前後に揺れて ....
雨が降っている新月の夜に
春めく虫たちのため息がひらひらと
蝶になって飛びかっている。
ひろびろと草原はそこにあり
うす桃色のパンツのとてもなまめかしく
ハートのかたちしたそれに、つい触 ....
石積みの朝
陸橋はその歪んだ影を
路面に落とし
昨日までの工程を語り終えると
あなたは静かに
最後の生理を迎えるのだった
+
足音が擦り切れていく
あなたにとっ ....
0.97m前方
秒速0,7m
不規則な回転運動
ほぼ(237, 26, 61)
不完全すぎる球体
強化シリコーンの指
捕捉完了
擬似眼球スコープ
サブウィンドウON
アナライ ....
今、東京の夜にいます。
赤羽橋に着きました。
ふと、顔を上げてみたならば、
東京タワーが見えました。
何、となく引き寄せられはじめ、
そちらに向かって行きました。
なかなか近付 ....
オメエ、死ぬのかい
――だったらよう、
せめて逝く前に鮨食おうぜ
肝っ玉据えて、俺と鮨食えよ
粋な麻暖簾くぐってさ
どうぞ勝手に席へ就いちまいな
捌いたネタと酢飯の匂い、
舎利の温( ....
昼下がりの陽射しが
雪のじゅうたんをめくって
春をたたきおこす
小さな飾り気のない
窓の外では
ゆきんこたちが
まだ
ぺちゃくちゃ
おしゃべりしている
それでも
待 ....
ひとりのおんなの形をしたいのちが
染み付くほどあかい
燃える野に立ち
斜めになびき
腹に手をあてて
まだ完全にはにんげんでない形をしたいのちが
ここにいるとは
とうてい
とうてい
....
冬、「顔を洗う」のが億劫で
枕元の紙にそれを書いて済ませた
*
冬、「顔を洗う」のが億劫で
枕元の紙にそれを書いて済ませた
*
....
しとしと、ざわり
雨音の狭間で風が唸る
濡れそぼった大地に
孤高を持するように
どうだ、と
唸りをあげる
風
自信と威信が綯い交ぜになった
誇り高い生き ....
090223
ブタジエンのブ
ルビジウムのル
デビル雅美のデ
ビルヒコックのビ
ルーチンのル
完成間近なビルディング
完成間近な礼拝堂
完成間近 ....
あのひとから乞われた訳じゃない
成り行きでと言えばそんな感じだった
奥さんよりも私を選んでくれた
そんな幼い優越感が無かったといえば嘘になる
幸せだった頃に家族で訪れた事があると話していた ....
あとひとつきもすればさくらがほころぶ
去年はきみと名もない小山をのぼった
ぐねぐねとした白っぽい坂道
わたしたちしかいない公園
つめたくなったマクドナルド
力のない紙袋か ....
空の涙は
私の手のひらで
悲しみを預けながら
そっと
冷えた空気に混じりあう
音もなく消える
その悲しさを
何に伝えたらよかったの
秒針の先に私を刺す続きがあるのだとしたら
それは過ぎた日々を小さく刻む道
巻き戻すことをしない音と共に
切り落とされた足は熱をもって痛みと歩く
地下鉄の風に背中を押されて
階段を下れば
ホームの端を
黄色い凸凸道が
何処までもまっすぐに伸びていた
いたずらな風が
吹けば
すぐによろつく私だから
凸凸道の内 ....
・庭園にて
裸足のままならば
何処にでも行けるのだ、と
喉から生えた腕が
口走っている
嘘吐きの元は、この腕です
そう囁く林檎をかじりながら
その腕を引き ....
<余分三邪鬼>
脂肪
最後に君と食べたネギ塩カルビ
泣きながら飲み干した生ビール(大)
美味しくも哀しい想い出の数々が
僕の内臓にぴったり寄り添って離れない
鏡を見 ....
赤い夕日を浴びたのに
かげだけ黒い、
そのふしぎ。
草木も花も野も山も
おなじくみどりと
呼ばれる、
ふしぎ。
波の青さにあらわれて
透きとおってゆく、 ....
この街でいちばん美味いという
来々軒のラーメンを食べていたら
いつまですすっても麺が途切れない
適当なところで喰い千切ると
あなたはひどい人だ
という声がした
たぶんメンマが言った ....
キミに届く少し手前の感じが好きだ。
予感が確信に届く前に一瞬見せるアノ表情が。
特別な秘密なんて必要ない。誰もがやっているように息を止めずに目を閉じるんだ。
懐かしさと夏の日差しは常に同 ....
命をわけたシャボンが
あまねく広がる田の空を
おもむろに這いのぼる
シャボン、シャボン
あなたを見上げて
遠く咆哮を響かせます
置いていくなと、低く
低く唸るのです
大地を ....
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